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地方出身の若手社員が痩せた理由
面談で発覚した若手社員の「金欠」の理由と伝えたいこと
人事マネージャーとして、社員との面談は日常的に行っています。ある日、入社2年目の男性社員との面談で起きた出来事が印象的だったので、この記事でシェアしたいと思います。
「痩せました」という一言から始まった話
面談を始めると、彼が開口一番に「最近、痩せました」と言いました。特に太っている印象はなかったので、「リモート勤務で太った後、少しダイエットでもしたのかな?」と思ったのですが、話を聞くうちに、その理由は予想外のものでした。
彼が痩せた理由は、「金欠で食費を削ったから」だったのです。
さらに話を掘り下げると、金欠は食費だけでなく、彼の生活全般に深刻な影響を及ぼしていました。友達からの誘いも断り、ほとんど家に引きこもる生活をしているというのです。
金欠の背景――「理想の住まい」に潜む罠
彼が住んでいたのは、都心の築浅マンション。便利で綺麗な物件ですが、家賃が手取り給与の半分近くを占めていました。さらに契約更新時に発生する更新費用(家賃2ヶ月分+手数料)が予想以上に大きく、今回はその更新費用が直近で発生したため、首が回らない状態に陥っていました。
ここで誤解してほしくないのは、会社の給与水準そのものは世間一般と比べて平均的、もしくは少し上だということです。物価高の影響を受けて、最近では全体的なベースアップも行っています。それでも彼が生活費を圧迫された理由は、住まい選びの際に将来的なコストや固定費のバランスを十分に考慮していなかったことにあります。
「家賃が払えるから大丈夫」という基準だけで住まいを選んでしまうと、更新費用や物価高など、想定外の出費に対応できなくなることがあります。結果として、趣味や交際費を削らざるを得なくなり、彼は友達との時間を持つ余裕すら失ってしまったのです。
「妥協点」を意識した住まい選びの重要性
彼のように、若い社員が「便利さ」や「新しさ」を優先して家賃を高くしすぎてしまうケースは少なくありません。しかし、住まい選びでは、築年数や都心からの距離に妥協することで、生活全体のバランスを保つことができます。
築年数に妥協する
築浅物件や新築マンションは確かに魅力的ですが、古い物件でもリフォーム済みであれば、十分に快適に暮らせます。また、築年数が10年以上の物件は家賃が割安になる傾向があります。
都心からの距離に妥協する
都心から少し離れた場所を選ぶことで、家賃を抑えられる可能性が高くなります。例えば、都心から電車で30分〜1時間のエリアでは、同じ家賃で広い物件や設備が整った物件を選べることが多いです。多少通勤時間が増えたとしても、生活費の余裕が生まれることで趣味や交際費に回せるお金が増えます。
住まい選びで意識すべきポイント
以下のポイントを参考に、生活のバランスを見直してみてください。
1. 家賃は手取り給与の1/3程度に抑える
生活費における家賃の割合を適切に設定することで、日常生活に余裕が生まれます。
2. 築年数よりも状態を重視する
築浅物件にこだわらず、管理状態やリフォーム状況を確認することでコストを抑えつつ快適に暮らせます。
3. 都心から少し離れる選択肢を検討する
通勤時間と家賃のバランスを考えることで、経済的にも精神的にもゆとりのある生活を実現できます。
4. 防犯面は妥協しない
特に女性の場合、防犯設備や治安の良さを最優先にすることが重要です。オートロックや監視カメラ付き物件、治安の良いエリアを選びましょう。
心地よい暮らしは「計画」と「妥協」から生まれる
若い頃は、「便利さ」や「新しさ」にこだわりすぎることがありがちです。しかし、築年数や都心からの距離に少し妥協することで生活費の余裕を確保でき、その分を趣味や友人との交流、自己投資に使えるようになります。社会人になりたての頃こそ、固定費を適切に抑えることが、心の余裕を作る第一歩です。
私自身も、最初は古いアパートに住んでいましたが、キャリアが進むにつれて住まいをアップグレードしてきました。その過程で、「無理のない選択をすることで生活全体の充実を得られる」ということを実感しています。
面談を通じて気づいたこと
社員との面談を通じて、生活のバランスが仕事のパフォーマンスに直結することを改めて感じました。金欠で友人との交流を絶ち、引きこもるようになった彼の生活は、仕事のモチベーションにも影響を与えていたはずです。なんだか顔つきや考え方が以前に比べてネガティブな傾向にありました。とても明るくユーモアあふれる子だっただけにその変化には驚きました。
未来の自分のために、暮らしを整えよう
「生活のバランス」を整えることが、心地よい暮らしと豊かな未来への第一歩です。生活費のバランスのために、住まい選びを見直すことで、友人との時間や趣味の時間を取り戻し、充実した日々を送ることができます。
もちろんストイックな人や生活の優先順位については人それぞれ違います。今回の彼の場合は、家にずっといるより、人と交流することも生活における大事なポイントだったのです。それができなくなってまで家にコストをかける必要はありませんでした。
家探しでは、少しの妥協が、大きな余裕と充実感をもたらしてくれることもあるということを忘れないでください。
また、家賃の妥当性を検討する際には2~3年先までのシミュレーションをする必要があります。その際の収入見込には希望的数値は踏まえず、最低限の条件でも問題ないことを確認してくださいね。
この記事が、住まい選びや生活設計を考える際にお役にたてば嬉しいです。
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