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小説(SS) 「デブリ帯ドライブ」@毎週ショートショートnote #だんだん高くなるドライブ

お題// だんだん高くなるドライブ

 商社に勤めるアイナ・リスボンは、火星周縁部にある採掘資源衛星N16に視察で訪れるべく、その玄関口のシャトル発着所にきていた。

「すまないがね、お嬢ちゃん。そのチケットじゃ、乗せてやるわけにはいかねぇんだ」

「なんでですか、会社から事前に発行されたもので照合はとれているはずです」

「そいつぁ、一ヶ月以上も前のレートのものだろ? ここ最近はな、毎日のように値段が上がってるんだよ。乗るってんなら、そのチケット五枚分の金が必要だ」

「そんな理屈が……! だいたい、急に値段が上がるなんておかしいじゃないですか!」

「んなこたぁねぇぜ。スペースデブリが増えてきたんだ。なにが原因かは知らねぇが、その除去作業でおれらの給料だってカットされる始末だ。金がねぇなら、おとなしく帰るこった」

 現場へ到着するには、このシャトルに乗る必要があった。しかしアイナには、要求された金額の持ち合わせがなかった。

「じゃあ、もういいです!」

 アイナはそう吐き捨てると、別の発着所にあった旧式の輸送AIタクシーを使い、目的地を設定した。このタクシーなら多少は時間がかかるが、型が古い分、手持ちのお金で対応ができる。

 しかしアイナは後悔した。なんと、自動運転中に彼女の乗るタクシーがデブリと衝突し、車体が潰れるほどの大事故に巻き込まれてしまったのである。

 かろうじて怪我を免れたアイナは、救出されながらに悟った。これこそが、デブリが多くなった原因であると――。


〈了〉608字




なんだか最近は、投稿が遅れ気味ですが、
ギリギリ企画に乗らせていただいております〜。

お題に苦戦するようになってきた感があります。
筋肉のときは、とても楽しく書いてた気がしますが……笑 ここ最近は難しいです。。

ではではまた〜。

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