【ふたつめの人生】自分次第でいくつもの人生を生きられる時代(友達編)
友達の未来
友達ってなんでしょう?
約2500年前に、古代ギリシャの哲学者・ソクラテスは友情/友愛(フィリア)は3つに分類されると言いました。
(※ソクラテスは生涯著作を残していないので、弟子のアリストテレス「ニコマコス倫理学」より参考)
1つ目は実用の友情。
お互い実用的に”使える”から成り立つ関係のことです。
現代でいえばビジネス的と言い換えられるでしょうか。
FacebookやLinkedIn上で、お互いの活動を知り、目的が合致すれば利用し合う。
ビジネスマンが愛してやまない言葉「人脈」の意味する友情関係はここに分類されますね。
でも、ひとたび利用し合えるコトがなくなれば、関係性が失われます。
あー、あの人、あの案件が終わってから一度も会ってないけど、今こんな活動してるんだ、の関係です。
2つ目は快楽の友情。
集団の中で、酒を飲み交わしたり、趣味や娯楽を分かち合うような関係です。
コミュニケーションを取るときに、共通の好きなものが多ければ多いほど快を感じやすくなりますよね。
例えば、Twitterで音楽仲間とフォローし合い、”いいね”し合い、オフ会で音楽談義に花を咲かせるような感じでしょうか。
作中の「Sコミュ」をはじめとするマッチングアプリは、まさにこの快楽の友情の相手を見つけ、友好的な関係を育ませることを目的にしています。
しかし、こちらも共有事項がなくなれば、徐々に薄れていく関係であるのは確かです。
3つ目が善の友情。
友達相手にとっての善を願う関係性であることを言います。
ずっとお互いに認め合い、尊敬し合える関係。
友達の喜びを自分の喜びと感じたり、痛みを自分の痛みだと思ったり…そう思える「友達」は何人いるでしょうか。
ソクラテスは善の友情を理想としました。
…もしかしたらソクラテスは寂しがり屋だったのかもしれません(笑)
しかしながら現代においては、3つそれぞれの友情について優劣はつけ難いものです。
皆さんご存知の通り、今のSNS時代には「相手の喜びや痛みを自分のものと思える力」は、傷つけ合わないためにとても重要な能力と言われています。
この能力を保持したまま、実用の友情も快楽の友情も、うまく維持していくのが現代流ではないでしょうか。
更に未来では、嫌味なく積極的に使い分けるテクニックが求められていくかもしれませんね。
たまに利用し合って、たまに共感し合って飲み交わす。
あくまでも「個」として、そのくらいの距離感を持って接し合う方が、生きるには楽なように思います。
相手に関する付帯情報は、一つ一つは役に立つ事もあるかもしれませんが、過剰な情報は相手との距離感を分からなくさせます。
作中の「Sコミュ」も過剰なプッシュ情報でなければ良いサービスなのに。
さて、影山くんと松永くんは将来、過日を思いお酒を飲み交わす日が来るでしょうか。
来るといいですね。
次回の「ふたつめの人生~自分次第でいくつもの人生を生きられる時代~」は、「恋愛編」の配信予定です。配信のお知らせはifのTwitter、Facebookでおこなっています。
原案・解説文章:未来予報株式会社(@miraiyoho)
シナリオ:茶谷葉(@tyatani_you)
作画:さわぐちけいすけ(@tricolorebicol1)
編集:伊勢村幸樹 井田峻平(@ida_pei)
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