[Side Story] 静かな海の攻防③
■宇宙巡光艦ノースポール
[Side Story]
静かな海の攻防③
日本。
国会議事堂。
予算委員会。
「はい、了解です。協力に感謝します。」
委員会室で席に座っている古淵総理は、小声で話していたケータイの通話を終えると、スーツの内ポケットにしまいました。
「総理、米軍からの連絡です。」
その古淵総理に、稲田防衛大臣がメモを渡しました。
「うん、内容は同じだな。たった今、ガーランド大統領から連絡があったのだ。」
実は、古淵総理が政権に就いてすぐの国際会談で、日米とロシアの3か国間で、ごく私的なホットラインが作られたのです。しかも、ロシアからは、現大統領と、次期大統領の有力候補も参加していました。
そう。
ロシアでは、もう間もなく、平和的、民主的な選挙に基づいて政権の委譲が行われることが確実となっているのです。当然、国としての大方針も転換されることが確実となっていて、世界中が、ロシアの動向に注目しているのです。
もっとも、そのお話は別のお話となりますので、ここでは、割愛させていただきます。
「そうでしたか。しかし、中国も無茶をしますね。」
「ああ、理解出来んな。ただ、もしも、ミサイルを撃っても、攻撃には失敗したはずだがな。」
そう、ロシアが方針を展開しようとしている今、次の国際的な課題は、中国なのです。
「そうですね。何しろ、シーライオンは超光速航行も可能な宇宙船ですからね。極超音速ミサイルでも追いつくことは出来ないはずです。」
「うん。」
そう会話する古淵総理と稲田防衛大臣、目が少年のように輝いています。
改まった、稲田防衛大臣が、総理に伝えました。
「現場には、監視を続けるように伝えます。」
「ごくろうですが、頼みます。」
その、2人も出席している予算委員会では、野党が、最近の古淵総理と稲田防衛大臣の行動について追求していました。
「内閣総理大臣、古淵正広君。」
古淵総理は立ち上がると、答弁用の演台に立ちました。
「繰り返しになりますが、私と防衛大臣が出かけているというのなら、その証拠を示してもらいたい。それがないのならば、不毛な言いがかりは止めてもらいたい。審議時間の無駄遣いだ。」
野党の出席者が一斉に不満の声を上げました。
有意義なのか、無意味なのかは不明ですが、予算委員会はこうして続けられていました。
政治って、不思議ですね。
(おわり - 静かな海の攻防)
この物語はフィクションです。実在の人物・団体・出来事などとは、一切関係ありません。
『宇宙巡光艦ノースポール』はKindleで電子書籍として販売しています。
最新巻、発売中です。『未来の宇宙船』によってもたらされた未来の技術を使用した宇宙船、シーライオンが、現代の空で試験飛行を行います。
本 Side Storyで描かれた静かな攻防の『表』舞台について書かれています。併せてお読み頂けると、本作品世界をより深く理解して頂けるものと思っています。
■宇宙巡光艦ノースポール
・第2章 宇宙巡光艇シーライオン
・第1節 静かな海、太平洋
さらに、第1章の4冊も発売中です。
ノースポールの世界がどのようにして始まることになったのか。
小杉さんとライラさんはどのようにして、プロジェクトに参加することになったのか。物語の発端のわかる内容となっています。
是非、お読み頂けると幸です。
全巻、Kindle Unlimitedに対応しています。
なお、『宇宙巡光艦ノースポール』シリーズは、隔週木曜日に、最新刊を発売予定です。次巻は2024年5月2日(木)の発売を予定しています。
乞うご期待。
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2024/04/25
はとばみなと