見出し画像

曖昧な関係の元カレの仕事

ドラマの『フレンズ』に出てくる、チャンドラーに似た元カレと、私はまた定期的に会うようになっていた。

家探しを手伝ってくれるというので、私は彼のシュミレーターが終わるのを待っていた。

とある書類を受け取りに行く必要があり、私も会社に行く必要があったからだ。

同じ会社で働いているけど、私は元カレとフライトで一緒になったことがなかった。

今日一緒に働いたクルーに次会うのは、一年後かもしれない…それぐらい同じクルーと仕事する確率は低かった。


しかし、2時には終わると言っていたのに、なかなか元カレは来ない。

“Finished?”

終わった?とメッセージすると、

システムの故障で、3時になると返信が来た。


会社は、以前は土曜日でも、客室乗務員やパイロットでいっぱいで活気のあふれていたのに、今は静まり返っていた。

フライトの前にブリーフィングする部屋には、電気すらついていない。

しばらく待っていると、元カレが他の2人のパイロットと現れた。

シュミレーターというのは、実際のフライトを想定して行う飛行訓練なので、キャプテンと副操縦士の2人組で行うのが普通だ。

元カレはそれをチェックする人だった。

皆んなマスクをしているので顔は分からないが、若そうなアジア人の副操縦士と白人のキャプテンぽかった。

私は元カレと曖昧な関係なので、他の2人に挨拶するのも微妙だなと思って、元カレが2人と別れてから近づいた。

元カレは、なんだか不機嫌だった。

「どうしたの?」

と聞くと、機械が故障して1時間も延長したことと、副操縦士の操作が最悪だったことでイライラしたらしい。

副操縦士は、コロナが始まってしばらく飛んでないと言ったそうだが、彼の場合は6ヶ月以上も飛んでなかった。

さすがに、この状況でも数件はフライトがあるはずなので、病気か怪我でもしたのか?と問うと、

「ボクはジャームフリーク(ばい菌嫌い)だから」

と答えたらしい。

つまり、コロナを恐れて飛びたくないから、もともと決められたフライトを避けるために、他の副操縦士と交換して飛んでもらっていた。

元カレは、そもそも言う必要がないことを言ったこと、彼のそういう仕事への態度、特に休んでる間に飛行技術が著しく下がっていたことにかなり怒っていた。

やはり人間なので、やってないことは誰でも忘れる😂飛行技術を保つのは自分の責任でもある。

キャプテンはどうだったの?と聞くと、

「キャプテンは普通にキチンとやっていたけど、とにかく一つ一つの動作が遅くて…」

と、やはりイラッとした様子。。

朝10時から午後3時まで、ずっとシュミレーターにいて、ご飯も食べれなかったらしいので、それもイライラの原因の一つになったようだった。

とりあえず、何か食べようと会社を離れた。









この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?