【神川モノガタリ#1】地元・神川出身のオーナーが営む「本場イタリア ナポリピッツァ」のお店|Le Persone(レ・ペルソーネ)
地元神川町の人に愛される伝統的なナポリピザが自慢のお店「Le Persone」
オーナーシェフの分須さんは、生まれも育ちも神川町です。
分須さんは、イタリアのレストランで3年間の修業を積んだ後、2020年に現在の店舗をオープン。ラベンダー色の薪窯が目を引く店内は、非日常的な空間が広がり、まるでイタリアにいるような錯覚にとらわれます。様々なピザのコンペティションで入賞経験を持つ実力者・分須さんのお店を訪ねました。
ー憧れの地イタリアでの修行
「イタリアの料理に対する強い興味から、「イタリアでは、本当にこんなに美味しい料理があるのか知りたい」という想いに駆られ、単身でイタリア・フィレンツェに渡りました。イタリア語が話せなかったので、まずは現地の語学学校に通い、その後イタリアンレストランで3年間働きました。ナポリでの修行の時に、”神の手”をもつと言われているガエターノ・ファッツィオ氏にピザの作り方を指導していただいたことは、本当に素晴らしい経験になりました」
ー素朴なのに究極 イタリアでの思い出の味
「仕事の休憩中に食べた何気ないパンの味は、今でも忘れられません。普通のパンにイタリアの代表的なハムを挟んだだけのパニーニでしたが、その美味しさは鮮明に覚えています。あとは、フィレンツェやイタリア各地で食べたナポリピザも素晴らしくて感動しました。ピザはイタリア人の生活に根付いていて、街のいたるところにお店があり、とても身近な料理なんです」
ー帰国後はキッチンカーを経営
「イタリアから日本に帰国して、さぁ何をやろうかと考えた時に、当時はピザのキッチンカーがまだ珍しかったので「カッコイイ!これをやってみよう」と、約3年間キッチンカーの経営をしました。その間にナポリで1984年6月に創立された「真のナポリピザ協会」が開いている大阪のピザスクールにも通い、ナポリピザの基礎を教わりました。キッチンカーの経営とピザスクール通いを通じて、ピザを一日にどれくらい焼けるかも分かり、またピザ作りや経営に関する様々なノウハウを得ることができました」
ー本場ナポリピザのお店を神川町にオープン
「2020年に地元の神川町で現在のお店をオープンすることを決意しました。お店のコンセプトは、「イタリアのクラシックな食文化そのままに、本場のナポリピザをお楽しみいただくこと」です。ナポリピザには国際規約があるので、そこに寄せて伝統を守りつつ、日々進化したナポリピザをお客様に食べていただけるよう心がけています。現在はイタリア・カプート社の2種類の粉を配合して生地をつくっていますが、季節によって水分や粉の配分を変えています。具材はイタリア産の食材を使い、伝統のナポリピザに近づけるように、日々研究しています。
ピザ作りの醍醐味は、毎回焼き上がりが異なるところですね。例えば、薪を3本入れてよく焼けたとしても、次も全く同じ火加減になるとは限らない。また、生地は24時間寝かせてから焼くなど手間もかかります。そのため、理想のピザに仕上がった時は何より嬉しい瞬間です。ピザ作りは、実験に近いかなと思います。」
ーライバルでもある、ピザ仲間たち
「ピザ業界は横のつながりも強く、コミュニティがある珍しい業種です。仲間と情報交換をしたり、お互いの店を行き来したりしています。イタリアで修行当時の仲間のお店「BASE(バーゼ)」(長野県木祖村)は、固定メニューがなく季節の食材を用いた料理を提供してくれるのですが、どの料理も美味しく、デザートも美味。このお店の料理は、僕にとっては究極の一品です。
また、仲間に薦められて出場した第3回トリプレッタカップでは、Fantasia部門では1位を獲得し、Fritta Dolce部門では2位になりました。純粋に嬉しかったですね。今夏も大会に挑戦する予定です。また先日、ナポリに本部がある「日本ナポリピザ職人協会」において、認定審査に合格し「認定職人」となりました」
ー理想のナポリピザを追及する中にある、経営の苦労とは
「経営において大変なことはいろいろあります。まず、お店をオープンする前に店舗を探す際には、物件が少なくて苦労しました(笑)あと、苦労というか大変だなと思うのは集客ですね。ナポリピザは1人1枚ずつ食べることが一般的ですが、そのように食べたことのない方に、どうしたら食べてもらうきっかけをつくれるか、よく考えています。また、お店は一人で切り盛りしていますし、ピザ作りにはゴールがないので、日々孤独に自分との闘いです。地味な作業が多いですしね」
ー地域とともに歩む。これからの神川町。
ー地域との絆を紡ぐ、神川町コスモス祭りの復活
「地域の人とのつながりを持てたらいいなと、昨年4年ぶりに復活開催した「神川町コスモス祭り」に参加しました。コスモスまつりは、神川町と神川町商工会が共催するお祭りです。ステージ発表の部では町内外の芸能発表、産業祭ブースでは地元企業や団体による展示販売コーナー、模擬店コーナー、さらにお楽しみ抽選会等、盛りだくさんのお祭りで、町の人たちとの交流は、純粋に楽しかったですね」
ー幅広い客層が集う神川町とは
「当店は、若い方から年配の方まで、幅広い年齢層のお客様が訪れます。年配の方が一人でピザを1枚ペロリと召し上がり、「美味しかったです」と声をかけてくださることもあります。また当店のお客様には移住された方も多いです。地域の方との会話や交流も、お店を営む上で喜びの一つですね」
ー幼い頃から暮らした町。今後はこんな町にしたい
「神川町って可能性にあふれているなと思います。神川町をひと言でいうと、可能性しかない町です。個人的には、地域の人たちが集う町の目玉となる場所が欲しいです。町民の活動に協力的な役所の方もいるので、地元の人や移住してきた人の活躍のフィールドが広がる町にしたいですね」
<取材後記>
イタリアの食文化に対する愛情と敬意をもちながら、挑戦を続ける真摯な姿。分須さんの作るピザの美味しさの理由が分かったような気がします。神川町で暮らす人、働く人に笑顔で寄り添ってくれるお店「Le Persone」(レ・ペルソーネ)。ぜひ本場のナポリピザを食べに、お店に足を運んでみてくださいね。
[店舗情報]
〒367-0243 埼玉県児玉郡神川町熊野堂2617-4
定休日:不定休
営業時間:11:30〜