ゆとりのゲーム感想「モグラ〜ニャ」
幼少期にプレイした時の感想と改めてプレイした時に感想が全く変わってるゲームは数は少ないが、印象に強く残っている。
「このゲーム、そういうことか!」
「なぜ、あの時にこの楽しさに気づけなかったんだ!」
と自身の未熟さにガッカリするのだが、それと同時に「まだゲームってこんなに面白いんだ!」とよりゲームが好きになる契機にもなるので、こういう経験は沢山積みたいと思うのだが・・・
今回レビューするのは、
「モグラ〜ニャ」
ゲームボーイ用ソフトだ。
プレイしたのは中2の夏。3DSのバーチャルコンソールだ。
ファミコン中毒であった私がプレイした数少ないGBソフトだった。
このゲーム、私にとって冒頭の「昔の感想と今の感想が全く異なっている」という稀有なゲームだ。
というのも、このゲームは
私がレトロゲームをやめるきっかけ
になったゲームだからだ。
大した理由では無い。このゲームがクリア出来なかったのだ。いや、クリア出来ないゲームは山ほどあったが、このゲームは特別イライラした。
パズルゲームなのだが、難易度が絶妙なのである。
この「モグラ〜ニャ」をプレイしていてよく詰まった。どうしても分からず攻略サイト等で答えを見ると、「なんでこんな簡単な問題が解けなかったんだろう」と愕然としてしまう。今度こそ!と意気込んで問題を解こうとするが、またもや同じ現象が起こってしまう。
つまり、「一般の人ならクリアできる、バカにはできない」という絶妙のゲームバランスだったのである。
他のゲームなら「こんなの分かるかぁ〜い!!」ぐらいで終わってしまうのだが、このゲームはそんな全力で匙を投げられる難易度ではなかったのだ。
このゲームとファミコンの「リンクの冒険」(このゲームについて語る時が来るのはいつだろうか)をプレイして私は完全に心が折れてしまい、私は大学生になるまでレトロゲームをほぼ完全に封印した。
しかし、大学生になった時に、「今ならクリアできるかも」と思い、改めてプレイした。
そしたら、みるみるクリアできるクリアできる!
私は嬉しかった。成長したなぁ。
そして、最終面もクリアして無事にエンディングを見ることができた。何か憑き物が取れたような気持ちでとても嬉しかったのを覚えている。
どんなゲームなのかを紹介しよう。
任天堂開発のGB用ソフトで、1996年というGB中期に発売されたゲームである。
(ちなみにゲームデザイナーはマリオで有名な宮本茂さん)
トップビューでジャンルはアクションパズル。近いゲームで言うと、「倉庫番」なのだが、それに新しくルールやギミックを追加して、雰囲気もファンシーにすることで、とっつきやすくも奥が深く、万人に受け入れられた任天堂らしい良作である。
ざっくりとしたあらすじは、
こんな感じ。特に深いストーリーではない。でもまぁ、パズルゲームなんてストーリーが無いゲームが多いので、これでもまだある方ではあるが。
これがフィールド画面。右にいるモグラ〜ニャを操作して、左にあるドアを開ければその面はクリアだ。ライフもあり、4回ダメージを受けるとゲームオーバー。といっても殆どペナルティは無いが。
モグラ〜ニャの操作は
・掴んで押す
・掴んで引く
・掴んで蹴り飛ばす
・掴んで背負い投げ
・地面に潜る
・(地中にいる時だけ)地上の様子を覗く
以上だ。これらのアクションは障害物に対して行えるものであり、敵に対してはつかんだりすることはできない。自ら攻撃することはできないのだ。
ドアを開ける方法だが、方法は一つ。
フィールド内にある鉄球をドアにぶつける
これだけだ。といってもフィールドは障害物や敵がウヨウヨしているので、それらを回避しながら、鉄球の動線を作る必要がある。
このゲームの最大の特徴は「潜る」ことだろう。
主人公はモグラなので、地面の中に潜ることができる。
例えば、こんな感じで地上からは進めない所でも
地面に潜って地中から進んでいけば、進めることができる。
地上と地下を行き来しつつ、何とか鉄球をドアの前まで運んでいくのだ。
もう1つの特徴として「穴」の存在がある。
地中に潜る時は、もちろん穴を掘るのだが、その穴というのは、基本的に埋めることができない。つまり、あちこちに穴を掘るとあっという間に、フィールドが穴だらけになってしまう。
