四角いレコードを手に入れた話
去年あたりから香港の80sポップスにハマっているという旨の記事を以前に書きましたが、遂にレコードにまで手を出しはじめてしまいました。。。
香港の中古レコード市場は価格の高騰が平均して甚だしく(CDですら似たような状況)、一生太刀打ちできないと思っていたところでしたが、持ちうるネットリテラシーを何とか駆使した末、ある時ふと良さげなネットショップに辿り着きました。
(敢えてURLは載せないことにするとして…) そのネット通販は現地の中古レコード店が運営しており、日本円にすると6ケタ行くような目玉ひん剥くレベルの価格帯のサンプル盤(白盤)から比較的安価なものまで品揃えも充分。今回はSpotifyで聴いたりリイシュー盤のCDを購入するなどして予め目星をつけていた歌手のレコードをいくつか購入。発送の連絡からちょうど1週間で届きました。
予算と相談しつつ吟味に吟味を重ね、数枚のLPに加えて最後に1枚選んだのがこちらの四角いレコード。
♪ 麥潔文 – Dancing Queen (1986)
香港のUniversal Musicによって企画された8cm短冊CDのリイシュー盤としてリリースされていたものを以前手に入れてはいたんですが(このリイシュー企画についても色々突っ込みたいんですが一旦置いといて…)、オリジナル盤が四角いレコードとなればコレクター心をくすぐられずにはいられない。
当初Discogsに載っていた情報では7インチと書かれていましたが、実際に見てみると7インチ(17.78cm)のEP盤よりも一回り大きく、一辺の長さを計ってみたところ8インチ(20.32cm)でした。
シェイプドレコード沼…なんてのもなかなか深くて恐ろしそうなので手も足も出せませんが、自分が持っているレコードコレクションの中にもう1枚だけありました。こちらはTodd TerjeのジャケでおなじみのイラストレーターBendik Kaltenbornが手がけたピクチャーレーベルに惹かれて買ったもの。
話は戻って四角いレコード。こちらは麥潔文(コニー・マク)という女性歌手がCrown RecordsからCinepoly(現Universal Music)に移籍後の1986年にリリースした6作目のアルバム「勁舞 Dancing Queen」…の収録楽曲から3曲がディスコリミックス(=エクステンデッド版)としてコンパイルされたEPとのこと。
ちなみに彼女による四角い8インチレコードEPシリーズは2年後の1988年にもう1枚発売されており、7作目のアルバム「Come On, Rock!」からのリミックス盤「Kitman Remix」も存在するようです。(こちらは中古の在庫が無く購入できず。)
80年代の香港ポップス界ではこうしたリミックス盤のリリースが非常に盛んだったようで、先に触れた8cm短冊シングルのリイシュー企画でも様々なアーティストによるリミックス盤が再リリースされていたり、リミックスバージョンだけを集めた8枚組・全101曲(!!!)にも及ぶコンピレーションアルバム「REMIX 101」なんてのも出ていたりもします。このコンピも買いましたが、時系列ごとのリミックス文化の遍歴を追ったブックレットまでついてて非常に勉強になるのと同時に、DJネタとしても非常に"使える"楽曲が数多く収録されている代物でもあります。
というのも、80年代から90年代にかけて香港のポップス界では日本の歌謡曲や洋楽のヒットソングの広東語カバーが大流行しており、我々の耳に馴染んだ往年の名曲が(原曲のアレンジに極力忠実な上で)広東語として歌われていて、なんなら本国で聴かれる原曲よりも香港で大ヒットしていた、なんて曲もあったようです。
そんな広東語ポップス・通称Cantopop(カントポップ)を聴き進めていくうちに、ちょっとの可笑しみを含んだ面白さと魅力を感じてしまい(元ネタ探しの楽しさも含め)結果的に沼堕ちしてしまった次第です。
麥潔文も例に漏れず、アルバム「勁舞 Dancing Queen」に関してもほとんどの収録曲が何かしらのカバー曲でした。(クレジットを見る限りは下記の曲以外にも数曲カバーらしきものがありましたが元ネタが分からず…)
もちろん香港の作家による純然たるオリジナル楽曲もあり、その中でも特にレコードを買うに至らせるまでに気に入ってしまった曲が、こちらも麥潔文のアルバム「勁舞 Dancing Queen」の最後を飾るこちらのナンバー。
イタロディスコ的なシンセサウンドで哀愁を感じさせつつもメロディーはしっかりアジアンポップスで、歌詞の内容(恋人に会える日曜日を待ち焦がれる女子)や本人の歌唱力の高さも相まって非常にグッと来るものがあります。
今後も広東語ポップス、ディグってくぞ。
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