『お互い様』がなつかしい。ばかばかしい世の中に。

3年が過ぎようとしている。いつまでこんなことに付き合わされるのだろうか。

勤務先で社会保険に加入している人は、毎月健康保険料と厚生年金保険料を徴収されるかわりに、私的な事情で怪我や病気の災厄に見舞われ医者にかかる際には健康保険証が使える。昔のように「被保険者本人は1割負担」とはいかないが、今だって負担が3割で済むのは非常にありがたいことだ。仕事ができなくて給与が支払われないときには健康保険から傷病手当金を受け取ることができる。
ただしこれは私的な事情による怪我や病気に限られる。

勤務先で就労しているときに業務を遂行することに起因して病気や怪我が生じたときには保険証は使えない。業務に起因し、業務遂行が病気や怪我の原因であるときには、労災保険で治療することになる(通勤に起因するときも労災保険の範疇)。こちらは、労働者の自己負担額はなく、医療費は全額労災保険がカバーする。療養のために就業できず給料の支払いが受けられない日については休業補償給付が支給される(通勤の場合は休業給付という)。最初の3日間は会社負担だとか、通勤の場合は最初の3日間はお金はどこからも出ないとか、いろいろあるがそこは省く。雇われている人が就業先の業務由来の病気や怪我の状態になったら労災保険の出番ということ。

この3年間世の話題の中心になっている感染症に罹患したときに、労災保険の対象になる場合がある。プライベートな事情ではなく、雇われている先で業務に従事したことが理由で感染した場合だ。
「業務に従事したことが理由」とまで明白でなくとも、『同時期に職場の複数名が発症して彼らの同居の家族に罹患者はおらずプライベートでの感染の心当たりがなく、状況を鑑みると職場での感染の可能性が極めて高い』という場合も労災保険の対象とみて申請することが可能…らしい。

就業との因果関係が明白な場合に、労災保険になるのはわかる。医療従事者などは病原体への曝露においての危険性は別格。
でもこれまで、一般の職場において、インフルエンザとかノロウイルス・アデノウイルス・ロタウイルス等の感染症に職場仲間が次々に罹患したとしても「健康保険証を使ってはいけない、労災だ」となっていただろうか?石綿など有害物質への曝露とはまた別問題だと思う。度を越して、うつした・うつされたという視点で追求していくと近視眼的な加害被害の発想にとらわれて抜け出せなくなり、社会が病んでいきそうだ。どうやってうつったか、なんてことは特定できない場合が多い。常識の範囲内で気をつけたらあとはお互い様じゃないだろうか?疲れすぎていたとか、寝不足だったとか、いろんな個別事情もあるだろうし、全てを検証し切れるものではないんじゃないか?
わざと迷惑行為をするのは論外として、『自分は他人に迷惑だけはかけないようにしている!』と言い切る人が多い昨今の社会は、見方を変えれば他責的・独善的に偏っている。
狭く深く追求しすぎた挙げ句、「大切な人を守るためのナントカカントカ」という謳い文句に抵抗しきれなくなり、不本意ながら…ということも流れとして想像できる。

県知事が、年末年始の大きな流行の波に巻き込まれる前に、と、「ナントカカントカ」を受けるようにと呼びかけているらしい。
でもこれ、効果があるようにみえないんだけど。
県知事勇気あるなぁ。立場上仕方がないのかもしれないけど、後日、「あれは有害だったということがわかりました」なんてことになったら、どうするんだろう。せっかく『任意』として導入されてるのに。宣伝はもう充分したから、「教えてもらってないから知らなかった」と苦情を言い立てる人はまずいないと思うんだけど。これ以上推奨活動しなくていいと思うんだけど。



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マンネンロウ
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