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ゆとりのゲーム感想「スヌーピーコンサート」


【はじめに】

最近、Availに行くのにハマっている。

といっても、いつも行くハードオフの近くにあるからついでに行っているだけなのだが。

ファッションセンターしまむらのグループ店で同じく服や雑貨、日用品を取り扱っているAvailだが、最近まで行ったことが無かった。服はいつもユニクロかZOZOTOWNで買っているからなぁ。しかし、つい先日ちょっとした買い物に使う用のトートバッグが欲しくなり、どこかに手頃なの売ってないかなぁと探した所、Availがヒットした。

中に入ってみると、ビックリ。大量のキャラグッズがお出迎えしてくれた。今流行りのちいかわや何故かプッシュされていたチャイルド・プレイのチャッキーまで色々なキャラグッズが置いてあった。しかも、雑貨や文房具だけでなく、靴下やクッション、水筒、ノート、トレーナー、タオルetc..... これ誰が買うん?みたいなものまで。

私は安くてキャンバス生地でできれば自分が知っているキャラが描かれたトートバッグが欲しいなと思って探した。すると、「サウスパーク」のトートバッグがあった。

おぉ〜 願いもたまには通じるものである。私は「サウスパーク」が好きであり、値段も700円だったので即買った。いや〜、満足である。

それと、やはりというかスヌーピー・ムーミン・ミッフィーの人気はここでもよく表れていた。もはやどこの雑貨屋にも置いてある気がする。苦言を呈したいわけではない。私もこの3キャラは特に好きなのである。(このブログでは硬派を気取ってるが、リアルの私は軟弱者だ。別にいいんだけど)

特に最近ハマっているのはスヌーピーである。キャラ自体は昔から知っていてアニメも見ていた。しかし、子供時代には何がどう面白いのかがさっぱり分からず、自分の心には引っかからなかった。まぁ、内容を知っている人は分かると思うが、とても今の子供には受け入れられるはずが無い。あれは子供時代特有の感情や勘違いを大人がノスタルジーに浸りながら面白がる、みたいな作品である。私は最近、原作を読みアニメを見直したことでかつての評価を覆した。うーん、かなりシュールで特に刺激の無い作品ではあるが、癖の強いキャラ達が色々好き勝手やっているのを見ると少し滑稽に見えてきて面白い。

そんなスヌーピー好きが高じてスヌーピーのゲームを購入した。スーパーファミコン用ソフトの「スヌーピーコンサート」である。普段、私はキャラゲーを買わない。それは、私が漫画やアニメをあまり見ないのもあるが、大体はよく分からない企業が作ったつまらないゲームの印象が強いからだ。しかし、本作は開発がなんと任天堂の下請として有名なパックス・ソフトニカである。私は期待が高まり本作を嬉々してプレイした。

【ゲーム概要】

スーパーファミコン用ソフト
「スヌーピーコンサート」

「スヌーピーコンサート」は、1995年に三井不動産・電通から発売されたスーパーファミコン用ソフトである。
・・・目を疑った者、あなたは間違っていない。そう、本作は三井不動産と電通から発売されている。なぜ?と疑問に思うがそれは当時、大阪鶴見はなぽ〜とブロッサムにスヌーピータウンがオープンする(2006年に閉店してしまったらしい)ということで、それに両社が関わっていたことからこのような発売元になっていると考えられる。

開発は先述した通り、パックス・ソフトニカ。なのだが、今作には多くの任天堂スタッフが開発に携わっている。ディレクターに「F-ZERO」シリーズの清水一伸氏、音楽では「MOTHER」シリーズやアニメ「ポケットモンスター」の楽曲を手がける田中宏和氏、「スーパーメトロイド」シリーズの楽曲を手がけた濱野美奈子氏が担当した。さらにさらに、スペシャルサンクスの欄ではあの横井軍平氏の名が載っている。実はこのゲーム、とんでもなくゴージャスでスペシャルなゲームなのだ。

ストーリーを紹介する。

・スヌーピーがコンサートを開催します。

・皆を誘いたいけど、それぞれ事情があって来られないみたい。

・友達のウッドストックと一緒に皆を助けてあげましょう。スヌーピーはコンサートを成功させることが出来るのでしょうか?

