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(この街が好き) 『晴海フラッグには気をつけろ!』には気をつけろ (修正版)

初めに

  『晴海フラッグには気をつけろ』はスムログに投稿されたすまいよみさんのブログのタイトルです。このブログは何でも否定する事に生き甲斐を見出している様な不動産評論家達の意見とは異なり、大変まともな内容で私も同意できるところが多いのです。すまいよみさんには申し訳ありませんが、少し、刺激的なタイトルを付けたくてこのブログのタイトルを拝借させていただきました。
 晴海フラッグに関しては人気の裏返しなのでしょうが、残念ながらネガティヴな意見も多くみられます。その主な内容は「団地感」、「通勤の不便性」、「高い維持費」でしょう。しかし、これは本当に良く言われているようにデメリットなのでしょうか?これらの意見にはかなりの違和感を持っています。またこれらの議論は的外れだとも思わっています。これらの論点について、晴海フラッグに対する無用な偏見を少しでも無くし、正当な評価を受けられるよう私の意見を述べようと思います。もちろん、これらの批判されている点を晴海フラッグのデメリットととらえるか、むしろ、特徴=メリットととらえるかは個人の生活様式、通勤事情、そして価値観次第で晴海フラッグが全ての人に適した物件と言うことではありません。しかし、私と同様に、これらの揶揄されているようなデメリットをデメリットと感じて居ない人が多く、それ故にこれだけの購入希望者が殺到しているのだと思っています。

1.団地感に付いて

 晴海フラッグの外観に付いて団地みたいだと揶揄する人は4−50年前に建設された各地の均一的な外観の集合住宅群をイメージしているのだろう。しかし団地はそれ以降も各地で建設されており、その外観も大きく変化している。私は団地を下記のように定義している。
1)同一事業体(J/V含む)により建設された大規模集合住宅群。
2)豊かな共有空間を持つ集合住宅群。
3)最新の技術、設備が導入され優良な生活環境を持つ集合住宅群。
上記の定義に基づけば晴海フラッグは間違いなく団地だろう。日本住宅公団の後継の都市公団により建設された幕張ベイタウンや多摩ニュータウンの稲城、南大沢地区は平成の団地であり、晴海フラッグのみならず、幕張ベイパークやパークタワー勝どき等も令和の団地と呼ぶべきでは無いだろうか?私は団地にと言う集合住宅を非常にポジティヴに捉えている。

平成の団地 幕張ベイタウン

2.交通利便性

1)BRT及び都バスの利便性
 BRTは所詮はバスだと思われ評価されて居ない様だ。通常、バス便といえば住戸から最寄りの電車、地下鉄の駅まで行くためのサブの交通手段にすぎない。電車、地下鉄がメインの交通手段である。しかし、晴海フラッグのBRT、都バスはそれ自体が目的地または目的地に行くための乗り換え駅まで直接行くためのメインの交通手段である。これは地下鉄大江戸線と同じ機能である。
 BRTの利便性をみてみよう。BRTの当面の終着点である新橋までの行程で地下鉄大江戸線と比較してみよう。地下鉄では勝どきから新橋の最寄駅である汐留までは4分で到着する。一方、BRTは10分かかるとされている。これだけ見れば明らかに地下鉄の方が有利である。しかし、地下鉄、特に大江戸線は地下鉄入口・出口からホームまで距離があり、到着するのに混雑時はかなりの時間がかかる。恐らく、勝どき駅の入り口から汐留駅の出口までにかかる時間は10分を超えるだろう。このように短距離の移動なら地下に潜る必要のないBRTの方が便利で勝どき駅の徒歩圏のマンションからもBRTを利用する人も少なくは無いだろう。
 また、晴海フラッグを出発点とする東京行きの都バスは東京駅まで30分かかり時間的には不利のように見えるが、始発ゆえ東京駅まで座って行けると言う大きなメリットもある。通勤時間帯には5分間隔で運行される予定だ。時間と快適性どちらを重視するかは個人の考え方によるだろうが。
 晴海フラッグは元々BTR、都バスを通勤手段として計画された団地であり、勝どき駅よりの地下鉄はおまけの通勤手段である。おまけの通勤手段が不便だからといって全ての通勤手段が不便であると言う批判は的外れだ。寧ろ徒歩時間はかかるが地下鉄の利用も可能であり、利便性が高いと評価されるべきであろう。

