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ここで急に歩けなくなった。通るたびに思い出すんだよ。

私の文章は長くてだるだるなので最初に言いたいことを言っちゃいますね。

看護師をしていて分かったんですが、対象となるその人の感覚や思考は私達には想像出来ないほど重くて深いんですね。掘り起こすとそれはそれはまー深くてぜーんぜん見えないもんだから見えるところまでしか見ようとしないですけれど、ふとそれが見えたりすることがあります。

対象者、私たちでいう患者さんの深いところをちゃんと理解しながら話をしてあげたいんです。

浅はかな人で話が通じないなぁと思われちゃ、恥ずかしいですよね。

今日はそんな話です。分かりにくいですねー笑
話していきます。


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その方はめっちゃくちゃな変態おじさんで笑。
看護師からもなかなかに煙たがられてました。
新人さんには遠慮してなにも言わないんだけれど、私みたいなガサツな看護師にはなんでも許してもらえると思ってセクハラまがいのことをめっちゃ言ってくるんです笑


「寺ちゃん、今日もデートしてくれる?」


朝行くと必ずそう言われて、15時過ぎくらいに中庭に散歩に行きます。私も内心楽しみなんですね笑。業務を抜け出して中庭で背伸びするのが。だから、もー、またー?とか言って嫌そうな顔するんだけど全然嫌じゃない。むしろ楽しみ。


15時。いつもと同じように
車椅子に座って
トイレに寄って
ナースステーションの前を通って
エレベーターホールへ向かう。


あ、マスク持ってくるの忘れたわ
ちょっと待ってて!

ナースステーションの前で待っててもらいます。



戻ってくると 



患者さんがぼんやりと呟くんです。



「ここでリハビリしてる時、急に足に力が入らなくなって…それから歩けなくなった。ここを通るたびに思い出すんだよ。」


脳腫瘍。
その方は手術を何度も繰り返していました。
リハビリをして転院という時に腫瘍内出血を起こして片麻痺になりました。自立していたけれど、それからは車椅子での生活です。


ぽろっと言ってくれたんですね。
動けなくなったその瞬間の気持ちをね。



自立の人が自立じゃなくなる瞬間。



それを生々しく感じました。



もーこっちは、車椅子介助が多すぎて感覚がマヒってるんです。「自立」とか「車椅子」とかっていうワードでADLとして頭に叩き込んでるだけなんですね。



あちゃー…。私って浅はか〜。
って思いました。


変態おじさんは変態おじさんなだけではないんですね笑
力が入らない。動かない。なんで。
っていう感覚と今も一緒に生きてるんです。



高齢者や疾患を抱える人と関わっていく以上、誰しもそういう喪失の感覚を持っていることを私達は丁寧に想像しながら関わっていく必要がありますよね。




20歳や30歳そこらの看護師がめちゃくちゃ歳上の方々の感覚を想像出来るかなんておこがましいですが。



対応が丁寧とか、言葉が丁寧とかそういうのとはまた違う丁寧さで関わりを持つことが大事です。語彙力ないですね。めちゃくちゃ表現が難しい。



今日はそういうぼんやりとしたことが伝えたかったんです。



ちなみにこの患者さんからのこの言葉はカルテに残しておきました。
私の勤めていた病院はSOAP記録を活用していたのですが、


S: ここでリハビリしてる時、急に足に力が入らなくなって…それから歩けなくなった。ここを通るたびに思い出すんだよ。

O:前を見つめて、ぼんやりと呟いている。


S(患者の発言)、O(客観的情報)しか記載しませんでした。本当はA(アセスメント)、P(プラン)も書かないといけないんだけどね笑。みんな想像して。って思って敢えてここまでしか記載しなかったんです。自分自身がこの方にどう関わったかをここぞとばかりに書いてもよかったんですが、それは違うかなと思い書きませんでした。私よりもいい関わりを導き出せる看護師がいるかもしれませんしね。


記録の監査で引っ掛かりそうですね笑



まぁ、いっか。





ここまで読んでくださりありがとうございました。

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