こんな感じ。電源を入れるとタイトルロゴが出てきてキャラ選択画面に移る為、ゲーム内で語られることは無い。

ジャンルはというと、これが難しいんだが色々なジャンルの複合、というべきかな。ガンシューティングもあるし、アクションもあり、アドベンチャーやパズルもある。共通としては全て横スクロールであることぐらいか。

このゲーム、スーパーファミコンマウスに対応している。どこで使うの?と聞かれたら全てだ。移動やアクション、オプションの変更まで全てカーソル操作になっている。実は本作では主にスヌーピーが主役となっているゲームモードが殆どなのだが、スヌーピー自体は操作できない。どういうことか。相棒のウッドストックをカーソルのように扱い、ウッドストックを操作することでスヌーピーを動かしてあげるのだ。

プレイ画面
ウッドストックを操作してスヌーピーを移動させる

例えば、スヌーピーを右に動かしたい時は、カーソルを画面右に置き、ボタンを押す(クリック)する。すると、スヌーピーがウッドストックがいるところまで来てくれる。こんな感じ。このゲームは移動だけでなくジャンプや「調べる」、アイテムを拾うといったアクションがあるのだが、全てウッドストックもといカーソルで操作をする必要がある。私は通常のコントローラーを使ってクリアしたのだが、マウスを持っている方は使ってみると良い。

キャラ選択画面では、6人のキャラが選べる。その中からキャラを選び、選んだキャラが担当するゲームに移る、といった感じ。それぞれのキャラについて説明する。

・リラン
選択すると「リランの乗り物大好き!」が始まる。
強制横スクロールのステージで障害物を避けたり破壊したりしながらリランを守ってあげるガンシューティングのようなゲーム。プレイヤーは「手」となり、障害物にカーソルを合わせボタンを押す(クリック)することでアクションを起こせる。例えば風船なら割ったり開けっ放しのドアなら閉じることができる。4つのフェーズに分かれていて残機は3つに設定されている。1つのフェーズをクリアすることで残機が一つ増える。リランの乗り物にカーソルを合わせボタンを押すことで乗り物のスピードを落とすことが出来る。しかし、落としすぎると耳をプロペラにしたスヌーピーがやって来てリランを連れ去り、1ミスとなる。助けたいのか邪魔したいのかどっちやねん。

プレイ画面
障害物を手でどかしながらゴールに導く

・ライナス
選択すると「ライナスのラブラブ大作戦」が始まる。
マリオ3のような横スクロールステージをスヌーピーを操作してゴールまでたどり着いたらクリア。全部で3ステージ。残機は無いが制限時間が決められており、制限時間内にクリア出来なければそのステージの最初からやり直しとなる。また、特定のアイテムをゴールまで持っていく必要があり、ゴールにたどり着いてもアイテムを持っていなければクリア扱いにはならない。

プレイ画面
制限時間内に女の子にアイテムを渡したらクリア

・シュローダー
選択すると、「シュローダーの楽譜はどこに行った?」が始まる。
横スクロールのアクションパズル。パズルというより謎解きに近いかもしれない。例えば、お花のボクシング大会で優勝しないと次のステージに進めないのだが、優勝するにはあるアイテムとあることをしなければならない、みたいなね。最初は、近所の庭みたいな所から始まるが、段々ジャングルや無人島、果ては宇宙まで行く羽目になる。
ステージはおそらく10以上あったはず。一番ボリュームがあるメインモード。

プレイ画面
楽譜を探すだけだったのだが
ジャングルや宇宙を冒険する

・チャーリー・ブラウン
選択すると、「チャーリー・ブラウンの野球大好き!」が始まる。
横スクロールのアドベンチャーゲーム。チャーリー・ブラウンが無くした野球帽、野球ボール、グローブを探す。全て見つけたらクリアである。色々突っ込みたいが抑えておこう。スヌーピーが探偵の格好をするが、謎解きというよりかはアイテムの物々交換を通して、目的のアイテムを探す流れとなっている。

プレイ画面
アイテムを交換しながら依頼品を探す

・ペパーミント・パティ
選択すると、一番乗りにコンサート会場に来たペパーミント・パティとマーシーの会話が聞ける。特に選ぶ意味は無い。ゲームの進行度によってセリフが少し変わるので、クリアしたら覗いてみよう。

・スヌーピー
選択すると、スヌーピーの心の声が聞ける。こちらも選ぶ必要は無い。全てのゲームをクリアして彼を選択するとめでたくエンディングである。

以上がこのゲームの各モードの説明とこのゲームの概要である。

【感想】


このゲームは1年振りで2回目。クリア時間は5時間程度だった。初見でプレイした時はそこそこ楽しかったが、改めてプレイすると「あれ?こんなストレスが貯まるゲームだっけ?」と感じる場面が多々あった。

