2人乗り

友達が結婚をするので久しぶりに地元に帰ってきた。

駅前が学生の頃より栄えていた。けど、実家の近くになるにつれ見慣れた風景ばかりで変わらないところもある。

懐かしくなり1人で通っていた山の上にある中学校へ行くことにした。

あの頃は何も感じなかったのに少し歩いただけで疲れる。坂道の勾配が高い。勾配は変わらないはずなのに悲しいが身体が老いてしまっている。

坂の途中で休んでいると自転車に2人乗りをした男女が中学校に向かって行く。

男の子は立ち漕ぎをしてなんとか女の子を座らせ続けている。けれど、女の子の方は心配そうに男の子を見ている。

なんとも、いい光景である。

だだ、気になるのが今はもうお昼だという事。それに男の子の髪は金髪で女の子は見たことないくらい明るい茶髪だ。しかも男の子は単ラン姿で女の子は制服を着崩してなつかしのルーズソックスを履いている。

そんな中学生カップルを見ていたら女の子と目が合ってしまった。女の子が私の事を男の子に何やら告げ口した。そして、20メートルぐらい離れている所からメンチを切られ叱責を浴びた...

久しぶりに行った中学校は荒れている学校になっていた。中学校まであと少しだったけど怖くて途中で帰った。

私の見てきた2人乗りの光景はもうない。