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晴海フラッグに住んでみてわかった事


1. 晴海フラッグの街開き

 2024年5月26日に晴海フラッグの街開きの祭りが開催された。予想以上の人手だった。晴海フラッグの住人だけではないにしても、すでに晴海フラッグには多くの人が居住を始めている事がよくわかった。そして、この街には住民同士がコミュニケーションを取り合い、自ら街の居住性を高めて行ける素地があると予感されたことが嬉しかった。
 様々なイヴェントやゲームがあちこちで催されている。沖縄そばや他の色んな食欲を誘う料理を扱うキッチンカー。珍しいコーヒーや、ワイン、野菜、クッキー、調味料等々様々な興味深い商品を扱うマルシェが一杯出ている。
 子供の頃、屋台で焼きそばやたこ焼きを食べ、金魚すくいに夢中になっていた祭りの光景を思い出した。大きくなってからは祭りの屋台には何の想いも抱かなくなったが、この街開きの光景には久しぶりにわくわくドキドキの感情が蘇って来た。子供の頃は毎年、こんな気持ちになっていたんだと。今の子供達はこの祭りをどんな気持ちで迎えているのだろうか?

 さて、晴海フラッグに引っ越してきたのは1月26日、今日でちょうど4ヶ月が過ぎたことになる。晴海フラッグの住みごごちには賞賛もそして相変わらず、駅遠や団地と言った嘲笑も目につく。実際に住んでみた私なりの晴海フラッグの素晴らしいところや気づいた残念な所を述べてみたい。

海上消防ショウー

2. 残念な点

 最初に残念に思う点について述べる。

1)転売ヤーの存在

 街開きに取材していたNHKが流した転売ヤーのニュースが街開きのニュースよりも話題になっている。想定内の数字ではあったが、1089戸あるサンビレッジの住戸のうち、27%に当たる292戸が法人による所有で、中には38戸を所有する法人もあると言う。それだけ、実需で購入を希望していた人の夢が叶わなかったと言うことだ。
 サンビレッジはパークビレッジ、シービレッジと比較し、眺望、日照の条件が悪い住戸、また専有面積の小さい住戸も多く、そのため、価格が安く設定されていた。そのため、投機筋の興味を引いたのだろう。駐車場のキャンセルはサンビレッジが最も多かったと言うのも法人所有が多いからだろう。晴海フラッグの街区全体を見れば、法人所有の住戸の割合は低くなるだろう。しかし、総戸数はさらに増えるのは間違いない。

 私はバブル期に住宅購入適齢期(当時は40代)を迎えていた。一般庶民にとっては都心のマンションなどは初めから対象外であり、当時の住宅公団が発売していた郊外のニュータウンのマンションは価格が適正で今の晴海フラッグの様に人気があり、100倍を超える倍率は普通だった。しかし、当時の公団住宅は法人の購入は認めず、また、1人1住戸しか申し込めなかった。運良く購入できても10年間は転売が禁止されていた。当時のニュータウンのマンションの購入競争は今の晴海フラッグ以上のものがあり、厳格な転売禁止策が取られていた。その結果、転売などと言う行為は全く話題にはならなかった。
 このような方策は晴海フラッグでも十分可能であった。いや、対策を取らねばならなかった。それをしなかった小池都政の無策ぶりは大いに非難されるべきである。また、サンビレッジで38戸所有している法人があるとの事だが、あれだけの競争率でどうして38戸も購入できたのか。小池都政の無策ぶりだけではなく、何か裏工作の存在を疑わざるをえない。いずれ、その事が明らかにされる日が来るだろうか?

