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社保の扶養は廃止に向かう

今朝の公共放送ニュースを片耳で捉えた。
130万の壁についてのインタビューと、特定適用事業所(週所定労働時間が20時間以上の従業員を社保の被保険者にする事業所)の状況を流している。
「もっと働きたいんですけと…」と、年間収入を130万未満に抑えながら働く女性が語っている。
アナウンサーの論調も、
「もっと働きたいという声があがっています」「人手不足に悩む会社としても…」
という調子だ。
新たに特定適用事業所になった会社を取り上げて、会社の雰囲気もよくなり、人手不足も解消されて、いいことずくめだと紹介している。

この報道の取り上げ方からすると、社保の扶養はこれを契機に今後一気に縮小に向かい、そしていずれは廃止されるだろうな…と感じる。

「もっと働きたいんですけど…」という人は、扶養から出て望み通りもっと働けば良い。目の前の損得ではなく、大局的に思考し判断して決めれば良い。今朝の特集のインタビューが想定していたような人は、サイズの合わない小さすぎる服を無理やり我慢して着込んでいるようなものではないのかと思う。

そもそも社保の扶養とは、どのような人の為にある制度なのかを考えてみてほしい。
人間だれしも、人生のなかでは、フルタイムでの職業に就けない時期はある。大人であっても、例えば妊娠とか小さい子を育てているとか、介護をしているとか、転勤帯同などのような事情で地縁血縁に頼れない人だとか、学生だとか、病身だとか、それらの複合事情だとかで、働きたくてもできない人・わずかしか働けない人がいる。そういう家族親族を持ち、彼らの生活も支えている社保の被保険者の為にある制度だ。被扶養者である人が医療機関で支払う額が、例えばかかった医療費の3割で済むのは、その人を扶養している被保険者の生活を支える為の法定福利厚生だ。

年収の壁支援強化パッケージで、「私達もっと働けるようになるの!?」と色めき立つ人たちは、あぶり出されるのではないか?
そして、「もっと働きたいのに、扶養という枠があるせいで働けないのはもったいない。社会の損失だ。かわいそうに!」とおためごかしを言われながら、「扶養の枠から出てもっと生き生きと働きたい人たちがこんなにいる、その人達の芽を摘んでいいのか!?」と呼びかけられながら、扶養という保護をもぎ取られるのではないか?

これまでも、享受してきた状態を取り上げようとするときには政治と報道は手を組んで、「今の状態は不自由でしょう?」「不公平でしょう?」「もっと生き生きと、もっと輝いて…」と言いながら近づいてきた。

扶養の枠にとどまらずもっと働きたい人たちはそれでも良かろう。
私が心配なのは、
真実護る必要がある人たちが保護を奪われないかということだ。転勤に帯同しながら子育てしてきた私にとっては、社保の扶養という制度はほんとうにありがたく、大切なものだったから。

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