晴海フラッグに秋が来ない
1.晴海フラッグの春・夏景色
今年の春と夏に晴海フラッグの景色を紹介するブログを投稿した。晴海フラッグの都心には稀有な豊かな緑を紹介したいと思ったからだ。
2.晴海フラッグに秋は来ない
秋になれば、どんな景色が見られるか楽しみにしていた。人は秋の景色として何を、どんな植物を思い浮かべるだろうか。
薔薇、菊、秋桜、彼岸花、紅葉、楓、金木犀、柿や栗の実。人により好きな花、思い入れのある樹は異なるだろう。私にとっては金木犀が秋を象徴する花だ。これまで住んできた稲城市、南箱根でも金木犀は好きな夏が終わり、衰えゆく季節の侘しさを慰めてくれ、厳しい冬の季節を迎える覚悟を与えてくれる香りだった。
8月の20日過ぎだっただろうか、朝晩の気温が下がり、冷房なしに眠れた日が2日ほど続いた事があった。これで秋が来ると思ったが見事に騙された。でも、来るべき秋に備え、金木犀を探してそれまでのウオーキング、ジョギングのコースを晴海フラッグの各ヴィレッジの周回コースからシーヴィレッジの庭(晴海緑道公園西地区)と緑道公園東地区、晴海埠頭公園、サンヴィレッジ、パークヴィレッジの中庭の緑を巡るコースに変更した。
植物には景色の変化はなかったが、塩辛とんぼを見つけた。夏の終わりに見られるとんぼだ。やがて、赤トンボが見られる様になった。しかし、昔に見たような群れをなす赤とんぼではなく、よく見ないと見逃すほどしか飛んでいない。今年の暑すぎる夏で成長できなかったかもしれない。蚊でさえ生き残れなかったのだから。
10月に入ると、朝晩はめっきり涼しくなり、ようやく熱帯夜から解放され、気温的にはすっかり秋になった。しかし、未だ、この地で幅を利かせている花は私にとっては夏の象徴である百日紅だ。まだまだ夏は終わらないと脅かされているようだ。
彼岸花をようやくパークビレッジで見つけたが、群生ではなく、離れ離れに咲いている、わずか2本の花だ。普通なら見過ごしてしまうだろう。葉が黄色く変色を始めている樹があるが、桜だろう。でも紅く色づく樹は見つからない。気温はすっかり秋になったが、杜の景色は頑固に秋の訪れを拒んでいるようだ。
どこでも見られると思っていた金木犀はなかなか見つからなかった。それでもようやく9月の初めにシーヴィレッジのE、D棟の間ぐらいの港との境界にある、金網の近くに垣根のように狭い間隔で植えられているのを見つけた(タイトル上部の写真)。嬉しかった。これでやっと秋を迎えられると思った。だが、樹の状態はあまり良くはない。葉の先端は焼けて茶色くなっている。全体に元気がない。やはり異常な暑さの影響だろうか。でも、涼しくなれば元気に花を咲かせてくれるだろうと期待していた。しかし、10月になっても未だ花を咲かせる気配もない。やはり晴海フラッグに秋は来ないのか。
3.晴海フラッグに飽きは来ない
少し感傷的になったが、本来の私の好みはトロピカルな風景だ。戸建ての家に住んでいた頃は、その雰囲気を出すために、椰子の樹、フェージョワ、オリーブの樹を植えた。だが、気候が合わなかったのか椰子とオリーブはうまく育たなかった。フェージョワも育ちはしたが、実はならなかった。しかし、この地では、椰子の樹が晴海緑道公園の異国情緒を醸し出し、晴海フラッグでも多く見られるフェージョアとオリーブは非日本的な雰囲気を形成している。
晴海フラッグに秋は来ないと言ったが、そもそも、晴海フラッグには伝統的な日本の四季の変化は似合わないのかもしれない。その代わり、トロピカルな異国情緒豊な緑があるのだ。毎日その景色を味わいながら歩けば季節の衰えに侘しさを感じることもない。だから晴海フラッグには飽きが来ないのだ。
それでも秋の訪れは見られる。椰子の樹は今いっぱいに実をつけている。フェージョアにも実がなってきた。オリーブの実も色づき始めた。晴海フラッグに住む鳥は幸せだ。グルメがいっぱい味わえるのだから。
以上