DOBERMAN INFINITY について語ろう
語ろう、と書き出したはいいが、どこから語ろうかなぁ。ハイローのオタクがLDH繋がりとはいえ急に1グループに対して長文語りをするなんて何が起こったんだって感じですが、ツイッターじゃあ書ききれないことがいっぱいあったので、自分なりの備忘録も兼ねてダラダラ書いてみたいと思います。
まず、自分語り失礼します。(興味ない方は飛ばしてOKです)
【自分語りここから】
ツイッターではハイローのオタク、村山と轟にハマって中の人にハマってそれぞれの出演作を履修しては気持ち悪い長文の感想ツイートを垂れ流すことでお馴染みのワタシことオタクですが、元々は「音食い」を自称するジャンル無節操に音楽を愛する音楽オタクでもありました。
父親がクラッシックオタクなので(オタクは血筋)、バッハとストラビンスキーで産湯を使い(父はモーツァルトのオタクですが、娘たちはモーツァルトはお好みではなかった)、歳の離れた姉の影響で小学生の頃から洋楽に親しみ、ビートルズ世代の母にQueenを薦めたら激ハマりしてCD全部集めてライブDVDまで買い集め始めて娘驚愕。(繰り返しますがオタクは血筋)
姉が洋楽ポップスから道を逸れてメタルを聴き始め、私も中学生の頃には完全にHR/HMの女となり、当然趣味を分かち合える友達は少なく、クラッシックが基礎にあるせいで、LAメタルではなくヨーロッパのシンフォニックメタル系を聴きあさる青春時代を過ごしました。プログレも嗜み、その関係で民族音楽などにも手を広げるように。
元々漫画やアニメも勿論大好きだったオタク、学生時代にアニメサントラ界の風雲児、菅野よう子と出会って完全に人生の道を踏み外します。アニメ&ゲーム音楽というジャンルは、私が通ってきた雑多の音楽ジャンルを全て網羅する、あまりにも懐の広すぎるジャンルだったのです。
クラッシック音楽にも引けを取らない壮大なオーケストラの交響曲もある(菅野よう子お得意の「天空のエスカフローネ」、「ブレンパワード」など)、私の慣れ親しんできたメタルだってある(ゲーム「ギルティ・ギアシリーズ」の音楽担当の石渡さんは同世代のメタルバンドを通ってきている方なので肌馴染みが良すぎてもはや実家)、「ベヨネッタ」はオーケストラとメタルの複合ジャンルの最高峰だし、メタルと和楽器を融合させた「大神」のサントラは世界中の人類に聞いてほしい。
その音楽オタクが、HiGH&LOWに激ハマりした要因の大部分を「音楽の使い方」、が占めているのは言うまでもないことでしょう。
何でも聞いてきたくせに邦楽にあまり馴染みがなかったので(アニメタイアップしたことがあるアーティストにはそこからアルバム買ったりしてハマることもありましたが)、EXILEファミリーにはまったく触れてきませんでした。
元々、何でもあるアニメ音楽でも、そういえば昔はヒップホップがあまりなかったので(サムライチャンプルーくらい?)、食指も動かなかったんですよね。今はヒプマイとかありますからね、良い時代になりました!
【自分語りここまで】
さて、ヒップホップ、格好いいのは分かるけど、陰キャオタクとしては自分とは無縁の、対極なキラキラした世界でパリピが聴いてる音楽、みたいなイメージがあって。EXILEなんかその最たるもので、パリピでお金持ちな人たちっすよねーと、それだけで敬遠しちゃって。あとなんか、普通に怖い。見た目が。めっちゃ日焼けしてる。冬でも。インドアオタク、それだけでも腰が引ける。
ところが、食わず嫌いを押して観た映画「HiGH&LOW」の、何と肌馴染みの良いことか!
