決意

祖父が亡くなって、2か月が経った。末期の食道がんだった。

病気を知ってから、祖父のためにできることをできる限りやった。
それでもこの27年間、祖父からもらったものと同じものを同じだけ返せたわけではない。

祖父なき今、私は祖父のために何ができるのだろう。


まだ、祖父が亡くなったときのことを思い出したり、文字に起こすことはできそうにない。

だけど、やっと、祖父からもらった手紙の数々を読むことができた。

そこには、「私」という人間を自分自身よりも大事にする祖父の思いがあふれていた。


手紙を読み終えて考えたのは、「私」自身が「私」という人間を大事にできているかということだった。

自分を自ら負の方向へ導き、「誰も助けてくれない」と泣き叫ぶ、叫ぶ。
このままでは、祖父が大事にしていたものを「私」は「私」自身の手で殺してしまう。

「私」を大事にできるのは、「私」しかいない。

ありふれた、よく耳にした言葉だったが、やっと腑に落ちた気がした。


ありもしない妄想に憑りつかれて、周りが見えてなかった。
自暴自棄になり、何もかも壊そうと思った。
目先のことに囚われ、未来を見ていなかった。

気づいたら、谷底にいて、「私」はやっと気づく。

このままではいけない、と。


一生大切にしたい場所、人、そして「私」自身。

そのためだったら、他のどんなものも捨てられる。
世界中から嫌われたっていい。
ただひとつ、大事にしたいものを守れれば、それでいい。

人を幸せにしたいなら、「私」自身を大事にしないといけない。

「私」は「私」自身の人生を、命懸けで守る。


決意。

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