違う土俵に立つと自分の価値に気付く
3回目の投稿は、Innovationを生み出すために重要なコンフォートゾーンからの脱却について書きました。
イノベーションとは「新結合」である
Innovationって、日本でもどこでもそうですけど、「Innovationって必要ですか?」っていうと、みなさん「必要だ!」と言われますよね。
Innovationが不要と言う人はいないと思います。
しかし、みなさん、改めてInnovationの定義とは何でしょう。
シリコンバレーのクレイジーな奴らが、なんかわけのわからないことをガンガン言いながらやってるのが、Innovationだと思っている方もみえますよね。
そうではなく、もっと違うという言う方もたくさんいると思います。
僕がシリコンバレーで働いていてなんとなく感じたのは、シュンペーターというものすごく古い方の定義がいちばんぴったりということです。
ドイツ語でいうneue Kombination、英語で言うとnew combination。
つまり、「新結合」であるという概念が非常に腹に落ちるのです
何もないところから生まれてくるのではなく、今までは関連なかったものの新しい結合により全く新たな価値が創出される。
それがInnovationだと思います。
ディスラプトの波はどこから来るのか
例えば自動車業界がディスラプトに晒されているということは、多くの方が言われていますよね。
100年に一度の大きな波が来るんだと。
だから、もたもたしているとディスラプトされると大きな危機意識をもっています。
しかし、何をやっているかというと…多くの方々は、自動車業界の人たちと話してるんです。
でも、考えてみてください。
同じ業界の人たちと話して、ディスラプトの波が検出できれば、例えば家電だってディスラプトされてなかっただろうし、半導体だってディスラプトされてないわけです。
大事なことは、新結合の「新」の部分です。
「新」の部分は、今の自分や組織、企業とは関係ない人からしか得られません。
例えば、僕がいまシリコンバレーで話してる人たちは、マネーテック、ヘルステック、フィンテック、リテイルや、不動産といった業界です。
ぜんぜん関係ない人たちと話すことによって、例えば、ある業界ではベストプラクティスなんだけど、自動車業界では全然そうなってない、といったことがよくわかります。
例えば、シェアリングエコノミーは、運輸業界でのUberを見てれば、宿泊業界でのAirbnbを考えることができますよね。
そのように、他のところから持ってきて結合させるっていうのが、とても重要ではないかと思います。
イノベーションを起こすカギは、異分野での価値の交換
では、その「新しい結合」を生み出すための場は、どうやって作ればいいか。
これはたぶん世界のどこでも基本は同じだと思います。
ただ、日本だと不明確ですが、シリコンバレーだと非常に明確という違いはあるように感じます。
私は、一言で言えば、価値の等価交換だと思っています。
自分が提供できる価値を持っていないと、必要となる人脈もできません。
みなさんも経験があるかもしれませんが、時々、「いや、お前、いい人脈持ってるじゃん。ちゃんと会社に置いていけよ」だとか、「他の人とシェアしていけよ」と言われます。
そういった時には、「いや、あなたもわかってると思うんですけど、クレジットカードのポイントはその人しか使えないんですよ」とお答えしています。
つまり「構築した人脈を渡せ」ということは、「クレジットカードのポイントをくれ」って言ってるのと同じなんです。
それは、できないですよね。
イノベーションを起こすためには、まず自分が何か提供できる価値を持っていて、直接は現業と関係ない人と話すと、その機会が増えるという信念をもって仕事をしています。
自分ではわからない価値に気付くための方法
「私は、提供できる価値など持っているのだろうか?」と思われる方も多いかもしれません。
でも、私は、みなさん、実は自分で気付いてないだけで価値は持っていると思います。
例えば、シリコンバレーだと、ソフトウェアのことを知っている人たちがたくさんいます。
その人たちとソフトウェアの話をしても、僕の価値はぜんぜん提供できないわけです。
でも、僕は30年間自動車業界で働いているので、車のことは隅から隅まで知ってるわけです。
そうすると、彼らが持ってるソフトの力と、僕の持ってる車の知識と経験などを、もし融合できたら、「わぁ、すげえ」って話になるわけです。
大事なことは、違う土俵の何かを持っているということ。
同じ土俵で勝負すると、やっぱりかなりきつくて、なんともならないんです…
だからそういう意味で、同じコミュニティーの中だと、誰が一番上だとか、あいつには勝てないとかってなるんですけど、コミュニティーを一歩出る勇気が大事だと思うのです。
そう、居心地がよく、自分の知識と経験とスキルに自信が持てる、コンフォートゾーンから出るのです。
コンフォートゾーンから出ると、自分が大したことないと思うことでも、相手にとってはすごい情報であったり、あとはその逆もあります。
だからみなさんが、自分ってなんか価値を持ってるのかなと思われるんであれば、一度、自分のコンフォートゾーンから出てみれば良いと思います。
例えば、僕が、まだ日本で働いていた時に、「今度、自衛隊の人と、話をしてきます」って言ったら、多くの人は「なんで?」となりました。
でも、そこに「なんで」を求めると、結局何も起こらないのです。
何故なら、やってみないとわからないからです。
「やってみる」ことで、何らかの変化が生じますが、「やらない」と何も起こりません。
以前にように「やることが明確だった時代(正解があった時代)」から、今日のように「何が正解かわからない時代(正解のない時代)」への変化に追従した柔軟性を持つことが、とても重要だと思います。
みなさん、一度ご自身でやられてみると実感が湧きますから、是非、コンフォートゾーンからの脱出を試されると良いと思います。
それにより、改めて、みなさんご自身が持つ価値を認識できると思います。