10月の地域別最低賃金改定を目前にして
地域別最低賃金が、10月(当県は、今年は1日から)から改定される。
ここ何年かは、毎年大きく上がっていて、経営者はたいへんだろうけど。
最低賃金が上がる分、事業収益も上がるというのならともかくとして。
それに、上げざるを得ないのは最低賃金に満たなくなる人の分だけだから、給与所得者のうち時給換算して最低賃金に近い層の割合が増えているのかもしれず…。
まあ、
地域別最低賃金は上がっていくわけだ。
秋分の日に、買い物に行く途中で、求人の貼り紙を見つけた。
時給が、10月から改定される最低賃金よりも30円以上低く設定されている。
9月はあと1週間だというのに。
知らないのかもしれない。
指摘したほうがいいのだろうか…?
「労働基準監督署とかハローワークとかの人の目にとまればいいね」
と、友人がつぶやいた。
「でも、知らないのだったら…?
悪気がないのだったら監督署とかに見つけられて知るのはかわいそうだよね」
「知らないんだったら、そうだね…」。
その店の前を通るたびに、貼り紙の時給の額が気になる。
9月もあと残すところ3日になった日、やはり修正される様子のない貼り紙を見て、言いに行くことにした。いくらまだ9月だといっても、履歴書を受け取って面接をして…。採否の決定までに1週間くらいは要するだろう。
「今日から来てね」という場合でも、貼り紙に10月1日以降の時給の併記はしておくものだろうにと思って。
店内には、客はおらず、店員が2人いた。
「あの…。入り口の求人の貼り紙をみて…。言おうかどうか迷ったのですけれども…。10月から地域別最低賃金が変わります。10月になったら、最低賃金割れの時給です」。
……ああ……。
という感じで、2人の視線が泳いで、それた。
ハッとするでもなく、メモ(責任者への報告の為の)を取るでもなく、店内の空気は静かなまま、奇妙な緊張感があった。
店員2人それぞれに、誰とも視線を合わせず曖昧にうなずいた。
「10月からは、○○○円になります…」
と言って、店を出た。
余計なことを言ったな…と思いながら。
外出の本来の要件を済ませた帰りに再度通りかかったときには、貼り紙は外されていた。
翌日も、外されたままだった。
明日からは、10月になる………………。