細けぇことはいいんだよ!と言わんばかりの大雑把&力技なストーリーに、魅力的な個性豊かなキャラクターが恵まれた身体能力をフル活用して格ゲーばりのド派手なアクションをする。各陣営でイメージカラーや衣装の統一感があるところはCLAMPデザインを彷彿とさせるし、何といっても、各チームの登場シーンや見せ場でかかる専用テーマ曲の存在、これはもう、「スーパーロボット大戦」じゃん!と膝を叩いてウケました。
そして、「MUGENは仲間を見捨てねぇ」の台詞からドン!とかかるMUGENのテーマ曲!!あれに痺れないオタクはいないと思うなーオタクはさーー!!!!(主語が大きい)
さて。
そんなわけで、良い映画を観たらすぐにサントラを買うことでお馴染みのオタク、ハイローもサントラを買おうとしたのですが、サントラ、というものがない。映画音楽を心から愛する者としては大変遺憾なのですが(今でも諦めてないのでHIROさんサントラ出して下さいよぉ!!メイキングDVDとセットでHiGH&LOWヒストリーBOX的なやつ出しましょうよ!!!)、代わりに出ていたのがそのテーマソングがぎっしり詰まった二枚組のCDで。
大好きな達磨一家のテーマやMUGENのテーマも入ってる。おお、これは何とお買い得。
その流れでザラ(「HiGH&LOW THE LIVE」)を観たオタク、「ハイグラは国歌」と唱えるようになる立派なハイローオタクに。
しかし。そんな私ですが、ドーベルさんには実はハイローではハマらなかったんですよねぇ。
最推しの鬼邪高のテーマの担当がドーベルさんなのですが、ジャパランこと「JUMP AROUND ∞」はとても分かりやすくヒップホップ。ジャジャーン、とあの曲と一緒に登場する村山さんはめちゃくちゃ好きですが、楽曲そのものが好きかといえばそうでもなく。(後にカバー曲と知る)
山王のテーマこと「Do or Die」もゴリゴリのヒップホップ。格好いいとは思うけれどそれ以上ではなくて。
「格好いいけど、めっちゃ怖そうないかにも不良っぽいヒップホップグループ」
のイメージのまま月日が流れます。
そして、あの日が来ます。
2019年12月26日 横浜アリーナの「HiGH&LOW THE WORST」応援上映&THE RAMPAGEのライブ。
あの日、非常に幸運なことにアリーナにいた私は、そこで初めてDOBERMAN INFINITYの生歌を浴びることになります。
まずは、グループについて概要をWikipediaから抜粋。
DOBERMAN INFINITY(ドーベルマン・インフィニティ)は、日本のヒップホップグループ。LDH所属。レーベルはLDH Records。
メンバー
KUBO-C(MC)
GS(MC)
P-CHO(MC)
SWAY(MC)
KAZUKI(ボーカル)
MCとボーカルの違いってなんやねん。私もよく分かっていなかったのですが、簡単に言うとMCはラップをする人、のことですね。ボーカルのようにメロディに乗せて歌うのではなく、リズムを刻んで韻を踏んだリリック(歌詞)を発声する人。メロディをあまり重要視しない代わりに、言葉の持つパンチ力が必要とされます。音程よりリズム感、そして滑舌超大事。
私はジャパランくらいしかちゃんと聞いたことがなかったので、このメンバー構成もよく分かってなかった。LDHのアーティストなので、きっとあの集団の何人かはパフォーマーなんだな、と思っていました。
そんな私の前に突然バーン、と出てきた兄貴たち。THE RAMPAGEの皆さんを「人数が多い……横アリのステージが狭く見える……ぶつかりそう……」とぼんやり見ていた私の頭を、五人五様の「声」でぶん殴って来ます。一気に目が覚めました。(ランペが暇だったわけではなく、人が多すぎて何か曲に集中出来なかったんですよね)
あ、全員歌う人だ。安心する。
私、どうもLDHのパフォーマンス中心の文化に馴染めなくて。目で楽しむ音楽、というスタイルなんですよね、あれって。でも私は音楽は耳で楽しんできたので、ライブも「観る」よりも「(生歌、生バンドを)聴く」為に行くので、音に集中出来ないのはちょっと相性が悪いっぽいです。これは本当に人によるので、私の場合は、の話です。
ちょっと話が逸れますが、私、LDHの音楽大好きなんですけど、元々少し物足りなく思うところがあって。それは、ボーカルについてです。
歌唱力とかの話ではなく、せっかく複数ボーカルがいるのに、なんでハモらないんだろうって。
ハモリ大好き人間のオタク、交互に歌うんじゃなくて一緒に歌ってほしい! 雨宮兄弟の「SIN」みたいな歌もっと歌ってほしい!! どうしてハモってくれないんだー、というか、どうして複数ボーカルなのに割と音域近い人同士で組ませるんだーじたばた。ずっとそう思っていたんですが。
しばらく経って気がついたんですが、これ、ライブの為なんですね。多分。