 私は第1期1次で申し込み購入したが、当時の担当者には決して複数の住戸の申し込みを認めるような雰囲気はなかった。むしろ厳格で昔の公団住宅の販売のような雰囲気さえあった。また、抽選になった住戸も多くあり、決して販売に苦労したと言う事実はなかった。法人の購入の多いサンビレッジの販売が始まった頃にはさらに人気は高まり、黙っていても高倍率になるような状況で、販売に不安があったから複数の住戸の申し込みを許可したと言うのは言い訳に過ぎない。むしろ、何か裏で起こっていた問題を隠蔽するための言い訳にしか聞こえない。
 サンビレッジはパークビレッジ、シービレッジと比較し、価格が安く設定されており、販売前から高倍率が予想されていたはずだ。

2)賃貸住戸の停滞

 転売だけでなく、賃貸募集の多さも問題だ。すぐに転売せず、定期借家契約で賃貸を募集し、相場が落ち着いてから売却しようと言う転売ヤーもいると思われ、転売住戸同様に賃貸募集中の住戸も多い。また、ポートビレッジの賃貸棟の募集もまだ殆ど進んでいない様だ。理由は分譲価格が近隣相場に比較しかなり割安に設定されていたのに対し、賃貸料金は近隣相場並で、分譲価格に比較し割高感がある事。及び、ファミリータイプの住戸では比較的安く設定されている転売ヤーの家賃に負けているからだろう。これは完全にデヴェロッパーの政策の判断の誤りによるものだ。

 上記のように転売、賃貸募集が進まず、入居が遅れているのは事実であり、これは晴海フラッグの街の成熟をより遅らせる要因になりはしないかと危惧する。

3)晴海埠頭公園のモニュメント

 このモニュメントの設置には賛否両論があり、一時設置が延期されていたと聞く。その時、私は特に反対でも賛成でもなかった。しかし、出来上がってみると子供がモニュメントに登り、上から落ちる危険性があり、危ないといった問題が指摘された。

1.6億円のモニュメント

 しかし、私が驚いたのはこのモニュメントを造るのに1.6億円もかかったということだ。どうみてもそれ程立派なモニュメントには見えない。本当にかかる高額の費用がかかったのか、あるいは誰か政治家の懐に入ったのでは無いかと疑わざるを得ない。もし、本当に1.6億円かかったのなら、その費用をもっと他のものに使うべきだった。
 年々地球は温暖化が進む。せっかくの広い晴海埠頭公園も真夏には日影がなく、熱中症で倒れる子供達が続出するだろう。それを避けるために日除の設備を作るなどいくらでもアイデアがあった筈だ。本当に小池都政の無策ぶりが残念でならない。

3. 交通の利便性

1)BRTについて

  BRTに実際に乗ってみて感じたのはやはりバスでしか無いと言う事。信号待ちが無いと聞いていたが、新橋に近づくとやはり普通のバス同様に信号待ちがある。車内も普通のバス。バス停から新橋駅までの歩行距離は決して短くない。これは新橋駅の問題だが、地下鉄銀座線に乗り換えるにはかなりの距離を歩かねばならない。
 少しがっかりしたのだったが、実際に日本橋、東京、品川に行ってみて、いずれも「はるみらい」のバス停から20分前後で到着できる事が分かった。交通アプリ「駅すぱあと」で調べてみれば地下鉄勝どき駅から東京、品川へ行くのとほとんど時間は変わらない。また、新橋まで6分で行ける。そう考えると非常に交通の利便性は高い。今は未だ本数も少ないが、それが増え、経路にも多様性が出ればより便利になるのは間違いない。

 勝どき駅まで歩いて15−20分かかり、交通の利便性は非常に悪いと揶揄する人は実際、BRTを利用してみたらなんと言うだろう。そもそも晴海フラッグは大江戸線の利用は前提になっていないのだ。実際に統計をみてみると晴海フラッグの住民で勝どき駅を利用している人は殆どいない。Sky DuoのHPのアクセスの説明では地下鉄大江戸線については何も触れられていない。勝どき駅の入り口に15−20分で着いたとしてもそこからホームまではさらに時間がかかる。無視されるのは当然だろう。むしろ、15分歩けば勝どき駅から大江戸線も使えると選択肢の豊富さを利点と考えるべきなのだ。

