Shooting Star(feat. CHICO CARLITO & R-指定)
9月28日深夜放送されたCreepy Nutsのオールナイトニッポン0。番組終盤、日本語ラップ紹介コーナーで紹介されたhokutoさんのアルバム「plums」からの1曲、「Shooting Star(feat. CHICO CARLITO & R-指定)」が素晴らしかった。くらいすぎて泣いた。放送終了後、すぐにiTunesで購入して、昼頃まで泣きながらぶっ通しで聴き続けた。
CHICOさんとRさんはだいぶ前からの友達だと聞いた。昨年10月の放送でもCHICOさんの新曲を日本語ラップ紹介コーナーで紹介していたし、松永さんも一緒に3人で沖縄で遊んだ話をしていたように思う。(かつ天リリパのアフトだったかな…記憶だいぶ曖昧ですみません🙇♀️)そんなCHICOさんの書いた1バース目にアンサーする形でRさんが2バース目を書いたそうだ。
歌詞はこちらから見られます。
Rさん自ら、ラジオの中で対になっている部分として
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CHICOさん
地元からどっか羽ばたくには
プライドとフライトが必要
Rさん
俺も地元からまくりたけりゃ
誇りとのぞみが必要
[プライド:誇り]
[フライト(飛行機):のぞみ(新幹線)]
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CHICOさん
ICEがなくてもラッパーで輝ける
Rさん
ラインを引くなら空
[両方とも隠語なのだということだけは分かったけど、詳しくは分からない😇]
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の2ヶ所について触れていた。
詳しくはみやーんZZさんの書き起こし
またはpodcastにてご確認ください。
この対の部分について、私も拙いながらいくつか見つけた(ように思う)ので、自分用メモとして書き残しておきたい。
解釈の間違っているところがあるかもしれませんが、大きな心でご覧ください🙏
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CHICOさん
10代から今もタムロ国際
Rさん
たむろしてた梅田の歩道橋
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CHICOさん
誰でも欲しい札のピラミッド
Rさん
消しカスが化けたピラミッド
[消しカスのところ、hookのNo eraserともかかってるのかな…]
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CHICOさん
ボールペン一本で成り上がる
Rさん
シャーペン一本で今此処
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CHICOさん
もう弱音は吐かねぇマルボロ ey!
Rさん
煙もバースも涅槃まで飛ばす hoo!
[タバコの煙を吐き出していると思われるところでガヤ?合いの手?を入れてる、ガヤが入るのはお互いここだけ]
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きっとまだあるに違いないけれど、初心者の私に見つけられるのはこれが限度🙇♀️
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ここからはRさんのバースについて取り上げたい。
Rさんのバースは、リリースされたばかりのCreepy Nutsのアルバム「Case」に収録されている「Who am I」をセルフオマージュしていると思う。故郷と地元の友達に思いを馳せる、郷愁を誘う曲だ。
「Who am I」は映画「バイプレイヤーズ」の主題歌として書き下ろされた楽曲だ。この映画は「月のない夜の銀河鉄道」という自主制作映画を完成させることができるかどうかがストーリーの主軸になっている。
「銀河鉄道」といえば多くの人が宮沢賢治の名作中の名作「銀河鉄道の夜」を思い起こすだろう。
ジョバンニとカムパネルラが乗り込んだ銀河鉄道は夜空を走る。星座の停車場に止まりながら乗客と出会い別れていくストーリー。
ジョバンニは気付いたら銀河鉄道に乗っていて、停車場に止まるたび、出会った乗客と別れていく。Rさんは散り散りになった仲間と仲間を繋げて星座を作るために、列車に乗っている。星と星の間に線を引いて星座を作ることができたら、流れ星になって儚く散らずにずっと輝き続けることができるから。流れ星や線香花火のような美しい散り際にどこか憧れながら、自分はフィルターギリまでその身を焦がすと決めた。
私はCreepy Nutsを好きになってまだ浅く、前のことはあまりよく分からないのだが、バースの締めの「楽しみにしてな」は恐らく「サントラ」で「ツレが遠くへ旅立った日」と歌った「ツレ」に向けて、またここに至るまでにさまざまな理由からラップを離れてしまったツレたちに向けて呼びかけたのだと思う。中にはRさんにMCバトルで、あるいは楽曲の巧みなライム&フロウで、完膚なきまで叩きのめされ、ペンとマイクを置いた人もいるはずだ。Rさんは踏みつけて倒してきた人たちもツレと捉え、そんなツレたちの思いも背負って、ラッパーとして生きると決めたのだろう。
Rさんの漢気、かっこよすぎる!!!