2)BRT及び都バスの輸送力
 晴海フラッグはBRT、都バスを主な交通手段とする住宅地だと述べた。しかし、それはこれらの交通手段が十分な輸送力があって初めて言えることであり、もし不十分であれば、勝どき経由の地下鉄に頼らざるを得ず、交通不便な団地という批判も間違いではない。まず最初にBRT、都バスの輸送力を検証しなければならない。
 確かにBRTは10車両以上が連結されている地下鉄に比較すれば、その輸送能力には限界がある様にも思える。しかし、これまで具体的に数字を上げて意見されているのを聞いたことが無い。地下鉄は勝どき駅に到着するときは通勤時間帯では満員状態であろう。一方、BRTは晴海フラッグが出発点になるものが多く、それらは空車で到着するので100%の乗車が可能である。従い、単純に車両の量で輸送能力は比較できない。
 連結BRTは座席38、立ち席74の合計112人の輸送能力がある。(実際のラッシュアワー時にはもっと詰め込みが可能だとは思われる。)晴海フラッグー新橋の運行ルートでは通勤時6便/時が運行され、7−9時の通勤時間帯には112X6X3=2,016人の輸送が可能だ。同様に晴海フラッグ−豊洲ルートも6便/時あり、2,016人の輸送能力がある。また、有明ー晴海フラッグー新橋の幹線ルートも6便/時ある。ただしこれは晴海フラッグが始発では無いので、晴海フラッグからの輸送可能人数は半分と仮定する。以上より晴海フラッグからのBRTの通勤時間帯(午前7−9時)の合計の輸送可能人数は2,016+2,016+1,008=5,040人になる。
 都バスは晴海フラッグ始発のルートは東京駅行きをはじめとして3ルートあり、7−9時の通勤時間帯に合計49便ある。定員数は75人とされ輸送可能人数は3,675人となり、BRTと合計すれば約8,700人の輸送能力がある。

3)公共交通手段を利用する通勤・通学者数
 一方、晴海フラッグの総戸数は賃貸棟及び今後建設されるタワー棟を含め5,623戸になる。この戸数を基本として通勤状況を推察する。素人仕事であり、また、入手できるデータにも限りがあり十分では無いが、出来る限り理論的に推計する。基本となるデータは2019年に販売された第一期1次、2次の893戸の購入者の属性である。残念ながらそれ以降の販売では購入者の属性は公表されておらず、データ量は少ないがある程度の傾向は読み取る事ができるだろう。
① 公共交通手段による通学生徒数の推計
世帯人数 1人     10.3%  子供数 0人
     2人     34.5%      0人
     3人     25.3%      1人
     4人   25.0%      2人
     5人以上 4.9%      3人以上(3人として計算)
平均  2.8人            平均 0.9人
子供数は5,623戸X0.9=5,061人 
この内公共交通手段を使い通学する子供数は、15−22歳までの高校生以上、及び私立小中高生であり、子供総数の50%、2,530人と仮定する。
② 購入者の公共交通手段による通勤
購入者の属性 会社員          57.4%
       経営者・会社役員 27.5%
       無職         5.9%
                     その他        9.2%
公共交通手段による通勤者は会社員の 5,623x57.4%=3,280人と仮定
③購入者の配偶者の通勤
共稼ぎ世帯の増加が予想される事、逆に1人世帯数(その属性は不明だが)も10%以上あることも考慮し、世帯数の50%の配偶者が通勤すると仮定すれば、5,623X0.5=2,812人と推計。
 以上より公共交通手段を利用する通勤・通学者は①、②、③合計8,622人と推計され、BRT、都バスの通勤時間帯の輸送能力とほぼ一致する。

4)結論
 
もちろん全てのBRT、都バスに均一人数が乗車すると言う事はあり得ない。通勤時間帯7−9時間の中でもより通勤人が集中する時間もある。しかし、上記の通勤・通学人口はむしろ多めに計算しており、下記のような減少要因があり、それらを考慮すれば輸送力には十分な余力があると考えられる。
① リモートワークの定着。
② 自転車による通勤・通学
③ 本稿における晴海フラッグの人口は世帯人数2.8x5623=15,744人として計算しているが、計画人口は12,000人とされており、その後の販売になったサンヴィレッジではコンパクト住戸が多く、ディンクスの購入が予想されており、計画通りの人口に収まればさらに通勤・通学人口は減少する。
 とすれば、徒歩20分かかるが大江戸線の利用は必要ではなく、駅遠で不便な住居と言う評価は不当である。
 
