【後編】次世代ビジネスの舞台は宇宙!~それは「可能性」という名のコンテンツ~
前編の記事で ”宇宙開発の実情” が見えてきた。
宇宙開発のコスパが良くなり、数々の民間企業が宇宙スタートアップとして参入。ロケットは意外と打ち上げ成功率は高いし、月には水資源があることが解明され、2040年には「月で人間が活動する未来」がかなり現実的だということが分かった。
後編では、
「近い将来、私たちにとって月・宇宙ってどういう存在になるんですか?」
「いつガンダムに乗れるんですか?」
など、宇宙と言えばまず聞かなくてはならない質問を、宇宙スタートアップ企業である「ispace」に答えてもらいました!
SF的な妄想を始めれば枚挙にいとまがない。
いつだって巨大ロボに乗る準備は出来ているし、なんだったらスペースデブリ(宇宙ゴミ)の掃除屋さんになる準備だってOK。
できれば、銀河の歌姫とか、異星人のお姫様とお知り合いになれたらいいなぁなんて思ってる。
妄想はさておいても、現実的な将来像を考えたら、
大〇建託のCMもきっと舞台はシンガポールではなく宇宙になっているだろうということになった。
■実際のところ、宇宙ってどうなの?
さて、前編の話を振り返ってみると、可能性を連呼しているが、
実際のところどうなの?というのが本音である。
可能性だけでは、人は動かない。
可能性だけで言えば、私がこれから超絶イケイケプロデューサー、略して超イケPになって人気アイドルと結婚する可能性だってある(ない)。
「2021年までの民間月着陸は可能」
ispaceの掲げる近々のミッションである民間初の月着陸と探査。
これは間違いなく可能だと言う。
さらに、他社の開発状況を見ても、2020年代後半には人間が月に行けることも不可能ではないと言う話だ。実際にNASAは2024年までに有人月面着陸を計画している。
ispaceがアニメーションで描いた2040年の状況も、雲上の夢ではないのか。
でも、ぶっちゃけた質問をしてしまうと、
「正直、僕らみたいなポンコツにとって、月ってどういう存在になるんですか?」
これが重要だ。正直に答えて欲しい。
「じゃあちょっと来週、台湾に行ってきま~す。という風にはまだ時間がかかると思います」
まあ、物理的にもね……
「但し、40年頃には地球で言う南極のような存在になっているんじゃないですかね」
南極への観光客は年間2万人。
外縁洋上観光~南極点到達までのバリエーションで、価格も50万円程度から1000万弱まで。
そう考えると、現在のビジネスの在り方もこの20年で大きく変わっていくことも有り得るのだと思わされてしまう。
■で、いつガンダムには乗れるんですか?
とは言いつつも、結局のところは、私がガンダムにいつ乗れるのかっていうところが重要なんですよ。
え? ガンダムは無理?
じゃあデススターは? 作れない?
そしたら家出してきた異星人のお姫様が来て、なんやかんや同棲することになるラブコメ展開は……?
なぜだか全部ダメらしい。
……真面目な話をしよう。
実際に、ispaceを通して、どんな未来が見えてくるのだろう。
知らなかったことだらけの宇宙開発だが、ロケットは意外と飛ぶことがわかったし、今後の宇宙開発も加速していくことはポンコツでも理解できた。
ispaceを筆頭に、月面の開発が進めば、月面基地を起点に火星や太陽系外縁部の有人探査・開発が進んでいくだろう。
プラネテス(幸村誠)の世界だったり、テラフォーマーズ(貴家悠/橘賢一)の世界が訪れるのは近そうだ。
(進化したゴキ〇リと戦うのは勘弁願いたいが……)
ガンダムや宇宙戦艦ヤマトの世界観は訪れないような気がするが、一市民としては宇宙が平和的に活用されることを祈るばかりなので、難しいところだ。
■なぜ男たちは宇宙を目指すのか
最後になるが、今までは夢物語だった宇宙開発という存在が、現実の可能性としてその頭角を現した。前編の終わりに触れたが、人は「可能性」の力を信じているのだと思う。
様々なテクノロジーの進歩や、社会スタイルの変化があり、大小問わずの企業と人々のライフスタイルが変わりつつある中で、閉塞感とも言える行き詰まりを少なからず感じているのではないだろうか。
自分たちの次なる可能性を宇宙に求めているのかも知れない。
世界をリードする宇宙開発スタートアップでありながら、
「将来なんか約束されていないので」
と終始謙虚なスタイルだったが、ispaceの事業を説明する秋元さんの瞳は爛々と輝いていた。
宇宙開発という可能性コンテンツに対してのモチベーションが彼らを突き動かしているのだろうということがわかる。
これからのビジネスも、人類の生活圏が大きく広がることを念頭に置いて考えなければいけなくなるだろう。
漫画構成=天望 良一(@amamiyoshikazu)、神代徒華(@rakugaki_toka)
取材・文=齋藤春馬/編集=檜山(@mek_sake)、井田(@ida_pei)
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