二時間、三時間という長時間のライブをクオリティを落とさず歌いきる為に、重ねるのではなく、交互に歌うことで喉を休める時間を楽曲自身に入れておく。特にLDHアーティストのキーは一般的な男性アーティストの楽曲より全体的に高いので、歌いっぱなしだと保たないんじゃないでしょうか。極端に音域が違う人同士で組まないのも、同じメロディラインを交互に歌う為には必要なことで。いや、素人なんで違ってたらごめんなさいだけど。
でも、ハイトーンの歌を聴いた時の聴き手の脳が快感を感じるっていうのは実際ある現象だったと記憶しているので、ハイトーンで長時間歌うのは苦しいはずですが、そこら辺はLDHのこだわりなんだと思います。
パフォーマンスありきで成立しているLDHミュージック、つまり、楽曲を作る段階からライブワークを念頭に置いているわけで。この、ボーカルが必要以上にハモリをせず、交互に歌う形式もその為だったんだなぁ、といくつかYouTube公式ライブ配信とかを見て思った次第。CD音源と同じことをライブでも再現出来なかったら意味がない、というポリシーなのかもしれません。(DJが板の上にいる以上、いくらでも録音音源かぶせてそれっぽく再現することは出来るのに、その辺りの誠実さがめちゃくちゃ好きだ)
で、長時間のライブをクオリティ落とさず歌いきる為の「交互」と「ハモリ」を両立させる方法。あるじゃん、ボーカルの数を増やせばいいんだよ。(子供の算数)
勿論、ドーベルさんは元々DOBERMAN INCという、LDHに所属するよりずっと前からあった「複数のMCが掛け合いをするヒップホップグループ」だったわけですが、いかにもLDHアーティストらしいハイトーンボーカルのKAZUKIをメンバーに引き合わせたHIROさんの頭に、このライブ内でも再現できる「ハモり」に対する挑戦の意識はあったんではなかろーか、と勝手に思ったり。
まずはちょっと、この曲を聴いてみてほしい。
あ、引かないで。妖怪つるべ落としの集団みたいなMVですが、ちょっと聞いて欲しいことがあるんで。
これ、よく聞いて下さい。
この曲を構成している音、ほとんど人間の声だけなんです。
ベースのリズムだったり、エフェクトはかかってるんですけど、ほぼ人の声を重ねて重ねて作られています。
声を楽器として使っているんですね。面白い。私全然ヒップホップ詳しくないんですけど、ヒップホップってこういう文化があるんでしょうか。なんというか、ケチャとか、そういう民族音楽の手法に通じる気がします。ハモりとかそういうレベルじゃない。
たまたま重なったハモり、ではなく、最初から複数の音が一緒に鳴った時を想定して作られる音楽。それを合奏、合唱、オーケストラと言います。
正統派のメロティを奏でるKAZUKIのボーカルがど真ん中にあるのは勿論ですが、錆び錆びの低音を鳴らすKUBO-C、厚みがあって明るい安定感のあるトーンのGS、艶があって全体をリードするP-CHO(ライブワークもこの人無しでは始まらない)、そしてKAZUKIと他のMCのちょうど中間のトーンでボーカルも兼ねられるオールラウンダーのSWAY。全然別の音色を持つ五つの楽器を組み合わせて作られた合奏、それがDOBERMAN INFINITYの音楽、なんですね。
凄く特徴的なのは、やっぱり、このゴリゴリのヒップホップグループのど真ん中に、KAZUKIのヒップホップとは対極のハイトーンで綺麗でブルージィなボーカルがあって、それがほとんどの曲で周りのメンバーと歌い方を合わせたりせず、一人孤高を保つ、というところなんですよね。(よく引っ張られないなぁってライブ映像とか観ると思います)それなのにちゃんと合ってる。ハーモニーになってる。
有名な「DO PARTY」でもそれぞれの個性が際立っているわけですが、音楽的なギミックがいっぱいあって本当に面白い。
キャッチーなサビはライブでも一旦お客さんをしゃがませてから一気にジャンプさせる、おばさんこれ一緒にやれるか不安だな……となるような大盛り上がりでご機嫌な曲なんですが、ラテンモチーフの音あり、ヒップホップらしいマシンガンライムあり、クラップハンズの賑やかしあり、でも、KAZUKIのボーカルだけを抜き出して聴いたら多分びっくりするくらい大人しい曲になるんですよね。色んなジャンルの音を玩具箱にツッコんで、そーい、とひっくり返したみたいな曲だな、と思いました。めちゃ楽しい。
他にも「YOU GO I GO」とか「スリルライフ」とか音の作り方について語りたい曲がいっぱいあるんですが、MVがないやつは伝わりにくいなぁ。
とにかく、ハイローの曲ではそんなにピンと来なかったな、とか、ラップにはそこまで興味ないんだよね、という人にこそ聴いてほしいDOBERMAN INFINITY。
まだまだファン新人な私ですが、既にしてやっべ、沼だな!!!!と思っています。