
ラデュレ(02)
以前のラデュレは銀座三越の2階の交差点を向いていたスペースにあった。そこは、やや閉じられた空間で、プライベートな話もできたが、日比谷のここは通路との壁もないし、隣とも近すぎるテーブル配置だった。
浅間唯は大のアフタヌーンティーファンで、関東、特に東京のものの多くには既に足を運んでいた。
もちろん季節ごとに出される内容が違うので、同じロケーションに何度も行っていることもあった。
今回案内された席で浅間は体の向きは若干斜めだが姿勢よく座り、顔はきちんと武田の方を向いていた。
浅間「改めまして、浅間唯です。
今日はありがとうございます」
武田「武田哲也です。
よろしくおねがいします」
浅間は口元を隠していたが、苦笑いをした。
武田「有名人と同じ名前ですと、いろいろと苦労がありまして」
浅間「すみません。
ヨーコから聞いていたのですが、本当に本名なのですね」
武田「残念ながら」
武田が気を悪くしたかもしれないとは思ったものの、浅間はそれを気に留めず話を進めた。
浅間「武田さんの車、すごいそうで、私、とても興味があります。
仕事柄、車に囲まれているものですので、自分ではそれなりに詳しいとは思っています」
いいなと思ったら応援しよう!
