ゆとりのゲーム感想「ロックマンX サイバーミッション」
【はじめに】
私はロックマンが好きだ。というか刺さる人には刺さりまくるキャラクターである。ゲーム会社には「このゲーム会社といえばコレ!」といういわばマスコットみたいなキャラがいるもんだが、カプコンの顔といえばロックマンという人も少なからずいるだろう。
コイツはファミコン時代から現在に至るまでチョコチョコ顔を出してはヒットを飛ばしてる。「ロックマン」「ロックマンX」「ロックマンDASH」「ロックマンエグゼ」・・・数えだしたらキリがないぐらいシリーズもある。
というかロックマンはマスコットの方では頑張っている方である。コナミのゴエモンやハドソンのボンバーマンも同じく肩を並べていたが、両者ともそこまでの人気では無くなったと言える。そんな昔有名だったキャラがゴマンといる中で、ロックマンはファミコンの初期から存在し、姿を変えつつもしぶとく生き残っていた。
そのたくさんあるシリーズの中で、「ロックマンX」シリーズは今でも人気があるスター選手だ。この間サービス終了してしまったが、スマホアプリもあった程だし(初期は結構な盛り上がりを見せたと記憶している)。
そんなロックマンXが携帯機であるゲームボーイカラーで遊べると知ったら、当時の小学生は脳みそが火傷するぐらい嬉しかっただろう。そう、あるのだ。「ロックマンX サイバーミッション」である。
私はどちらかというとファミコンのロックマンからXに移行して、「こっちもおもしろいけど、ファミコンの方が好き」という感想を持っていたので、Xはあまり触れてこなかったが、せっかくなのでクリアまで遊んでみることにした。
【ゲーム概要】
ゲームボーイカラー対応(GBやSGBも対応している)ソフト、「ロックマンX サイバーミッション」。
発売されたのが2000年ということで、ロックマンX4が発売された1997年、そこから3年もの時を経て発売されたXシリーズである。X4は人気だったとはいえ、あれから3年が経っているからなのか本作のセールスはそこまで振るわなかったらしい。レビューも探してみたが、殆ど見つからなかったので、そもそも知られていないのか、腫れ物扱いなのか・・・?よく分からない存在である。
本作は面クリア型の横スクロールアクションである。ボスの顔がいっぱいあるステージセレクト画面でステージを選択し、そのステージの奥にいるボスを倒すとステージクリアである。
言っちゃえば「ロックマンX」のシステムをそのまま踏襲している。
ここでストーリーを紹介しよう
勘が鋭い方はわかると思うが、オリジナルで戦ったボス達と再戦する「ロックマンワールド」シリーズを彷彿とさせるシナリオである。本作もそれに沿って、「X」と「X2」からそれぞれ4体ずつ抜擢されたボスと再戦するのが大まかな流れとなっている。
操作感も一部を除いて、そこまで悪くない。オリジナルと比べて幻滅するほどの劣化点は無かった。本家さながらの高速アクション、壁蹴り、チャージショット、隠しの昇竜拳、波動拳まで(かなり仕様は変わっていたが)ちゃんとある。何度も言うが、ゲームボーイの性能でこれである。携帯機でロックマンXが遊べるってだけで私は評価したい。据置機から携帯機移植されて同情したくなるほど超絶劣化したゲームもあるのに・・・ウルトラマンとかストIIとか
ただ、やはりというかゲームボーイではボタンが足らなかったのか、多くのアクションのコマンドが変更されている。
特に反感を買ったらしいのが、
ダッシュ
である。
オリジナルでは、Aボタンを押すか左右キーを素早く2回押すとダッシュになる。このダッシュはステージを気持ちよく駆け抜けるためだけでなく、ダッシュからのジャンプや壁蹴りといった仕掛けを突破するためのアクションとしても必須なものである。2つの入力方法があったが、やりやすさから大体の人はAボタンを押してダッシュしていたと思う。
しかし、ゲームボーイではAボタンはジャンプするためのボタンとして割り振られている。なので、Aボタンを押してもダッシュできない。本作では以下のコマンドがダッシュをするためのものとして割り振られている。
・左右キーを素早く2回押す
・下ボタンを押しながらAボタンを押す
・STARTボタンを押す
目を疑った者、あなたは間違ってない。
・STARTボタンを押す
とうとうとち狂ったか!カプコン!
STARTボタンを押したらダッシュするゲームなんて本作が初めてだ!
何を考えているんだ!
本当にバカげている。誰がこんな設計をしたんだろう。
しかもこれの弊害として、オリジナルのポーズボタンがSTARTボタンなので、武器セレクトをしようとしてSTARTボタンを押したら敵に突進してダメージを受ける、というポンコツなエックスも見られるぞ!
