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障害?障碍?障がい?

先日(令和5年11月ごろ)、勤め先の病院に外部講師として来られた先生が言っておられました。
院内で配られた書類が『障碍』表記になっていたことを受け
厚生労働省の最新の見解では、障害という表記で問題ないとなっている。こうした最新の情報を管理職の方々はもっと勉強された方がいいじゃないでしょうか」
と。

この先生、何度かお話をさせて頂いたことがあり、やりとりの中で信頼できる方と感じています。
常に新しい知見を収集され、上記のように管理職に対してきっちり意見を言ってくださる。現場の味方であり、管理職もしながらご自身も日ごろから現場に入って業務をされている。
ですので、この方が言われるならそうなんだろうと思い『障害』という漢字を使っておりました。

しかしこれは1つ大きな反省点です。
医療従事者というものは本来、エビデンス(根拠)をもとに行動すべきです。誰かが言ったから、というのはエビデンスでもなんでもありません。
というわけで、こうしてまかりなりにも発信する立場に立っていることもあり改めて調べてみました。

厚生労働省の見解、というものを探したわけです。
ところが…これがまあ、見つからない。

唯一、令和3年の文化庁が出した「障害」の表記に関する国語分科会の考え方というファイルを見つけることはできましたが…
これがマジで何を言いたいのか分からない。
すみません、僕の読解力の限界です。
というか、結論を頭に書こうよ!分かりやすい文章の基本じゃないのか!

まあ僕がなんとか解釈したこととしては…「デリケートな問題だしゆっくり議論するけどとりあえず保留ね!」というように読み取りました。

令和三年ですし文化庁のものですので、今回探そうとしている厚生労働省の見解とは別物でしょうしね…いかんともしがたい。
ちなみに行政はといえば、自治体によって表記が異なるという状態。
うーん…「厚生労働省の見解ではOK」という話自体が間違いなのか、それともまだ定着していないだけなのか。

個人的には、どんな言葉を遣おうと遣う人の気持ちが大事であって…こういうハッキリしないことがあると余計「なんだかめんどくさい分野」として敬遠されるんじゃないかと思ってしまいます。
なので、厚生労働省が「障害で問題ないと見解を出した」と聞いたときには、やるじゃん厚生労働省、と思ったわけですが(良い悪いはさておき、答えを出したこと自体に対し)。
調べても結局よく分からないという結果になってしまいました。

なんていうんですかね…簡単に決められる問題ではないということは分かるんですけど。
ただ、軽く調べただけでもこの1,2年で「当自治体では障碍と表記することに決めました!」というホームページがいくつかでてきます。

多分それまでに議論があったでしょうし、実際に表記を変えるにあたっていろいろとお金も時間も使うことになるわけで…。
なんか、他にエネルギーを使うべきことってあるんじゃないかって思ってしまいます。

と、考えながらいろいろ調べていたらこの記事がしっくりくる解説をしてくださっていました。

社会モデルを基に考えると「害の字を使うのは差別になる」という考え方自体が個人に障害を内在させてしまっていることになります。つまり「害があるのは社会の側なのだから、害の字を使うことに問題はない」という考え方に変化したのです。逆に言うと「害の字を使うのはよくない」という考えは、[害があるって表記されるのは気の毒(可哀想)だから“障がい”にしときましょう]と言ってるようにも聞こえます。

リンク先の菊池哲平教授の記事より引用


ああそう!それ、そのようなことが言いたかったんですよ僕は!多分!
言語化してくれてありがとうございます…。

とはいえ、だからみんな「障害」を使おうぜ、で解決できる話でもないのが難しいところですが。
ただ改めて…調べるって大事だなと。
上で挙げた外部講師の先生を疑っているわけではなく、自分で根拠を取り込むというプロセスは踏まないといけないな、というお話です。
いろいろ勉強になった一件でした。


サポートって…素敵やん? 島田紳助さんが伝わるのっていくつぐらいの方までなんでしょうね。