 地下鉄大江戸線は決して通勤に便利な路線ではない。PTKに住んでいる多くの人にとって通勤には新橋駅を利用する方が便利なのではないか。ということは『PTKは交通の利便性が非常に悪い。なぜなら新橋まで歩いて20分以上かかる。』と言える。これは冗談で言ったつもりだったが、実際の勝どきー新橋のBRTは『はるみらい』発のBRTよりも遥に運行本数が多く(ピーク時9本/時、オフピーク6本/時と1.5倍の本数)、また、晴海フラッグでは未だ使用されていない連結式のBRTも使われている。それでも通勤時は乗り切れない人が出ているという。つまり、勝ちどきでも本命はBRTで、大江戸線ではないのかもしれない。
 実際の通勤の便は何処に通勤するかによって変わる。大江戸線が便利な人、BRTが便利な人、それぞれの通勤事情に合わせ住むところを決めれば良いのだ。

 ただし、湾岸は風が強い。雨が降る時、風が強ければ外を歩くのは厄介だ。傘は飛ばされそうになり、役立たない。この様な時にバスを待つのは辛いものだ。それだけが残念だ。

2)その他の交通手段

 晴海埠頭から東京駅丸の内までは28分と多少時間はかかるが、始発で座って行くことができる。その他の目的地行きの都バスも本数は非常に多く快適そうだ。江戸バスもある。

 長女夫妻は東京駅まで自転車通勤だ。長男は保育園まで子供を乗せて自転車で行き、そこに自転車を預け、そこから豊洲まで20分歩いて通勤している。ちょうど良い運動で出ていたお腹も引っ込んだ。この様に通勤手段には多様性がある。それは都心まで絶対的な距離の短さから生まれるものだろう。

4.街路樹と緑

 1月に引っ越して来た時には街路樹の緑が乏しく期待外れだった。多摩ニュータウンの稲城地区の杜の小径とも言うべき緑豊かな歩道に慣れていた目には、晴海フラッグの緑は貧弱だった。

稲城長峰の杜の小道

 しかし、これもまた、誤解だった。季節は冬でまだ街路樹もそれ程大きくないのは新しい街だから当たり前のことだった。少しづつ季節が進み緑が濃くなってくると印象がガラリと変わって来た。何年かして樹が大きく成長すれば見違えるように緑の濃い街に変わるだろう。特にシーヴィレッジの前の晴海緑道公園の植樹は密でやがて森のような公園になるだろう。樹だけでない、土が見えない程、何処もかしこも植物で溢れかえっている。こんなに豊かな植栽は多摩ニュータウンでもお目にかかれない。

経年優化でやがて稲城長峰の杜の小道の様になるだろう。

 2月に晴海埠頭公園で早咲きの桜が咲いた。河津桜かもしれない。その後、次々と桜が咲き4月まで桜の花を堪能させてもらった。開花時期の異なる何種類もの桜が植えられているのだった。中には「うみねこ桜」など初めて聴いた名前もある。
 パークヴィレッジ、サンヴィレッジの中庭は日当たりが悪く寂しい印象だった。これもやはり冬の印象で、春になり、夏のように暑い日も出てくるようになると日当たりも良くなり、子供達の歓声で賑やかになった。

 やはり晴海フラッグは団地と呼ぶに相応しい豊かな緑地空間を持っている。私にとって団地・ニュータウンとは揶揄する言葉ではない。緑と広い空間に恵まれた豊な住環境を意味するのだ。まさに晴海フラッグは都心では貴重な団地=ニュータウンなのだ。

 下記は住民の情報交換チャットに投稿された街開きの時に催された外構ツアーに参加した人のレポートである。残念ながら私は外構ツアーに参加できなかったが、非常に興味深い内容なので紹介させてもらう。
+パークビレッジ内の植栽の説明。
+広場の芝生は建物に囲まれて日照時間が短く日陰に強い。
+端の方の一部には虫が休めるように芝生の草丈を長くしている。
+風が強いので、風を木々全体で受け止めるランドスケープデザイン。
+C棟の北側の植樹は野鳥が来るように冬に赤い実のなる樹を選択。
+風邪対策として大きな木は地下でボルトで固定して鳥居支柱で支える。
+歩道に近い木は身長よりも上に葉が茂る木を選んでいる。
 以上の様に見えないところ、気づかないところにも色んな工夫が凝らされていることがわかる。他のビレッジの植栽も同様の工夫が凝らされているのだろう。素晴らしいことだ。だから、どこを歩いても癒やされるのだ。