「ボタンが足りないのを考慮して多くの入力方法を入れてくれた」という親切心にも捉えられるが、実際にやってみると、この辺は調整不足だと感じた。
まず、「2回連続押す」やり方だが、シンプルにやりづらい。
「下ボタンを押しながらAボタンを押す」これはやりやすいが弱点がある。ダッシュジャンプができないのだ。ダッシュが必要な場面はあまり無いが、このダッシュジャンプはかなりの頻度で使わなければならない。従って、この方法は肝心の時に使えないだろう。
そして、「STARTボタンを押す」だが、これも慣性が働いてないのか、ダッシュジャンプをしようとすると真上にジャンプしやがる!てんで使えねぇんだ!!しかも、バスターと併用するのもムズいからマジで使う時は無いぞ!!(強いて使った場面はイーグリード戦で風に逆らう時ぐらい)
つまり、「2回連続押す」方法を強要される訳だ。あーあ、1番使えないのが残っちゃったよ。
これにはゲームボーイのボタンではやりづらかったのか、かなりの批判があったらしい。ただ、今回私がプレイしたコントローラーはスーファミのコントローラーなので、そこまで入力に苦心することは無かった。持っててよかった。
ボリュームはどうだろうか。私はロックマンXシリーズは周回プレイ必須だと思うので、1周するのに何十時間も必要無いとは思うが、さすがに少ないと感じた。
本作にはモードが3つ用意されており、Xのボスと戦う「ノーマル」、X2のボスと戦う「ハード」、全員と戦う「エクストリーム」がある。こう言うとボリュームがあるように感じるが、シグマステージは共通なので、変わっているのは最初に戦う4体のボスとステージだけだ。しかも、それぞれのモードも初見だと2時間ぐらい、2週目からは1時間ぐらいでクリア出来、合計で4〜5時間ぐらいでクリア出来る。これは私も擁護できない薄さだ。
とは言え、私は特に不満は無い。これも現代ならではの感覚なのか。これをリアルタイムでプレイした者は「あぁ、俺が5000円も払ったものがもう消えてしまった」と嘆くものなのだろうか。私は、前述の通り、何度も周回して楽しむゲームだと考えているので、すぐにクリアできることはマイナスにはならない。
ステージの再現度も見てみよう。本作は過去の敵と再戦がテーマなので、ステージもオリジナル準拠のものになっている。・・・が、正直言って、これは全くの別物である。オリジナルと比べて大幅に簡略化されている。特に顕著だったのが、アイシー・ペンギーゴのステージ。SFCのオリジナル版では、道中で多くの雑魚敵が配置されていたのだが、本作では4種類くらいの雑魚敵が何体か湧く程度のスカスカ具合になっている。そのため、慣れると1分程度でボスのステージに行けてしまう。せっかく復活したのに、こんな簡単に突破されていいのか?
他のステージもオリジナルを完全移植したとは言えない出来となっている。容量不足とはいえ、原作をプレイした人からすれば肩透かしものだろう。
ボスも完全移植とは言えない。ゲームボーイだからなのか、ボス部屋が狭いのに、ボスの大きさは一緒なので攻撃が避けにくくなっている。しかもボスは動きまくるし。その中でスパーク・マンドリラーはボスの中でも巨体な方なので、オリジナルのようなタックルはまず避けれなかった。
シグマステージも同様。ステージとボスもオリジナルのを踏襲したものとなっている。つまり、今作ならではの新要素は殆ど無い。シャドウハンターというストーリーにも関わってくる敵もいるが、中ボス止まり。パッとしない役柄に留まっている。
音楽に関してはあまり良くなかった出来だ。ぶっちゃけ最悪。「オリジナルっぽい音楽」ではあるが、クオリティーは雲泥の差だった。中にはオリジナルと全く変わってるものもあった。フレイム・スタッガーステージがそれで、メロディーは合ってるんだけど、なんかリズムが変わりすぎて違う曲になっている。アレンジした曲で好きになったのは無かった。
こんな感じだろうか。なんかぶつ切りしたような説明になってしまった。まとめると、オリジナルと比べて劣化してる部分が多く、オリジナル版がSwitch等の携帯機で遊べる以上、特に今更やる意味は無さそうだ。ただ、私は久しぶりにロックマンXをやって楽しかったし、ゲームボーイでここまで高速アクションが楽しめただけで楽しかった。かつて、ロックマンXにハマらなかったのは何なんだろうな。アーマーを取ってやっと相応の難易度になるのは少々腹が立つが、やっぱり面白いゲームだとは思う。ロックマンゼロと違ってキチガイ難易度でも無いしな。
【まとめ】
久しぶりのロックマンX、もといロックマン。初めて触れた時の感動は今でも覚えているが、それをロックマンをプレイすることで再度経験することはもう無いだろう。悲しいかな、感動というものは未踏の地に落ちているものであって、楽園には無いのだ。はぁ、面白いゲーム無いかなぁ。