 なお、蛇足ではあるが、大江戸線勝どき駅では私は危惧している事がある。一時、通勤時の混雑ぶりが問題になっていた。現在ではホームが増設された事により大分緩和されたようだ。しかし、今後、パークタワー勝どきの3棟、豊海再開発の2棟のタワーマンションが竣工すれば、晴海フラッグの住民をカウントしなくても急激な人口増により再度大混雑が発生するだろう。現在でさえ、かなり問題になっているのに果たして倍増する乗客を捌き切れるのだろうか?いくら、パークタワー勝どきのマンションから徒歩1分と言っても部屋からホームまで一体どれくらいの時間がかかるのかを心配しなければならないのではないか?

3.高額の維持費

1)管理費
 管理費は人件費の高騰より新築物件では年々高くなっている。普通の板状マンションの管理費はよく分からないがタワーマンションでは殆どが400円以上であり、450円/m2の管理費も珍しくはない。既に竣工済みのマンションでは管理組合の賛同を得るのが困難で築古マンションでは管理費は安いままで管理会社は赤字契約になっていると思われる。その穴埋めに新築マンションの管理費がより高額に設定ていると考えている。理不尽ではあるが、これが相場になっており、管理費の値下げ交渉は困難だ。残念ながら、築古マンションと新築マンションの管理費が平準化されるには今後、長い時間が必要だろう。

管理費の推移


 私は現在マンション建替に関わっており、建替後のマンションの管理費の設定の交渉を経験している。その時に学んだことは普通のマンションとタワーマンションの管理費の差は主に①内廊下の場合、廊下の冷暖房にかかる電気代、②高速エレベーターの保守点検費用。③共用施設の維持費である。①、②は規模にもよるだろうが、建替マンションの計画ではどちらもおよそ45円/m2程度であった。③についてはそれぞれの施設の内容、多寡により異なる。
 サンヴィレッジの内廊下形式のD塔と他の棟の管理費の差が50円程度であることは上記①からも納得できる。晴海フラッグのD棟以外の棟の管理費が300円超であるのは晴海フラッグと同じ時期に竣工するタワーマンションの管理費から上記①、②の合計90円/m2を差し引いたものだと考えれば妥当な水準であると判断できる。③に関しては普通のタワーマンション以上の豊富な共用施設、豊かな緑地空間の維持管理費を考えれば、この管理費はむしろ割安感があるかもしれない。管理費を高いと感じるか割安と考えるかは共用施設を十分楽しめるか、緑地空間を見て癒しと幸福感を感じることができるかによるだろう。
 共用施設は要らない、緑地空間も不要と考える人にとっては晴海フラッグの管理費は非常に割高で、そのような人達には合わない団地である。
 また、忘れてはならないのは管理費を最終的に決定するのは区分所有者であり、その代表機関である管理組合なのである。竣工後、管理組合が管理費を検証し、不当に高いと判断すれば是正することは可能である。

 次のブログは建替マンションの管理費の確定の顛末を記録した物である。興味のある方は参考にしてください。

2)修繕積立費
 現在の積立金はあくまで暫定的なもので、管理組合が長期修繕計画を作成し、それに基づき、費用を設定すべきものである。

3)固定資産税
  確かに高額の印象である。確定した費用ではなく、暫定額であるためコメントのしようはないが、広い共有空間と緑地があり、各戸の土地持分は通常のマンションより大きいはずで税金も高くなる事は否定できないだろう。しかし、これも広い共用空間、共用空地をメリットと考えるかどうかでその負担感は変わる。

4.資産性

 私は自分の住居の購入は資産性を重視するのでは無く、自分の価値観、生活上の必要性、子供の教育、家族の幸福感等の観点から選ぶべきだと思っている。従い、晴海フラッグの資産性には関心は無い。しかし、資産性に対する疑問の主要因が勝どき駅までの徒歩距離だとすれば、それは既に検証したように的外れな議論だ。
 評価要素は色々あって資産価値を測る事は簡単では無いだろう。しかし、そもそも物の価値は需要と供給の関係によって決まる。その物件の需要があるかどうか。つまり人気があるかどうかで資産性は評価できるはずだ。販売時にこれだけの高倍率を記録する物件の資産性の有無は議論するまでもないことだ。

以上







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