さて、今作だが内容自体はとても良い。数多あるキャラゲーの中ではベスト10には入るくらいの質の高さである。原作へのリスペクトはもちろん、キャラクターをゲームとして落とし込めているのかがキャラゲーとして大事な訳だが、それもクリアしている。よくキャラのガワだけ着させた「これ、キャラゲーにする必要ある?」みたいなゲームは山ほどあるが、もし本作がオリジナルキャラで展開されていたら、テンポが悪い、世界観が謎等と切り捨てられていただろう。だが、これはスヌーピーだから良いのだ。ピーナッツの世界観はこうなのである。テキストの表示の速さ、キャラの細かい動き、シュールなストーリー展開もこれでいいのだ。元の原作がこうなのだから。この作り込みの凄さでスヌーピーファンだけでなくゲーマーからの評価も高いのも納得出来る。

しかし、私は一つ苦言を言いたい。


何で、ボタン操作じゃなくて、カーソル操作なんだよォォォォ!!!!(泣)


本当に残念である。私はこれさえなければ評価で10点中8点ぐらいはつけてあげてもいい。なのに、このゲームときたらほぼ全ての操作をウッドストックを動かすカーソル操作にしてんだ!!それのせいで私は今作を5点まで下げている(私の中での5点はまぁクリアまで遊んでやるよ、但しはっきりと面白くないって言うがな!というレベルである)。

一番ムカつくのはこのカーソル操作がちっとも面白く無い上に必要性を感じないことである。この仕様によってもたらされたものといえば、ただ操作性をゴミにして上げなくて良い難易度を上げてしまっていることだ。何度も言うが、本作はキャラゲーである。しかもスヌーピーだぞ。これをやりたいと思う層はもちろんスヌーピーのファンだったり、スヌーピーの世界観で癒されたい人達だ。決してコアなゲーマーじゃない。

では、なぜしなくても良いカーソル操作を強制させたのかである。それは本作を開発した任天堂が「ゲーム」を「ゲーム」としてではなく、「遊び」の枠内にあるものとして捉えているからだと思う。有名な話だが、任天堂は元々ゲームの会社では無い。おもちゃを作っていた会社である。このこともあってか任天堂はゲームを作る時にゲームの質だけでなく遊び方すらもプレイヤーを熱中させるような仕組みを考える節があるのだ。例を挙げるとWiiはもちろんこの工夫の一つに入るだろう。体感ゲームを家で手軽にプレイするためである。他にもゲームキューブで出た「ドンキーコング ジャングルビート」の専用コントローラーであるタルコンガもそうである。任天堂は既出のゲームとの差別化を図り、なおかつクオリティーの高いゲームを出すことを他のゲーム会社よりも意識していると思う(あくまで推測である)。

そんな考えから生まれたのが、「スーパーファミコンマウス」である。これはスーファミでリリースされた対応ソフトにのみ使える周辺機器なのだが、まんまパソコンのマウスであり、それ以上でも以下でもない。これに対応できるソフトで有名なのが、「マリオペイント」である。

スーパーファミコン用ソフト「マリオペイント」
マウスに対応している

名の通り、お絵描きやアニメーションを作るだけでなく、作曲もできるソフトだ。やったことある人なら分かると思うがこれはマウスじゃないとやってられないと思う。1回1回ボタンを押しながらだとやりづらくてしょうがない。何しろ、ボタン操作だと画面を通して絵を描いてる、という実感も湧かない。おまけのミニゲームとしてハエたたきがあり、これもマウスの特性を生かした素晴らしいゲームだった。

で、スヌーピーコンサートである。当たり前だが、マウスに対応させるというのはそれなりの理由が必要だと思う。パソコンゲームで人気だった麻雀やスムーズにカーソルを移動させる必要があるマリオのスーパーピクロスなんかは絶対にマウスの方が操作はやりやすい。なのに、本作はマウスに対応させる理由が微塵も見つからないのだ。無理やりマウスに対応させるべくゲームをデザインしたとしか思えない。任天堂の色々な角度からユーザーを楽しませるアイディア力やチャレンジ精神には毎度感心させられるが、たまに外した時は本当に見てられないし怒りを通り越してガッカリする。

システム面も不満がある。今作はゲームのデータを保存するのに、セーブ方式ではなくパスワード方式を採用している。初期のスーファミ作品ではパスワード方式も多少あったが、今作は1995年発売である。プレステもサターンも発売されていた時代にこれである。本作は推理アドベンチャーのような前にプレイした所に戻る必要があるゲームでは無い。これもパスワードである理由が分からないのだ。ローンチでセーブができるスーパーマリオワールドを出してるから技術的な問題でも無いし。何なんだお前。

