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#7 仕事に行きたくなくてスタバに逃げていた時期のこと

(放置しすぎた。あまりにも。というか、自身の名誉の為に言葉を換えて言うと、放置していたのではない。ただ、推敲を重ねているうち、書き始めてから恐ろしく時間がかかっている。noteを書き慣れていない、初心者あるあるなんだろうか。いや、単に私が中途半端なだけなのか。)

(noteのせいにするんじゃない。)

というわけで久しぶりの更新です。


出勤前の30分

春が来ました。

今の職場で勤め始めて、今年で3年目になります。
今更ながらですが、私は高校で教員をしております。先の記事にも書きましたが、大学卒業後ある私立校で3年間非常勤講師として働いたのち、今の職場で専任教諭として働き始めました。


今でこそしっかりと自分の居場所として馴染んできた職場ですが、働き始めた当初は、なかなかどう立ち振る舞えば良いのかがわからなかった。こんな時期は、誰にでもあるのでしょうか。

前述の通り、この前にも働いていたとは言え非常勤という気軽な立場だった為、この職場で社会人デビューをしたといっても過言ではありません。


自分が、何の仕事にどこまで手を出して良いのかわからない。手を出そうにもやり方がわからない。挙げ句の果てには、逆に足手まといとなり迷惑をかけてしまう。

器用な立ち振る舞いが苦手な私は、もうとにかく出来るだけミスをせずに平穏に日々を過ごすことに、全力投球をしていました。

誤解がないように言っておきますが、うちの職場は極めて働きやすく、一緒に働いている先生方もそれはそれは素敵な方ばかりです。
私が働きにくかったというのは、単に私の要領の問題であって、職場はむしろ、ここで働けてよかったと胸を張って言えるような素敵な環境です。

だからこそ、居心地の悪さは顔に出せないし、周りに愚痴ることなんて出来なかったんですよね笑


スタバの開店は7時半

とにかく、緊張と不安を抱えて日々を過ごしていた私は、心の余裕をどうにか保つために1日のスタートを工夫する必要がありました。そこで思いついたのが、「朝早く家を出て、出勤前にスターバックスで読書をすること」。


お金で時間を買うと言うのは、こういうことですね笑
今思うと、物凄く贅沢な時間とお金の使い方だったと思います。が、あの時の私にはその時間がとても貴重で、何よりも大切な30分だったなと思います。


今日の本は、その時に読んでいた本です。

恐らく、職場に向かうモチベーションを上げる為に読書をされる多くの方は、ここで自己啓発本やビジネス書などを読まれるのでしょう。
私の場合は、状況を打開したいというよりは単に緊張をほぐしたいというだけだったので、小説を読んでいました。

なので正直内容は何でも良かったのですが、この時偶然読んでいたこの本がすごく良くて。
光のあふれる朝のスタバで、主人公を応援し、共感し、そしてラストを迎えた時の爽快感。毎朝この本を閉じて職場に向かう足取りは、家を出た時のそれよりもほんの少し力強くなっていた気がします。
そんな思いでも込めて、私にとっては特別な一冊になりました。


原田マハ著『風のマジム』


お仕事小説

原田マハさんが書くお仕事小説、もとい、「働く女」小説が、大好きです。そもそも、私が原田マハさんを好きになったきっかけが、『本日はお日柄もよく』を読んだことでした。
例によって『言葉』をテーマに扱う作品が好きでこの本を手に取ったのですが、主人公が新しい一歩を踏み出した時の勇気、慣れない環境での奮闘ぶり、そして淡い恋の結末と、いかにも私くらいの年代が好きそうな物語展開にしっかり心を掴まれました。


社会というものが何かもわからず手探りで職を決めた大学生の時と違って、働き始めて数年の20代後半は、自分のやりたいことを改めて見つめ直し、そして予定を立て直す時期なのだと思います。
それが職や職場を変えるという大きな変化であろうと、今の職での働き方を変えるという小さな変化であろうと、誰もが何かしらの変化を求めるタイミングなのかもしれません。


話が逸れましたが、今回の『風のマジム』に出てくる主人公まじむちゃんも、偶然出会ったラム酒に一目惚れ、一念発起して、会社の新規事業開発プロジェクトに挑戦していきます。
彼女のひたむきな姿勢と、彼女の目に映るキラキラした夢が、周りを巻き込み、そして結果を呼び込む。


周りの反応が向かい風になることもあり、もちろん一筋縄ではいかないけれども、折れても折れても立ち上がる主人公。とくにラストが何とも言えず良く、沖縄の温かい風と共に、ラム酒の甘い香りがさあっと運ばれてくるような感覚です。


頑張りどきに欲しいのは、不安に寄り添ってくれるもの

私が新しい職場に就くことを決めた時、前の年の秋頃から紆余曲折があり、色んな可能性とやりたいことを見つめ直す中で、もちろん、諦めたこともありました。
私は(どちらかといえば)冒険家(寄り)ですが、それでもこの道だと思って進む時は、いつだって「これで良かったのかな」という一抹の不安が付き纏います。

前述しましたが、私は天邪鬼なので笑、こういう時に自己啓発本などを読むと余計に疲れてモチベーションが下がってしまうんですよね笑

そんな「頑張りどき」に、たまたま読んだこの本が力をくれたのはきっと、主人公が奮闘している姿が、自分に重なったからだと思います。

不安を抱えることも、情けない思いをすることもたくさんある。けど、「それでも」と、好きなことをして働くということの楽しさを教えてくれ、そして背中を押してくれました。


仕事に対して思うこと

私は、自分の仕事が好きです。今となっては、旦那をそっちのけにして仕事をしている時もあるほど笑


働きはじめは右も左もわからず、それこそ迷子になったような心細さを抱えながら働いていましたが、今はやっと方向感覚が掴めるようになり、自分が出る番も弁えられるようになりました。


そうなってからは、もうほんとに仕事が楽しくて楽しくて。
あの時は息苦しく感じていた職場も、怖かった上司も、大好きになりました笑


要領の悪さだけは、変わらずなのですが(なぜだろう)


今ではやっと、自分で何かを動かしてみたいという気持ちが湧いています。
相変わらず忙しい日々を過ごし、職場では相変わらず下っ端(新人が入って来ないので恐らく来年度も)です。
でも、スタバで緊張を落ち着かせていたあの頃に比べると、1ミリくらいは成長したかなという気がしています。


noteを始めて思いましたが、こんな風に、本と一緒にその頃の自分を振り返るってすごい楽しい。

また5年後とか10年後とかに自分を振り返る為にも、本はいつでも携えておこうと、改めて思った次第です。


おしまい。