さよならの前日
父が突然亡くなった
あまりに突然の事で家族みんなまだ受け止められない
とても優しい人だった
口数が少なく
あからさまに優しい言葉をかけたりできず
それでいて、時々とっておきの言葉を
伝えてくれた
お酒が大好きで
いつもお酒で失敗しちゃう人
優しすぎて、そんな優しさを利用される事も
しばしば
代わりに腹が立つ事も
「もういいよ」と笑って言ってた
そんなところが似てるのか
私も時々そんな目にあう
でも父の優しさをわかってくれる大勢の人も
いると言う事を
通夜の席で知る事ができた
「優しい人だった」
優しいだけじゃ,人より損するし
辛い目に遭うことが多い
わかってたのかな?私には
「もう全部受け止めず
そろそろ上手に逃げるようにしないとね
誰かに甘えて、ちゃんと頼れるように
なりなさい」と
どんなに子ども達が道に迷っても
ずーっと待っていてくれる人だった
そして仕事が大好きな人だった
「大変だよ」って言いながら
人に必要とされている
自分の仕事があると言う事を
嬉しそうに,誇らしげに話してくれた
高齢になっても、引き続き仕事を続け
たくさんの事を任されるエンジニア
もうむしろ職人だった
結局生涯現役だった
旅立つその日も仕事をし
大好きなお酒を買って
家に向かっていた
いつも通り帰って来て欲しかった