雑記:記号と伝達 「←」の強さ

矢印ってあるよね。

「←」こういう奴。

↑こうすれば上の文章に対して追記しているようにも見えるし、

→こうすれば前述の文章から繋がった内容が書かれているようにも見える。

こうすれば
↓↓↓↓↓

下の内容に対して強い関心づけを行うこともできる。

このように矢印は何かを指示したり、指し示したりする際に用いられる記号だが、我々が矢印で刺された先に視線を誘導されてしまうのは矢印の意味を知っているからなのだろうか?
それとも、「←」の形状そのものが持つ力なのだろうか?


話は変わるが、オンカロを知っているだろうか。
高レベルの放射性廃棄物を地下400m深くへ埋め、10万年の時間をかけて地層処分を行うためのフィンランドに存在する処理施設である。
10万年と言われてもイマイチ現実味に欠けるが、ホモサピエンスがマンモスを追いかけ回していた時代から現代に至ると考えれば相当な時間を要することがわかると思う。
オンカロはそんな長い時間をかけてゆっくりと放射性廃棄物を処分していく施設なのだが、懸念点として「未来人に対する伝達方法の難しさ」が挙げられている。
それもそのはず、10万年後に今と同じ文化形態を持った人類が存続している保証はなく、そもそも人類ではない高度な知的生命体が繁栄している可能性もある。何万年か後に彼らがオンカロを発見した時、遺跡として放射性廃棄物の埋められた施設を掘り返すような事象は避けなければならなく、そういった存在に対して、我々はどんな方法でその地帯が危険な放射性物質が埋められた地域であることを示せるのかという問題だ。


彼らを相手にして意思伝達を行う場合、そもそも言語が通じるか否かは勿論のこと、色や形といった情報も文化的背景に起因する要素が大きく、

ミーム汚染

現にこの色面を見せられた時に、何十年も昔の人が見たらなんとも思わないかもしれないが、我々はどうしてもあのコンビニエンスストアを想起せざるをえない。もしかしたら黄色と黒の虎柄が未来では安心を意味して使われている可能性だってある。


そんな彼らが「←」を目にした時にどんな反応をするのか、非常に興味深い。

ただの意味不明な記号に見えるのか?

それとも、形状の力によって指し示された方向へ注視してしまうのか?

全く別の捉え方をするのか……?

現代社会に深く馴染みきった我々は「←」を目にした時、無遅延でその意味の視覚的影響を受けている。
我々は自分たちの想像以上に意味によって認知を歪められているのかもしれない。

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