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第1回聖福寺修理現場見学会開催

キンモクセイが薫る10月30日土曜日万寿山聖福寺主催の聖福寺修理現場見学会を開催。1日3回に分けて各20人の定員制にして応募多数の為に抽選となりました。
今回は修理中の山門を主に見学する事になっております。

修理状況や建物に関しての説明は文化財建造物保存技術協会の担当者の方が行い、現場の準備や説明しやすい展示の仕方や実技披露は金剛組の方々が担当されました。
最初に文化財指定されているお堂や境内のお堂の配置の説明を行い、次に足場組立作業を行う大雄宝殿の現在での建物構造の分かる範囲や憶測部分の説明をされて、傷んだ箇所を指してどのように腐食して傷むのか等の説明をされていました。

大雄宝殿の説明を終え次に向かったのが現在解体工事中の山門になります。
山門足場内部ではまずは屋根瓦や棟木や垂木を外した状態の様子をご覧頂き、創建当時の部分と修理箇所の部分との比較を説明されていました。
創建当時の部分が分かる証拠として釘跡があるか無いか?でまずは判断をすると。修理すると釘を抜いて同じ場所に打ち込まないので修理する回数に応じて釘跡が増えて行きます。そこを観て創建当時の物かそうでないかを判断しますと説明された。

そして、解体中に発見された棟札の披露もされた。ただし従来の棟札の形ではなく由緒書の様に記されていた。しかしながら当時の年号が記されて開山鉄心禅師が記すと書いてあったので山門建立時の物であろうと推測出来るとの事でした。

また棟札に記された棟梁の名前も建築材料の中に記されいてその材も創建時の特徴を持つ材なので証拠として成り立つと説明がありました。

次に説明がされたのは金剛組の大工さんによる釘抜きの実演です。
道具の説明からあり釘抜きに使う道具は現代で使うバールの形と同じ物があったそうです。ただ古い釘になると頭の部分が腐食して無くなる場合があって普通のバールでは引っ掛ける場所が無いと抜けない事になる。
しかしそれに対応する道具があって頭の取れた部分を挟み込んで抜く道具があります、それを実演で披露していた。

次は瓦の説明があり、創建当時からの物と修理の際に付け加えられた瓦があって数種類の造り手の瓦が出てきたと説明があった。創建時は堺の瓦で修理が行われた際には喜々津の瓦が多く使われていた。文化財建造物保存技術協会の方から1つだけ長崎の崇福寺の瓦があった。何故に1つだけなのか不思議ですと報告があったのが印象に残った

あと文化財保存修理の際に使う物は復元時に使う基本的ルールの中での判断をどう行うか?の説明があった。
まずは瓦だと目視で創建当時の物と比べて年代が違うか同じか?同じ大きさサイズの物か?で判断し明らかに年代とサイズが違う物は省く。そして次は打音検査でヒビが入っているいないのチェックを行う。それによって見た目はキレイでも打音検査で鈍い音がすると耐久性が無いので省く。
このように100年保つ文化財にする為に地道に調べ上げ修理をして行くのです。と説明があった。

時間一杯になりましたのでこのあたりでお開きとなりました。
ヘルメットを返して貰い、折角見学会に参加して頂いたので金剛組さんからは金剛組の名前が入った携帯用のアルコールスプレーを、そして聖福寺からは本尊さんを拝めないので釈迦如来三尊を印刷したカードを参拝記念として皆さまにお渡しして解散となりました。
次は来年に見学会を開催する予定にしております。