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日記:順序をデザインする

何かを伝えたり、他人に何かをさせる上で、『順序』は非常に大きな力を持っています。この『順序』を有効的に活用すれば問題を解決することもできるし、逆に『順序』を誤れば効率的に物事を伝達し損なうだけでなく、大きな損失を招く可能性さえあります。

今日はそんな『順序』をどうしたら有効的かつ効率的に利用できるのかを既存の実例を基に考えてみます。

体験設計における『順序』

他人に何かをさせるという状況においてUI(ユーザーインターフェース)的側面からこの『順序』というものはとても重要です。
例えばATMでお金を下ろす際に、キャッシュカードを受け取るまでお金が出てこないことに気づいたことはありますか?
これは「キャッシュカードと現金の両方を受け取る」というタスクを順序づけることで、人間がキャッシュカードを置き忘れていくことを未然に防いでいるわけですね。おそらく現金が後に出てくるのは、ATMでお金を下ろしに来た人間は「現金を手に入れること」を目的として来ているので、「キャッシュカードより現金の方が忘れにくい」ことと、「現金を失くすよりもキャッシュカードを失くすほうが大事になりやすい」ことが理由のように考えられます。つまり、相手に絶対に行わせなければならない手続きやタスクが存在する場合、相手が目的を達成したと思う前に完了させておく必要があるということですね。
このように『順序』を用いて人間の行動をデザインすることで、人間に優しいUIを実装することができるわけです。

情報伝達における『順序』

何かを相手に伝える上でも順序というものは非常に大切です。
例えば論文においては、始めに主張や結論を述べるトップダウン形式が一般的です。論文のような長い文章において主張も述べないまま長々と説明されても正直頭に入ってきません。つまり、このような形態においては主張が先に分かるような明解性が重要になってくるわけです。

では、プレゼンテーションの場合はどうでしょうか。あまりにも有名な例として、スティーブ・ジョブズがiPhoneを発売する際に行なったプレゼンテーションがあります。

映像を見てわかる通り、革新的な3つの製品企画を順に紹介し、最後にそれらが纏まった1つの製品(iPhone)であることを伝えるという「前提から述べて結論を後にまわす」順序でプレゼンテーションをしていますね。視聴者に製品の魅力や革新性を最大限伝える素晴らしいストーリーテリングになっています。

これらの論文やジョブズの例から考えるに、伝達における情報の順序というものは媒体や状況によって有効性が変わっていくのだと思います。
それまでの文脈や状況、文字なのか音声なのか映像なのかといった伝達媒体、その情報が伝達される環境、伝達内容といったあらゆる要素によって友好的な『順序』というものは決まっていくのではないでしょうか。

まとめ


日記として思ったことを既存の実例と照らし合わせながら確認しただけなので、まとめと言えるほど主張のようなものは存在していませんが、『順序』といった概念を意識しているかいないかの差は、あらゆる創作、それこそゲームにおける導線設計や、漫画や小説における物語の展開方法などに大きく影響を及ぼすのではないでしょうか。


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