アロハおじさんとご縁の話
スーパーで買い物後、お釣りやレシートをしまっていると、初老の白人男性とふと目が合った。彼は青いアロハシャツを着て、何かのジュース缶を手に持っていた。
「 いいショッピングはできた? 」
おじさんが話しかけてきた。
ぎくっとする。
海外でも日本でも、道を聞かれる以外は基本聞こえないフリなので(怪しい人か街頭アンケート、宗教勧誘のことが多いため)返答しようか迷った。
彼の笑顔は、そんな怪しい感じはしなかった。
恐る恐る「はい、ちょっとしたものを買いました。ハワユー?」と無難に答える。
「アムグー☆ 日本人?ボクチョット日本語ハナセルヨ。」
めっちゃきれいな発音で日本語を話しはじめた。30年ハワイにいるのだとか。
元々カリフォルニアにいたそうだ。
「 僕はハワイが好きなんだ 」
にっこりと、本当にハワイが好きそうに話す彼の笑顔は、とてもピースフルで、こちらまで明るい気持ちにしてもらえた。
去り際には「 アロハ 」と気持ちよく挨拶してくれた。
こちらも「アロハ」と返す。
He made my day, である。心の中で、感謝を込めて彼を拝む。
会話をもっと繋げればよかったなぁと。警戒心を解けきれず、そそくさとその場を切り上げてしまった。
もちろん、知らない人を警戒するに越したことはない。特に海外は、フレンドリーなフリして後ろから別の仲間がお財布スることもある。日本だって、皆が優しいとは限らない。
ただ、常に疑ってかかるって、ちょっと寂しいかもと思った。
もう少し人にオープンになってみようかなと。誰に対してもフレンドリーになるという訳ではなく、大丈夫そうな人は、もう少し会話を続けてみようと。
自分の身は自分で守る。その上で、ご縁を楽しみたい。
ありがとう、アロハおじさん。
ちなみに、私は一人旅が多かったので、フィジーでは知らないフィジー人とタクシーの相乗りをし、知り合ったばかりの中国人の車で目的地まで乗せてもらうくらいには、海外で警戒心バリバリだった。
押しに弱い、典型的な " NOと言えない日本人 " を拭えなかっただけである。
なんかもう、こういうのって運だと思うんだ…。だって疑ってばかりじゃつまんないじゃん…。人との出会いって旅の醍醐味のひとつだし。だからこそ、今日が最後と思って楽しんで良いと思うんだ。
自己防衛のベストは尽くすけど、無責任と言われても、無責任なこと人生で一度もしなかった人って、どれほどいるんだろうか。人目を気にして生きて、病床で後悔した人はどれほどいるんだろうか。長生きでも短くても、本人が楽しい人生だと思えたなら、それで良い気がする。個人的には。