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東海道中有松日本橋 新々膝栗毛十日目
東海道中有松日本橋 新々膝栗毛十日目。箱根宿。
箱根峠の夜は早い。六時半には全ての飲食店が閉まっていた。開いていた小さな食料品店(コンビニに非ず)で訊ねるとちょっと向こうに飲み屋さんがあるので、そこは、やっている筈だと言う。
行ってみると私と同じように夕食が食べられる店を探している外国人女性が店の前に二人いた。店がやっているかどうか分からないので困っている様子だった。
その二人に店は閉まっていると説明した。一人が「私はホテルでこの店が開いていると聞いた」と言う。
店先に「臨時休業」と書いてあった。西洋人には読めんわな。なんと説明すればいいか思い付かなかったので「Suddenly closed」と言ったら、分かってもらえたような雰囲気だった。他に食べられる場所はないかと訊ねられたので、全くないと答えた。食料品店ならあるので先程の店に連れて行くことにした。
件の小さな食料品店に二人を連れて戻る途中、話をした。どっから来たのと言うと「フランス」だと言う。「おお、だから『オテル』と言うんだな」と言うとうんうん頷いていた。「お兄さんは地元なの?」と言われたような気がすしたので、名古屋から歩いて来たと言うと「ナグーヤ?」と聞き返された。「名古屋を知らんかなぁ、東京、京都大阪とあってその中間。そこから十日掛けて歩いてきた」と言うとびっくりしたような表情をしたので分かってもらえたような気がした。
店での会話の手伝いをしたが、結局何も買わず二人は去って行った。店の女主人には「(外国人対応)ありがとうございました」と言われた。