友へ
これは、さよならの手紙ではなく、友人の門出を祝う、よろこびの手紙。
同時に、友人への感謝の気持ちを込めた手紙でもある。
個人的で、普遍的な文章である。
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旅立つ友へ。
5年前、決して人を寄せ付けないあなたに、話しかけてよかった。
これは、私の人生で数少ない、成功だ!と自信を持って言える選択だったと思う。
どこまでも後ろ向きで前に進めない私を、見守ってくれる、お父さんのような、お兄さんのような、そんな存在。
あなたが旅立つと聞いたとき、嬉しかった。
あなたは、たくさんの人の助けになれる人だと、ずっと、ずっと思っていたから。
一緒に戦えなくなること、そばに理解者がいなくなること、夜の悲しみに寄り添ってくれる人がいなくなること。
それは、悲しい。悲しくて、痛い。
それでも、あなたの人生が輝くものになるなら、応援すると決めたよ。
あなたは、常に正面から私と向き合ってくれた。
あなたは、私が不貞腐れたとき、投げやりになったとき、いつも叱ってくれた。
あなたは、私の味方でいてくれ、私を応援してくれた。
私の良き理解者でいてくれて、ありがとう。
ときに私は、あなたを蔑ろにし、心無い言葉を投げつけた。
私ごときが、あなたを傷つけられるとは思っていないけれど、あなたの素晴らしさを一番理解していなかったのは、私だったと思う。
ごめんなさい。
そして、私の感情の全てを受け止めてくれて、ありがとう。
私が不安になったとき、あなたは中身のない励ましを、決してしなかった。
あなたは、優しい嘘をつかない。
だから、あなたの言葉をちゃんと信じることができた。
あなたが「大丈夫」と言えば、私は安心できた。
あなたの周りにいる人は、あなたがくれる「大丈夫」にたくさん救われてきたと確信しているよ。
たくさんの安心を、ありがとう。
あなたはいつも強く在った。
あなたが強くいてくれたから、周りの人間は悲しみの先に進むのを踏みとどまることができた。
でも同時に、あなたは弱く脆い部分も持ち合わせていたと思う。
(絶対に認めないと思うけれど)
だから、もしこの先、あなたが辛く苦しい夜に出会ってしまったら、私がきっと助けになる。
きっと、話の半分も理解できずに、トンチンカンなことしか言えないと思うけれど、そんな私があなたを笑わせてあげるね。
どんなときも、強く優しくいてくれて、ありがとう。
夜通しでカラオケ、楽しかったね。
みんなで鍋をしたの、最近のことみたいだよ。
もう、3人で年越しなんてできないのかな。
お祭りに行って、たくさん歩いたの、すごく心に残ってるよ。
いつまでも話していられるよね、私たち。
この別れは、別れじゃない。
この先も、長い付き合いになることはわかっているけれど、この節目に、きちんとあなたに伝えておきたかった。
春になったら、あなたが戻ってくることを心のどこかで願いながら、明日からを生きていこうと思うよ。
あなたが遠くで強く生きてると思えば、私も今日を生きられると思う。
ありがとう。
いってらっしゃい!
そして、これからもよろしく!