感情の円グラフを作る
あれから2週間が経とうとしている。ラジオも聴いたけど、まだ気持ちの整理はついていない。
タイムラインで見かけた先週末のお祭りの"演出"の煌びやかな写真が、今も目に焼き付いている。でも私の心はなかなか晴れない。ド派手な"演出"のお祭りに参加できなかったからかな。多分それもある。でもそれだけではないような気もしている。
「わからない」
先日のラジオで星野源さんが繰り返し言っていた言葉だ。宮野真守さんのゲスト回でのこと。宮野さんが以前受けたという演劇のレッスンでのメソッドの話題になった。(1:05:05あたりからこの話題です)
そのメソッドは、自分の心の奥深くにある感情を掘り起こしてえぐるような、なかなかハードな内容だったそうだ。
その話を受けて源さんがこんなことを話し出した。
そのメソッドと同じような内容を、自分で勝手に考えてやっていたのだという。
…源さんちょっとすごすぎる。
宮野さんが「星野さんは若い頃から自問自答が上手だったんですか?」と聞く。すると、源さんはこう答えた。
わからないことをそのまま放っておいては自分がダメになる気がして、とにかく自分と向き合ったのだそうだ。
この話を聞いていて、これはオードリーの若林さんがいうところの「ボンネットを開ける話」と同じだなと思った。
中田敦彦「死ぬまで僕は自分の話をする」 若林正恭との対比と対話、わずかな変化
若林さんはこの番組(あちこちオードリー)内で「内省は完了した」と断言していて、さすがだな、すげぇなと思った。
私なんて全然完了していない。それどころか、どのくらい進んでいるのかもわからない。頭の中は源さんが高校時代に作った「わからない」の歌の自主テープがエンドレスで流れているような状態だし、もうずっと自分という車のボンネットを覗きこんでいる。
これまでそんなこと何も考えず呑気に生きてきたから、まだまだ膨大な時間がかかるのだろう。果たして死ぬまでに終えられるのか、私は、内省を。
なんか同じこと前にもどこかで書いたような気がする。こんなふうに一生内省し続けるんだろうな、私もきっと。中田さんみたいに。
さて、わからないはわからないなりに、源さんに倣って、今ある感情の円グラフでも作ってみようか。
ド派手"演出"のお祭りに行きたかった、うらやましい、発した言葉は残念、ショック、悲しい、今後に期待したい…
そして、それより何より圧倒的にしんどい。
半分以上の感情が上手く分類できないまま「漠然と、でも圧倒的にしんどい」として残ってしまった。
この圧倒的にしんどいの正体はなんだろう。もう一度じっと覗きこんでみる。するとこのしんどいは、本当は自分のしんどいではないのかもしれない、と気づき始めた。
実際に事件で被害に遭われた方々のしんどいに、私の知っているしんどいを勝手に重ねて、勝手にしんどくなっているのかもしれない。
それに、そもそも私が今、勝手に重ねているしんどいも、大元を辿ると私自身のしんどいではない。
一番身近にいる「傷つけられ立ち直るのに時間がかかっている人」のしんどさと、「事件の被害者」のしんどさを勝手に重ねているだけだ。
このしんどさとそのしんどさが同じものかどうかもわからないのに。
……いや、でも待って。どこかから私の声がする。私だってしんどいはしんどいの。伴走するしんどさ。見守り続けるしんどさ。そのときを待ち続けるもどかしさ。いつ終わるかわからない果てしなさ。出口のなさ。
って、結局は自分のことばっかりかよ。もう一人の私が言う。そもそもお前のしんどいは、事件の被害者のしんどいにも、一番身近な立ち直るのに時間がかかっている人のしんどいにも、どちらにも似ても似つかないしんどいじゃないか。
ああ醜い。なんて醜いんだ。娘のためにとか、娘が少しでもよくなれば、とか。それももちろん嘘じゃないけど、結局は自分が楽になりたいだけ。もっと自由に生きたいだけ。好きなときに好きなだけ好きなところに行きたい。好きなときに好きなだけ好きなもの食べたい。おともだちとおいしいお酒飲みたい。
欲望まみれの醜い心。これも私の心なのか。
円グラフを作ってみたら、ボンネットを覗きこんでみたら、奥の方からとんでもなくどす黒いやつが出てきてしまった。
そっか。たしかに、このどす黒いのも私か。
そう思うと、すっと気持ちが楽になった。
よし。この「漠然と、でも圧倒的にしんどい」は、「今後に期待したい」に分類しなおそう。
そういえば、今年の初め頃にもわからないことがあった。たしか、わからないことはわからないまま、置いておくことにしたんだった。
ラベルは『難解なミステリー』。
正直あのミステリーは、未だ迷宮入りだ。解けない謎。今はようやく冷静に振り返ることができるようになった程度で、あれが何だったのかは全くわからないし、まだ古傷にすらなっていない。
こちらはもう少し時間が必要かもしれない。
久しぶりに聴いてみたこの曲。改めて、本当にいい曲だ。
きっと今はいいことを言われても悪いことを言われても同じだけつらいんだろうと思う。
いや、むしろいいことを言われるほうがつらいのかもしれない。だからアゲもサゲもどちらも言わないよ。
今後に期待しています。
いい曲作ってください。待っています。生きざま見せ続けてください。ずっと見ています。
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