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庭人と小鳥たち

 三時になり、空は曇ったままでした。私は諦めて洗濯物を取り入れる為に外に出ました。庭のミモザの樹にはメジロとエナガがたくさんいて、細く澄んだ声で鳴き交わしながら、ミモザのやわらかな枝を風のない空に揺らしていました。真冬にも木の幹には何らかの虫がいてそれを探しているのか、それともただ遊んでいるのか。邪魔をしたくはありませんが、ミモザの脇を通らなければ物干し竿には近づけないのです。私は心の中でごめんねと声をかけながら歩いていきました。小鳥たちは全く気にかけない様子でした。洗濯物を干したり取り込んだりしている人間が小鳥たちに害を及ぼさないことを、彼らは知っているのです。私はできるだけ彼らの方を見ないようにして、竿にかかっているズボンや下着類やシャツのかかったハンガーを外しました。その間も、小鳥たちはピュイ、ピュイ、チュリリリリリリーと鳴きながら、枝から枝に飛び移ったり、取っ組み合いでもしていたのかもつれあった二羽が込み合った枝の間を落ちてきて柘植の茂みに当たり、また慌ただしく梢に跳び上がったりしていました。そうして、最後に私がパラソルハンガーを外して腕に乗せると、それが合図だったかのように、全部の小鳥が明るい声で鳴きながら飛び立っていきました。
 取り込んだ洗濯物を部屋干し用の竿に掛け、除湿器に溜まった水を捨てる為に外に出ると、小さい雨が降り始めていました。

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