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【積丹】時間を忘れてホルンに向き合う幸福感─吹かないで洗浄と整備

こんにちは。積丹のたかのふぁーむでWWOOFしています。

昨日は雨でした。雨の日に休んでもらえると作業を進める上で都合がいいので、昨日お休みをいただきました。宿題を進めたり、本を読んだり、筋トレしたりしました。

そして、楽器の洗浄と整備もしました。フレンチホルンです。ベルカットというタイプです。ベルを取り外せて収納しやすいです。

楽器を撮る際の注意ですが、周囲の景色や撮影者がベルに映ります。ベルの形状と光沢によるものです。SNSでそういう写真をあげると、物好きな人が住所や撮影者を特定する恐れがあります。僕はベルを除いて撮影しました。僕は顔も場所もばれていますが。

これから僕がどのようにフレンチホルンを洗浄したかを説明しますが、参考にしないほうがいいところもあると思います。

お湯を使って内部の汚れを落とし、抜き差し管の動きを滑らかにするグリスを落とします。抜き差し管は全部で9本あります。金管楽器の中では多い方です。全部抜くと、なんだか痩せた感じ。

抜いた管はお湯に浸けておきます。ここで楽器用の洗剤を添加するとなおよいのですが、持っていません。中性洗剤で代用できるよと聞いたことはありますが、たかのふぁーむに界面活性剤入りの洗剤はありませんので、今回はお湯のみで洗います。

浸けておいて、しばらくしたらグリスを手で落とします。ゴシゴシと、ではないけど、うーん、適切なオノマトペが思いつきません。手より布やスポンジの方が落ちそうです。その後、すすぎます。

本体にもお湯を通します。お風呂場でシャワーを使いました。どのように管が繋がって息が通るのか、まあまあわかります。ここでも洗剤を使った方がキレイになります。

僕は水を本体に通しました。でも通説では、通してはいけないことになっています。ロータリーの錆びる恐れがあるからです。ロータリーとは、指で押すと回転して音程を変える部品です。錆びると動かなくなります。致命的です。もし錆びたら、分解して錆を取りますが、僕にはできません。錆がひどければ直せないでしょう。もしそうなったら、ナチュラルホルンとして使うことになります。ロータリーの付いていないホルンです。

そんな危険がある中で僕が水を通すわけは、きれいになるし、今まで大丈夫だったからです。説得力ゼロの理由です。実際に痛い目をみないとわからないヒトなんです。これで錆びていたら、数分だけ後悔して、もう2度と水を通さないと誓い、ナチュラルホルンとして吹くことでしょう。

洗浄の次は整備。オイルを差して、グリスを塗ります。ロータリーがすらすらっと動くように、そして錆びないようにするためにオイルを差します。3種類あります。グリスは塗りましたが、満足のいく滑らかさ、固さになりませんでした。スーパーハードのグリスを買わなければなりません。

整備しているとき、幸福を感じました。もちろん、「あはははは」と笑って楽しくて幸福だ、というのではありません。僕は椅子に座って楽器を膝の上に乗せて、黙々と作業しました。

今思えば、楽器の整備だけに心が向いていて、余計なことを考えていなかったからだと思います。何をするべきかわかっていて、頭で考えなくても次々と体が動作をなしていく状態。こういうのをflowといいます。お気に入りの曲を演奏する、ひたすらタコ焼キを返す、スキーでゲレンデを滑る、などなど慣れていることに集中しているとflowになります。多くのヒトが経験していると思います。そして、flowになると幸福感に浸れます。

「flowになっているわー」とその時気づけたら、もっと幸福を感じることができたでしょう。

最後に、楽器を拭きました。整備する日でなくとも、楽器を吹いたあとは拭きますが、今回は念入りに拭きました。布に油(ポリッシュ)を染み込ませて拭いて、次に乾拭きします。管と管の狭い隙間に布を通したり、ロータリーの細かい部品を拭いたりしました。ここでも幸福感がありました。

時間を全く意識しないで洗浄・整備しました。終わって時間を確認すると2時間かかっていました。あら、もっとかかったと思ったのですが。

時間を全く気にしないで気が済むまで作業するというのは、贅沢の極みです。これは無駄に時間を使うのと紙一重です。同じ作業に時間をかけるにしても、贅沢に感じるヒトもいれば、無駄に感じるヒトもいます。他人が「無駄だべ」といおうと、あなたが幸福を感じるなら、いくらでも時間をかけてよいと思います。

僕の哲学が表れた文章になりました。僕の哲学の構成要素はほとんど他の誰かの哲学で成り立っていると思いますけど。

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大さき誠也