プロジェクトマネージメント特性比較 Part8 (プロジェクト属性との相関関係と回帰分析)
今回は、プロジェクト、プロダクト開発の属性(新規開発・改良開発)を調査する。開発の属性比較を見てみると、特筆すべきは、新規開発では、生産性において アジャイル型が優位であることである。その他の開発速度や欠陥比率比較では、ウォーターフォール型が優位であり、新規開発においても ウォーターフォール型が優位である。
Productivity (生産性)
アジャイル型においては、新規開発が、6.92 と 機能拡張の 46.2より低く、生産性が高い (BoxPlot 11)。中央値でも 6.3 と 28.55 で、新規開発の生産性が高いと表れた (BoxPlot 12)。また、ウォーターフォール型では、新規開発が、10.75、機能拡張開発が 10.7 とほぼ同じである。中央値でもそれほど変わらない。新規開発では、ウォーターフォール型よりも アジャイル型が、平均値も中央値も低く、アジャイル型の方が生産性が高いと言える。
Speed of Delivery (開発速度)
アジャイル型においては、新規開発が、41.8 と 機能拡張の 23.59より高く、開発速度が速い。中央値比較では、 14.7 と 15 で、新規開発と機能拡張で変わりはなかった (BoxPlot 13)。一方 ウォーターフォール型では、新規開発が 72.76、機能拡張が 61.65 と新規開発の方が開発速度が速い。中央値で見ても新規開発が 58.3、機能拡張が 49.3 と優位である (BoxPlot 14)。アジャイル型と ウォーターフォール型では、全体の比較と同じく、開発速度においては、ウォーターフォール型が、新規開発も機能拡張も優位である。
Defect Density (欠陥比率)
アジャイル型においては、新規開発が、21.01、機能拡張が46.6 と新規開発の欠陥比率が少ない。中央値では、新規開発が 17.9、機能拡張が 21.3 とそれ程には差がない (BoxPlot 15)。一方 ウォーターフォール型では、新規開発が14.45、機能拡張が30.7 と新規開発が半分程の欠陥比率である。これは、新規開発の複数のプロジェクトの欠陥数が 0 である事、また、機能拡張の二つのプロジェクトが 100 を超えている事が理由と考えられる。中央値で見ると新規開発の中央値は、0 であるため少しデータに偏りがある可能性はあるが、ウォーターフォール型の欠陥が、アジャイル型の欠陥と比較して少ない傾向がある(BoxPlot 16)。
次回は、プロジェクト、プロダクト開発の属性(Development Language/Environment (開発言語、開発環境))によるアジャイル型とウォーターフォール型の比較を調査する。