そういうものに
雨にも負けず 風にも負けず
雪にも夏の暑さにも負けぬ
丈夫な身体を持ち
欲はなく決して怒らず
いつも静かに笑っている
波打ち際で油が無限に増殖するのを見ていた……油は岩に絡みつき月の光で虹色を帯びた50キロメートル沖の淡い色のハンカチと地獄のようなホタルイカの群れを目視する
遠い初恋の思い出は未だに宙吊りになったまま戻るべき場所すら見つからず自ら陳腐な甘酸っぱい経験に成り下がろうと回想し主観すら殺してしまったその匂いでまた強制的に思い出される
話せ栞よラジオの電波を通して今ここで語りかけろ目に見えない存在の悔しさと孤独を
雷は孤独の上に降る雹は孤独の上に降る人間は孤独の上に巣を作る斜陽と反逆の中に愛を生みそして彼らは孤独を手放す
犬の頭の中で色彩がただ回っているしかしそれが何の色だか答えられない彼は吠える理解不能の色彩は相変わらずそこで回っている
台所では嵐の頓狂たる序曲が奏でられ裏では何も知らない子供が本に夢中で窓からこぼれる太陽から冬の戦争に必要なものを手に入れている
錆びた椅子から幸せが溢れ出る道端の猫から幸せが溢れ出る河に暴かれるモノリスから幸せが溢れ出るごく僅かの人々が消費する
時間はたたみ掛けるように押し寄せるあらゆるもの要求に答えながら壁のすき間に溜まっている
ゴールキーパーのゾウはあらゆる球を素早くよける
(2012年 5月。まず2012年5月に作りすぎだろ。有名な詩の一節を頭に持ってきて読み進めるほど気持ち悪くなっていく。最後の一節で狙いすぎて駄作になった。)