こうなると、どんなことがあるのか。
鉄球がその穴に落ちると、その面の最初からやり直しである。自分が掘った穴が1発アウトの障害物になってしまうのだ。
これが、このゲームをパズルゲームたらしめるキモだろう。なるべく最小の数、適切な場所で穴を掘り、穴が動線のジャマにならないような配置を考えて地面を掘る必要がある。
ステージを進めるごとに、新たな障害物やトラップが出てくる。例を挙げると、
・分銅・・・壁となる障害物。押すことはできるが、引くことはできない。
・タル・・・壁となる障害物。押すことも出来て、引くことも出来る。タルが穴に入ると穴を塞ぐことができる。
・エルボ・・・パイプみたいな障害物。空いている場所に鉄球やタルを投げつけると、別の空いている方向に進路転換してしまう。
こんな感じ。レベルが上がる事にこれらが組み合わさっていき、難易度が高くなっていく。
ちなみに、やり込み要素として「キャビッジ」と「ボーナスステージ」がある。
「キャビッジ」(まんまキャベツみたいな見た目なのだが、この辺も任天堂らしさがあるよな)はフィールド上に障害物のように置いてあるのだが、穴の中に落とすことが出来る。5個落とす事にライフを回復してくれて、さらに、1つのワールドに置いてあるキャビッジを全て落とすと40点のボーナスポイントを貰える。
「ボーナスステージ」はアクション要素の強いミニゲームだ。フィールド内に置いてあるキャビッジを制限時間内に全て落としたらクリア。ただ、「じんべえ」がジャマしてくるので、上手く回避しよう。
コツとしてはキャビッジをじんべえに当てて、気絶させている内にキャビッジを落とすようにすること。じんべえに攻撃されると、一定時間動けなくなる上に制限時間も短縮されてしまう。1回気絶させたら、キャビッジを1つ落とす、じんべえが復活したらもう1回気絶させる・・・これを繰り返していけばすんなりクリア出来る。慣れるまで難しいが、頑張ろう。クリアするとボーナスポイントがもらえる。
ワールドをクリアする事にそのワールドのポイントが出るのだが、これらのボーナスポイントを全て集めると100点が貰える。全てのワールドを100点にしても特に特典は無かった気がするが、まぁ、好きな人はやり込んでみよう。
ちなみにワールドの1番奥には、ボスも存在する。中々個性的なキャラが多く、戦っていて楽しい。めちゃくちゃ苦戦する相手はいないだろうが、私はラスボスの「じんべえ」にかなり苦戦した記憶がある。
ワールドをクリアすると、中々可愛らしいアニメを見ることができる。任天堂が高く評価されるのはゲーム性もさながら、こういった細かい光る演出があるからプレイヤーがそのゲームに没頭できる、というのがあると思う。まぁ、ゲームの進行上、必須なものではないが、こういうのあると嬉しいし、ずっと記憶に残るんだよな。
ゲーム性はかつて流行ったが、既に飽きられていた「倉庫番」のゲームを任天堂ならではのアイディアで新鮮で中毒性のあるゲームに昇華していると言える。
「倉庫番」は今やると「やっぱり古いゲームだな」と感じるが、この「モグラ〜ニャ」は今プレイしても充分通用する面白さだろう。
難易度はこういうパズルゲームを殆どやらない人には難しいと感じるだろう。
しかし、他のアクションパズルをやっている方にとってはかなりヌルゲーに思えるはずだ。実際にゲームボーイでいうと「フラッピースペシャル」や「パズルボーイ」、「紫禁城」と比べたら、めっちゃくちゃ親切だし、徐々に難しくなっていく、という姿勢は基本保っていると感じる。(終盤から怪しくなってくるが)
BGMも中々悪くない。これぞ神曲!というのは無いが、雰囲気にあった曲が流れてくる。私が好きなのは「パイプステージ」の曲だ。結構好き。
という感じで、全体的に良質なアクションパズルだ。簡単な操作だし、ハマっちゃうこと請け合いだろう。バーチャルコンソールで配信済み、ニンテンドースイッチオンラインでもおそらく配信されるだろうから、やってみてはどうだろうか。
今この記事を書く前に少しやっていたのだが、やっぱり面白い。紛うことなき神ゲーと言える。
中学生の時は何度も3DSを叩き割ろうとしたが、今はやっぱりゲームって面白いなぁ、自分もゲーム上手くなったなぁと実感出来る思い出のソフトである。