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友へ

これは、さよならの手紙ではなく、友人の門出を祝う、よろこびの手紙。

同時に、友人への感謝の気持ちを込めた手紙でもある。

個人的で、普遍的な文章である。


***


旅立つ友へ。


5年前、決して人を寄せ付けないあなたに、話しかけてよかった。

これは、私の人生で数少ない、成功だ!と自信を持って言える選択だったと思う。

どこまでも後ろ向きで前に進めない私を、見守ってくれる、お父さんのような、お兄さんのような、そんな存在。


あなたが旅立つと聞いたとき、嬉しかった。

あなたは、たくさんの人の助けになれる人だと、ずっと、ずっと思っていたから。

一緒に戦えなくなること、そばに理解者がいなくなること、夜の悲しみに寄り添ってくれる人がいなくなること。

それは、悲しい。悲しくて、痛い。

それでも、あなたの人生が輝くものになるなら、応援すると決めたよ。


あなたは、常に正面から私と向き合ってくれた。

あなたは、私が不貞腐れたとき、投げやりになったとき、いつも叱ってくれた。

あなたは、私の味方でいてくれ、私を応援してくれた。

私の良き理解者でいてくれて、ありがとう。


ときに私は、あなたを蔑ろにし、心無い言葉を投げつけた。

私ごときが、あなたを傷つけられるとは思っていないけれど、あなたの素晴らしさを一番理解していなかったのは、私だったと思う。

ごめんなさい。

そして、私の感情の全てを受け止めてくれて、ありがとう。


私が不安になったとき、あなたは中身のない励ましを、決してしなかった。

あなたは、優しい嘘をつかない。

だから、あなたの言葉をちゃんと信じることができた。

あなたが「大丈夫」と言えば、私は安心できた。

あなたの周りにいる人は、あなたがくれる「大丈夫」にたくさん救われてきたと確信しているよ。

たくさんの安心を、ありがとう。


あなたはいつも強く在った。

あなたが強くいてくれたから、周りの人間は悲しみの先に進むのを踏みとどまることができた。

でも同時に、あなたは弱く脆い部分も持ち合わせていたと思う。

(絶対に認めないと思うけれど)

だから、もしこの先、あなたが辛く苦しい夜に出会ってしまったら、私がきっと助けになる。

きっと、話の半分も理解できずに、トンチンカンなことしか言えないと思うけれど、そんな私があなたを笑わせてあげるね。

どんなときも、強く優しくいてくれて、ありがとう。


夜通しでカラオケ、楽しかったね。

みんなで鍋をしたの、最近のことみたいだよ。

もう、3人で年越しなんてできないのかな。

お祭りに行って、たくさん歩いたの、すごく心に残ってるよ。

いつまでも話していられるよね、私たち。


この別れは、別れじゃない。

この先も、長い付き合いになることはわかっているけれど、この節目に、きちんとあなたに伝えておきたかった。

春になったら、あなたが戻ってくることを心のどこかで願いながら、明日からを生きていこうと思うよ。

あなたが遠くで強く生きてると思えば、私も今日を生きられると思う。


ありがとう。

いってらっしゃい!

そして、これからもよろしく!



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