パークビレッジの内庭

5.ららテラス

 私はあまり都心には住んだ事がなく、都心の買い物状況には詳しくない。しかし、都心には大きなスーパーはなく、小規模なスーパーで日常の食料を買うと言うイメージだ。これまで郊外に住んでいて最も気に入ったスーパーがヤオコーだ。しかし、このスーパーは都心にはなく、せいぜいイオン程度のスーパーが来れば良いなあと思っていた。
 だからサミットと言うスーパーにはあまり期待していなかったのだが、いざオープンしてみると予想以上に素晴らしい。ヤオコーと比較しても決して見劣りはしない。価格も高くない。近くのマルエツ、東部スーパーと比較しても規模が大きく品数が豊富なだけでなく、価格も安い。と言うよりかなり差がある。このようなスーパーが歩いて行ける距離にある住宅群は都心では稀有なのではないだろうか?また、飲食店もそれなりに豊富だ。唯一、不便を感じるのは適当な衣料品が買える店が無いことだ。
 
 また、医療機関も一通り揃っており、十分だ。まだ、各クリニックの評判は聞こえてこないが、歩いて行けるところに医療機関が揃っているのは安心だ。
 つい2週間ぐらい前に風邪をひいた。なかなか治らず、ついに我慢できなくなったのは日曜日だった。明日まで我慢しなければと思っていたが、内科のクリニックが年中無休で開いている事がわかりかけ込んだ。お陰で大事に至らず、すぐに良くなった。

6.共用施設

 共用施設は豊富すぎてまだごく一部しか見られていない。よく利用するのはマッサージルームぐらいだ。本格的なマッサージ器で気持ちが良い。キッズルームは意外と皆楽しんで使っている様だ。ゲストルームもさまざまなタイプがあって悪くない。しかし、私が一番欲しいと思っていたジムとプールはない。残念だと思っていたが、晴海フラッグの共用施設ではないが、はるみらいにはジムがあり、高齢者の私には無料で使用できる。規模は大きくないが、十分な設備が整っている。週に2−3回の割合で利用させてもらっている。また、晴海西小中学校のプールが一般に開放される予定と聞いているので楽しみにしている。晴海フラッグにジムやプールが作られなかったのはこれらの施設が近隣にある事がわかっていたからだろうか。

7.眺望


 私が晴海フラッグを選んだ最大の理由は眺望である。内見で初めて部屋に入った時の感動は忘れられない。玄関から廊下に出ると正面にリヴィングの扉がみえ、その透明ガラスの向こうには海が見えた。リヴィングの扉を開ければ大きく豊洲市場方面の海が見え、ベランダに出ればお台場の風景が目に飛び込んでくる。玄関を入り廊下に出るとこの光景が目に入る。

低層階の眺望

 タワーマンションの高層階からの眺望は遠くを見渡せるのが魅力だ。タワーマンションから見える海のは雄大かもしれないが単なる平面に見えるかもしれない。つまり、タワーマンションの眺望は静画なのだ。
 一方、低階層から見る海の眺望は風の動きにつられ動く波が見え、海上を行き来する東京湾岸の周遊船や屋形船の豊かな表情まで見える。つまり動画なのである。また、低層階からは地上の緑も目に入る。私はやはり生活感のある動画の方が好きだ。

 晴海フラッグの敷地を歩いてみると南東、南西、北西とそれぞれ違った表情の海が見える。惜しむらくは水が汚染されており、綺麗な青い海ではないことだ。それは都心だから仕方ないと諦めよう。

以上

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