国民皆保険と被保険者証とマイナンバーカードと報道とに思う
今年の12月2日から、健康保険の被保険者証は発行されないという。
とにかく、政府は押し切るつもりだ。医療機関にはポスターや案内プレートが設置され、受付担当者は
「マイナンバーカードはお持ちですか」
の声かけをしてくる。
マイナンバーカード取得は任意。
しかしなかなか目論見通りに利用が拡がらないからと、これまでの健康保険証を廃止する暴挙に出た。
わざわざ不便な状況を作り出し、追い込もうとしている。
介護施設では、保険証強制廃止の暴挙が現実になれば利用者のマイナンバーカードを預かることなどできないと困惑していることは既に広く知られているのに、
「困っているそうです」
「困っているらしいです」
「さあどうするんでしょう」
という他人事のような報道に、ほんとうにこの国の報道は骨抜きだと慨嘆する。
保険証の発行がなされなくなっても、そのとき持っている保険証が1年間は使えるとか、資格確認書が発行されるとかいうけれども、就職・退職等で保険者が替わるときにどうなるのかがはっきりわかるような周知はなされず、先日見た医療機関の掲示物には、資格確認書のことは書いてなかった。
マイナンバーカードとマイナンバーは別物だ。
保険証の情報、基礎年金番号の情報、住民登録などは既にマイナンバーに紐付されている。
だから、医療機関のほうで来訪者からなんらかの身分証明書の提示を受け、確認して照会すれば、どの保険者の健康保険に所属しているかには(照会をかける方も受ける方も手間はすごいことになりそうだが)いずれはたどり着けるだろう。
マイナンバーカード、別に万能の魔法のカードではないので、窓口で保険情報が確認できないことはある。マイナンバーは紐付ツールに過ぎず、資格の得喪手続をしているのは各関係機関の担当者=人間だ。
マイナンバーカードを用いた被保険者資格確認でエラーになるケースでわりとよく起こりやすいものに、例えば国保に加入していた人が就職して社保の被保険者になった場合があると聞いた。国保は本人が自治体の窓口に出向いて手続しなければ自動では喪失しないため、資格情報が二重になって認識できずエラーになるらしい。
マイナンバーカードを使おうがどうしようが、エラーになるときはなるのだが、サブの確認手段としての被保険者(被扶養者)証があれば確認できることなのに、その補助手段を棄てるつもりなのだな。
主導権を握っているやからが、トラブルのときには責任回避に全力を傾けることは明白だ。
つい先日、韓国ドラマ『悪の花』を視聴していて、18歳以上は住民登録の際に指紋登録をするらしいエピソードがあった。
たしか、1980年代後半には、『外国人指紋押捺問題』が盛んに報道されていた。日本に住む外国人には指紋押捺義務があり、人権問題として論じられていた。拒否して、力ずくで押さえつけられ、無理やり指紋を採られたという話もあった。
あの問題は、今はどうなっているのだろう、今は報道されていないと思うが、押捺義務がなくなっているのだろうか。
注)ドンカンオさんにいただいたコメントでは、外国人の指紋押捺は2000年頃に廃止されているらしい。
韓国国内で指紋採取登録義務があることに決まったときには、時代の趨勢として受け入れたけど、それより以前の件は、日本では普通に生活しているだけでは指紋採取されないのに外国人だけに押捺義務があるのは人権無視ということだったのだろうか。
フラッシュカードを目の前で目まぐるしく見せられるように、時事問題は次々と変わる。
時代につれ、人の意識も変わる。
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