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エッセイ「初体験」下田
初体験とは当てはめられた言葉以上のものを感じることができる瞬間だと思います。言葉には限界があり、実際には言語化出来ないような思いも経験すること自体に含まれています。
初体験とは灰汁の混じった煮汁なのではないでしょうか。灰汁という言葉では伝えきれないものが多く存在しながらも、言語化するときに捨ててしまっているものは少なからずあると思います。
世の中には灰汁のない煮汁が多すぎるように感じます。すべて美しい言葉に飾られてしまい、言語化出来ず、もやもやとする何とも言えない不快感に悶える時間が無駄かのように扱われてしまうことに悲しささえを覚えます。そうしたなんとも言えない不快感も大事にするべきではないでしょうか。
初めて何かをするときの感覚は宝物です。私だけの感性が私のために叫び、それに耳を傾ける。自分が何を感じているのかわからないという思いも初体験には大事な叫びであると思います。その叫びに気付き、言語化できないものを何とか形にしたとき、それは私が発する本当の言葉なのではないでしょうか。