[Side Story] 久しぶりの帰省⑤
■宇宙巡光艦ノースポール
[Side Story]
久しぶりの帰省⑤
みなさま、
はとばみなとです。
昨日、1日お休みした、池上さんの帰省の話の続きになります。
生まれ育った家に戻った池上さん。ノースポール・プロジェクトに参加していて、来年初めにはノースポールに乗り組んで宇宙に行くことを、お母さんと、妹の萌さんに伝えました。
やや不安げなお母さん。賛成してくれた萌さん。
そうこうしていると、玄関のドアの開く音がしました。
「お父さんかしら?」
お母さんがそう言っていると、階段を上る音が聞こえて、お父さんがリビングに入ってきました。そして、開口一番。
「やっぱり、舞だったか。」
お父さん、予想が当たって嬉しそうです。
「え? どうしてわかったの?」
「いや、玄関に見慣れない靴があったからな。うちじゃ、お母さんも萌も、あんなお洒落な靴は履かないからな。」
おっと、お父さん。その発言はちょっと危険では。案の定、お母さんが噛みつきました。
「失礼なこと言うわねー。あなただっていつもサンダルじゃない。今年の漁協の年始の挨拶にも、スーツにサンダルで行こうとしたじゃない。」
萌さんも不満げにお父さんに言いました。
「そうよ、おとうさん、ありえないよ。」
ですよねーー。いくら家族でも言って良いことと悪いことがあるはずです。
「ははははっ、そうなのか。」
ちなみに、みんな顔は笑ってたりします。池上家では、割と鉄板な会話のようです。
「それで、どうした。何か困ってるのか?」
そのお父さんに、舞さんが仕事の話を始めました。
「実はね、いま、ノースポール・プロジェクトに参加していて、それで・・・。」
最初は笑顔を浮かべていてお茶を飲んでいたお父さんでしたが、すぐに、腕を組んで、深刻そうな真面目な表情に変わりました。
「んー、要するに、舞は、宇宙飛行士になるのか?」
お父さんが、くそ真面目な顔つきで質問しました。
「まあ、一応ね。それで合ってる、と思う。」
舞さんの答えに満足はしていないようです。
ちなみに、宇宙飛行士という言い方が正しいかどうかは微妙です。何しろ、ノースポールの艦内は人工的に発生させた重力があるので、地球上と全く同じ生活が出来るのです。
これまでの宇宙飛行士が、実際に、ロケットに乗り組んで宇宙へと行く前に受けていた、様々な種類の厳しい訓練も、ほとんど不要なのです。
お父さんは、だいぶ長く考えていましたが、自分の考えをそのまま口に出すようにして話し始めました。
「んーー、まあ、危険なことも多いだろうし、気を付けて行けと言って気を付けられるものかどうかも分からないし、」
舞さん、お父さんの話を静かに聞きました。
「かと言って、親の考えで子供の行動を抑えるのも好みじゃないしな。」
世の中には、子供のすることにいちいち口を挟んで、しかも、親の言ったことしか実行させないという親もいるようです。しかも、子供が成長して大人になってからも、親の支配下に置こうとするような親も多いとか。
子供は、親のために存在するわけではないのです。
「そうだな、舞がそう決めたのなら、その思った通りに進むんだ。後悔のないように。」
お父さん、腕組みしたまま、気難しそうな表情のままでしたが、舞さんを見つめながら、賛成してくれたのです。
「頑張って行ってきなさい。」
お父さん、笑顔に戻りました。優しい、暖かい笑顔です。
「ありがとう。頑張るね。」
舞さん、笑顔で頷きました。
(つづく)
■宇宙巡光艦ノースポール
池上さんが参加しているノースポール・プロジェクト。
未来の技術を現在のものとする、大変難しいプロジェクトです。
しかし、そのノースポール・プロジェクトが、いよいよ、大きく動き出します。
ノースポールに先立って完成した『宇宙巡光艇シーライオン』が、ついに、テスト飛行を行うことになったのです。ぜひ、ご購入頂いて、お読み頂けますとさいわいです。
2024年4月18日に発売予定です!
■宇宙巡光艦ノースポール
・第2章 宇宙巡光艇シーライオン
・第1節 静かな海、太平洋
さらに、第1章の4冊も発売中です。
ノースポールの世界がどのようにして始まることになったのか。
小杉さんとライラさんはどのようにして、プロジェクトに参加することになったのか。物語の発端のわかる内容となっています。
是非、お読み頂けると幸です。
全巻、Kindle Unlimitedに対応しています。
なお、Kindleの電子書籍は、スマホにアプリをインストールすると読むことが出来ます。
※アプリ自身は無料です。
※電子書籍は、それぞれ設定されている料金でご購入が必要となります。
※ごめんなさい。作者はAndroidユーザーなので、IOSについては苦手なのです。iPhoneにも同様のアプリがあるのだと思います。
以上、よろしくお願いいたします。m(_._)m
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2024/04/16
はとばみなと
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