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第2回「マンガ家が専門学校で何を教え始めるのか」

マンガ家として10年以上の連載経験があると、後輩にマンガの描き方を指導できるものだと思っていました。
教えられる内容には「得意・不得意なパート」は存在するにせよ、一通りは教えることはできると考えていたのです。

私には「思い込み」がありました。
現代の今の状況と比べると、「全くマンガを描いた事がない未経験者」の存在は少なかったです。
学生の多くはマンガっぽいものが描ける人達でしたから、「プロを目指す人達に何を指導したらいいのか」は「ストーリーの作り方・構成・演出」とか「コマ展開・コマ割り・コマ構成」というような「プロとして要求されるノウハウ」だと思ったわけです。

学生たちの起こしたストーリーマンガのネームを、マンツーマンで指導していくのが私の仕事だと思い込んだので、ストーリー構成に関してアドバイスし続けていました。

しかし、ストーリー構成や演出について「アドバイスできるレベルのネームを描ける」のは一部の学生でした。
絵はそこそこ描けるしプロ並みの上手い絵を描く学生も多いのですが、ストーリーの展開が「独りよがり」になっており内容の状況を把握できないケースが多く、
何が描かれているのか分からないネームが多かったのです。

「ストーリー構成や演出についてのアドバイス」の前に、学生から「何が描かれているのかの説明」を受けなければならないのでした。

私を含めてプロで活動しているマンガ家の先生にとって、「マンガ表現の基本」は身についていて当然です。
学校で教えられたわけではなく、子供の頃からマンガを読み漁って来ているので「マンガの描き方」は無意識のうちに学んでしまっているのです。

マンガにどっぷりとハマるのは雑誌で読むことがメインですから、表現方法のノウハウは吸収されて来たのです。
ところがある時期からTVでアニメが盛んに放映されるようになり、幼い頃からアニメを見まくり成長して来た学生は増えて来ていたと思います。
アニメを見てきたので、マンガを描く時「アニメ的な表現」をそのまま「マンガの表現」として描きます。

「アニメ的な表現」をそのまま「マンガの表現」として描いた学生のネームを見た私は、なぜ学生たちがマンガを描けないのかが理解できたのです。

何度もTwitterやnoteで公開していますが、「人物の配置や位置関係・誰のセリフなのかを分かるように描く」と言うマンガ表現の基本が守られていない学生の顕著な一例です。↓

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描いた本人から状況説明を話してもらい、質問を続けながら私が理解できたことを「マンガとして分かるように表現した」のがこれです↓

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この経験があって、「マンガ表現の基本を学生に伝える必要があるのだ」と義務感を感じた私は、講師として生きていく意味が見えて来たわけです。


つづく

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