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さて、CHICOさんのバースの
Hokutoのビート
乗りこなす那覇市のオリオン
のところ、hokutoさんを北斗七星に、自らをオリオン座になぞらえていて、めっちゃパンチラインだと思う。
(ちなみに沖縄でオリオンといえば、オリオンビールだよね。赤い三ツ星がトレードマーク。まさにミシュランと変わんねぇ三ツ星!おいしいんだよなー🍺)
Rさんはバースの中では、自分を星座になぞらえていない。たしかに88個ある星座の中にはR座も恭平座もないし、大阪を象徴するような星座もなさそうだ。だから直接アンサーできなかったのだろうと思った。
でも改めて「銀河鉄道の夜」を読み返してみたら、これは…と思う部分があったので紹介したい。
物語の佳境に登場する蠍の火のエピソードだ。
銀河鉄道に乗り合わせた女の子が、父親から聞いたとしてこんな話を披露する。
昔バルドラの野原にいた1匹の蠍は、小さな虫を食べて生きていたところ、いたちに見つかり、今度は自分が食べられそうになった。必死で逃げたら井戸の中に落ちて溺れてしまう。溺れながら蠍は神に祈った。どうしてわたしはわたしの身体をだまっていたちにくれてやらなかったのだろう。そうしたらいたちも一日生き延びることができただろうに。どうかこの次はまことのみんなの幸のために私の身体をおつかい下さい…
すると蠍の身体は真っ赤なうつくしい火になり、燃えて夜の闇を照らした、という話。
オリオン座の赤い星はベテルギウスというそうで、冬の空に輝く代表的な一等星。
対してさそり座の赤い星はアンタレス。夏の空に輝く代表的な一等星で、蠍の心臓と呼ばれているそうだ。
Rさんは銀河鉄道を想起させることで、暗に自分をさそり座になぞらえたのではないだろうか。
ギリシャ神話ではこのふたつの星座にはある因縁があり、オリオン座とさそり座はライバルの星座と言われているとか…。興味のある方は是非詳しく調べてみてください。
CHICOさんとRさんは近いうちまたどこかで共演するのではないかという噂もあるようだ。冬の赤星と夏の赤星、ライバル同士のガチンコ対決を楽しみに待ちたい。
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最後になってしまったが、hokutoさんのビートも素晴らしい。イントロからぐっと心を掴まれ、楽曲を通して散りばめられているスクラッチ音がキラキラ輝く星のよう。Rさんのバースの「出会って別れる 彼岸花が咲く」で印象的なパイプオルガンの高音のような音が入るのも神業だし、締めの「フィルターギリまで〜」では音を極限まで絞り、アカペラのように聴かせるところも最高だった(ラジオで聴いたとき、ここで滝のように涙が流れた)。アウトロでジュッと命の火が燃え尽き消えるような音がするのも秀逸だ。
ああ、こんなとき音楽をもっとちゃんと勉強すればよかったと心から思う。いろいろな音や仕掛けを聞き分けられなさすぎるし、音に関する語彙を知らなさすぎるし、何がどうすごいのか全く分からないし上手く表現できない。すげぇとかかっちょいいとかこれめっちゃ好き!泣いた!とかしか言えないのがもどかしい。
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