原点回帰。
去年の個展を終えてから、外でいのちの形を追い求め、撮影したいと思っていた。去年の作品はずっと室内で撮影していたものだから。
こんな写真を展示していた。
生活から街へ飛び出そうと考えて約半年、ようやく外でカメラを持って撮る気になってきた。
夜、ストロボやライトも持たず外で撮影するのは難しい。ましてや接写に向いているマクロレンズでのなんて、ほんの少しズレただけでブレるし、ピントがボケる。夜に撮るもんじゃない。
そのため夜にマクロレンズを抱えて撮影することは避けてきた。
だけど昨夜は違う。撮らずにはいられない気持ちだったんだ。
実際に撮影してみると、思った通り本当にむずかしい。
本当に本当に集中しないと撮影することができなかった。
夜の街中で周りが見えないほど集中するのは、修行と言っていい。
自意識を捨て、息を整えなければならない。だけどそれが本当に心地よかった。
普段仕事はマルチタスクだし、携帯から常に連絡はくるし、あらゆることにやんわり気を張っている。一つのことに集中できる時間は本当にありがたかった。
思えば14年ほど前写真を撮り始めた頃撮っていたのは、人や絶景じゃなくて雑草だった。
近所の田舎の道を散歩しながら、日常に目を向けるのが好きだった。
変わる季節に目を向けるのが好きだった。
普段注目されてないものが、忘れられたものが(雑草とか枯れた植物、誰も通らないところにある動物の死骸など)写真の中で主役になるのが、なんだか嬉しかった。
老人のような趣味だなあと自分でも思うけれど、写真を撮るのに集中することで、散らばった思考を整理する時間が必要だった。
昨夜撮影していたとき、中学生の頃と同じ気持ちだった。かつてより技術があるため、撮ることに迷いがなくて本当に、よかった。人生の中で必要な時間をまた取り戻すことができて嬉しい。
活動は一周するとかいうけど、こういうことなんだな。
原点回帰って、こういうことか。
毎日毎日撮ってると、自分の成長を感じることはなかなか難しいのだけど
ちゃんと成長して帰ってきたことを実感した。
これからも、どうしようもなく写真を撮っていくんだろうな。
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写真で呼吸する記憶。
日々撮った写真の記録。考えたことの記録。
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