青山、、、こわいこわい
好奇心旺盛で、なんでも挑戦したかった私は、ティッシュ配りのバイトに憧れていました。
配りきり終了!ということは、配りきれば帰れるので、どのぐらいの時間で配り切れるのか挑戦したかったのです。
5年間のマックバイトの時に、駅でバイト募集のチラシやクーポンなどを配ったことはありましたが、クーポンがついているので、すぐに配りきってしまうのでつまらなくて、どうしてもティッシュというものを配ってみたかったのです。
たまたま、求人情報から見つかったのが、南青山の事務所でした。
面接をする事務所の南青山までは少し遠いけど、バイト先は自分が選んだ場所だったので、近くの場所を選べばいいや〜なんて考えて応募しました。
地下鉄を何度か乗り換えをして、南青山の駅に降り立ちました。
南青山で降りたことがなかったので、若かりし頃の私は、
わぉ〜!!!!
洗練された大人の街だ。(笑)
と感じました。
昔からなのですが、待つのが大嫌いなので、もちろん待たせるなんてことはしたことがなく、遅刻がとにかく嫌いな私は、目的地に1時間半前に着いてしまいました。
後に試食販売のマネキンさんのバイトもするのですが、職場に遅刻するわけにはいかないし、準備もあるし、初めての場所だし、バスを使う時もあるしで、勤務時間よりもかなり早く行かなければならないので、仕事内容は好きでしたが、毎回色んな場所へ行くというのが、心配性な私には最も向かない仕事でした。
南青山に降り立った私は、先に事務所の場所を確認して、、、
え、もう暇
ということで、カフェというところに入ることにしました。
カフェにはお客様が一人もいなくて、少し薄暗く、シーンとした店内には、お洒落な音楽が流れていました。
その頃の私には、まだコーヒーを飲む習慣はなかったのですが、そのお店はコーヒー専門店だったみたいで、紅茶はなく、何語か不明なメニューには、(たぶん英語だと思うけど、緊張していたので読めませんでした。もちろん日本語も書いてありましたが、なにせお洒落なお店すぎて緊張しちゃって)
聞いたこともない飲み物の名前ばかり、、、
さて、何を頼もうか、、、?
って、、、
なんじゃとぉ!!
なんとコーヒー1杯1500円!!!!
時給710円のマックで働いていた私にとって、1杯1500円のコーヒーは、
たっ高すぎる!!!
でももう入ってしまったし、マックとか値段のわかるお店は近くになかったし、、、
頼むしかない!でもせっかくなら少しでもお得感があるものを、、、
と考えて、選んだのは、チョコレート付きの飲み物でした。
コーヒー好きの方はすでに気がついたと思いますが、このまま少しお付き合い下さい。
チョコレートがついているなんてお得だわ〜。
と、緊張で喉が渇いてしまった私は、席で飲み物を待っていました。
しばらくすると、洗練された雰囲気の店員さんが、私の方へ近づいてきました。
え?飲み物は??
そう思った時、
「お待たせ致しました」
とテーブルの上に飲み物が置かれました。
ん?これは?
シルバニアファミリーの食器かな?
という感じの本当に小さいカップとソーサーの中に、コーヒーが入っていました。
そうです。
私は、エスプレッソを頼んでしまったんです。
ほんとなんの冗談なのかな?ぐらいカップが小さくて、その経験をするまでに見てきたどんなカップよりも小さくて、いうたら喫茶店でガムシロミルクが銀色の小さな容器に入っていると思いますが、それに近いサイズだったのです。
でもその頃の私は、エスプレッソという飲み物を知らなかったので、せっかく店員さんが、「お水お持ちしましょうか?」
と何かを察して優しくしてくださったのに、
大人ぶりたくって、つい「大丈夫です。」と断ってしまったので、喉が渇いているのに、まるでシルバニアファミリーのカップのような小さいものしかなくて、
チョコレートは付いていたけど、個包装の小さいのが2枚。
ふぅ〜大人って辛いぜっ!
とりあえずこんな量しかないけど喉乾いているし飲むかっ!
と親指と人差し指の指先で取っ手をつまみ、一口。
にっっっ苦っ!!!!!
なにこれ??泥??
でも私は大人ぶりたい!!と必死に我慢しました。
苦すぎてこれ以上飲める気がしないけど、飲まなきゃ飲めないのに頼んだ田舎者になっちゃうから飲むしかないっ!!
と覚悟を決めて飲みました。
まぁ、量が少ないので一瞬でした。
だから量が少ないのよ、、、ね?
支払いをして、店を出て、チョコレートは1枚持ち帰り、面接へ向かう前に、駅に戻って自販機でお茶を買って飲んでから、行きました。
家に帰って母に話すと、それ、エスプレッソだわ。と言われました。
いやぁ〜
青山、、、
こわいこわい。
つづく。