次にそれぞれのモードについて感想を述べる。

・リラン
ガンシューティングではあるが、乗り物のスピードが尋常じゃない程早いので、結局は暗記ゲーである。スピードを下げることも出来るが、下げすぎるとミス扱いになり、少し緩めた程度でもすぐに加速してしまう。癒し要素は皆無である。また、今回ボタン操作だったからかすごくやりづらかった。あと、残機の概念はマジでいらないと思った。初見じゃ絶対クリアできないのに、残機がたったの3つしかない。1フェーズで1増えるとしてもゲーム初心者には優しくない設定である。そのフェーズの最初からリトライできるようにして欲しかった。

・ライナス
カーソル操作の最大の被害者。何でこの操作でマリオ3せなあかんねん。私は横スクロールアクションは大好きだが、操作がゴミな今作では一番ストレスが貯まるモードだった。腹立つのがダッシュジャンプや細い足場を渡る為の微調整を求められたりしてクッソ難しいのである。しかも何でこの内容で時間制限をつけるのかが分からない。何度も言うが、これはスヌーピーファンの為のゲームであってコアなゲーマーに向けたものでは無い。3つのステージ中、チェックポイントがあるのが一つだけ(その1つのステージもクッソ長いステージなのにポイントは一つのみ)なのも不親切だ。つまり、制限時間から逆算して2、3回でもミスするともう間に合わない。

・シュローダー
このモードを一番高く評価している。というかこのモードだけで良かったのでは?制限時間は無く、じっくり考えることができ、ライナス程の難しいアクションは要求されない。ステージごとに変わるBGMや仕掛けを解くことによるグラフィックの演出は気持ちいい。難点を挙げるとしたらやはり高難易度であることだろう。チャーリー・ブラウン編でもそうだったが、今作はヒントというのが無い。自力で全て解く必要がある。あっちのモードはまだ手探りでも何とかなったが、これは一度詰まるとずっと進めなくなってしまう。これは不親切だなと感じた。最後の唐突なスライドパズルもあまり好きでは無い。あと、ライナスとチャーリーにも共通して言えるのが、オブジェクトの反応の悪さである。解き方は合ってるのに中々反応してくれないせいで、間違ってるのかなと勘ぐってしまう。これもカーソル操作の弊害である。勘弁してくれよ。

・チャーリー・ブラウン
このモードも悪くない。平面であるが、スヌーピー達が住んでいる世界をじっくりと探訪できるのが最大の魅力だろう。雰囲気も原作のままで、スヌーピーのセリフも中々エッジが効いていて見ていて楽しい。これもヒントは無く自力でクリアしなければならないのだが、大体はアイテムの特性に関連する場所に行けば正解となる。分からなくてもマップは狭いので一つずつ潰していけば正解にはたどり着けるはずだ。シナリオは一本道だったが私は気にならなかった。

以上が各モードの感想である。

クリアまでの時間は5時間程度。ボリュームは少ない方だろう。当時のスーパーファミコンソフトは9000円ぐらいしたと思うのだが、いくら内容が良くてもこのボリュームは正直ガッカリする。

音楽は個人的に大好きである。アニメ版で使われている楽曲のアレンジが多く収録されていてファンなら嬉しくなること請け合いだ。一番好きなのは、シュローダーのステージ2で聴ける「Daylight Forest」。原曲も素晴らしいが、スーファミ音源とマッチしていて心が弾む良アレンジとなっている。

グラフィックは最高。ドットでありながらもパステルカラーのような優しくて原作の雰囲気をほぼ再現出来ている。細かい部分まで丁寧に描かれていて大好きである。

【まとめ】


はぁ。本当に、本当に、カーソル操作だけなんだよ。このゲームのダメな所は。きっと正気じゃなかったのだろう。斬新な試みは結構だが、それが上手いか下手かを見極めるのがプロとしての役目だろう。いや、世間的には高評価だからこんなにストレスに感じたのは私だけなのかも。
このゲームは駄作ではない。寧ろ良作と言える。しかし、そもそものゲームデザインが私と合わなかったことでガッカリしてしまったというのが本音である。まだピーナッツの世界に触れて浅いが、原作やアニメ等からもっと深く知りたいと思う。いずれ再プレーはするつもりだ。その時にはまた評価が変わっているのかもしれない。




(本作をプレイするには実機で遊ぶしかないようだ。本作をまだプレイしていないレトロゲーマーはプレイしてみてはどうだろうか。)


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