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エリオット波動で最低限知っておくべき事は?初心者向けにやさしく解説

エリオット波動理論(Elliott Wave Theory)は、相場の価格変動を「波」のパターンとして捉え、そのパターンに基づいて相場の未来の動きを予測する理論です。

歴史

1938年にアメリカの会計士、ラルフ・ネルソン・エリオットが提唱しました。彼は市場の価格変動が感情や心理に基づく規則的な「波動パターン」で構成されていることに気づき、これを5つの上昇波と3つの下降波のサイクルとしてまとめ、市場の予測に応用しました。彼の理論は1980年代にロバート・プレクターによって広く普及し、現在も多くのトレーダーに利用されています。日本では、日本エリオット波動研究所が今も研究を続けており、本も出版しています。

エリオット波動理論の基本構造

エリオット波動理論は、相場の価格が5つの「上昇波」と3つの「下降波」で構成される8つの波動からなると考えます。この波の動きは、人々の市場に対する感情や心理(大衆心理)に基づいており、繰り返し同じようなパターンを形成します。

5つの上昇波(推進波)

価格がトレンドに沿って上昇する5つの波。
この推進波はトレンドの方向に沿った主要な動きを示します。

3つの下降波(調整波)

価格が逆方向に調整される3つの波。
上昇が終わった後、一時的に価格が下がる「調整」が行われます。

この8つの波が1つの「サイクル」を構成し、相場はこのサイクルを繰り返すとされています。
また、それがいくつも重なって入れ子状の構造になっており、これをフラクタル構造と呼びます。

波のパターンは5つの基本波形に集約でき、この5つの組み合わせによって相場は形成されるという事です。

波動の種類

エリオット波動の中には、推進波(インパルス)と修正波(コレクション)の2種類の波で捉えます。
また、推進波はトレンドに沿った動きで、修正波はその推進に対して逆方向に調整する動きになり、それぞれの形について詳しく解説します。

推進波(インパルス・ダイアゴナル)

推進波は、トレンド方向に進む5つの波動で構成されます。
上昇トレンドの場合は、1波、3波、5波が上昇し、2波と4波が一時的な調整となり下落を表します。推進波には、いくつかの形がありますので詳しく解説します。

(1)インパルス
インパルスはもっとも基本的な推進波で、5つの波(1, 2, 3, 4, 5)で構成されます。エリオット波動と検索した際に出てくる代表的な形となります。
第1波、3波、5波がトレンド方向に進み、2波と4波は逆方向に修正します。インパルスでは、以下のルールが条件となり、YouTube等では必ずと言っていいほどこの形のみを紹介しています。

  • 第2波は第1波の起点を超えない

  • 第3波は通常、最も長い波で、決して最短にはならない

  • 第4波は第1波の価格領域に入らない

(2)ダイアゴナル

推進波の特殊な形で、インパルス波とは異なり、すべての波が重なり合います。エンディング・ダイアゴナルリーディング・ダイアゴナルなどがあり、エンディング・ダイアゴナルはトレンドの終盤に見られ、トレンド転換の前兆となります。

修正波(ジグザグ・フラット・トライアングル)

修正波は、推進波が完了した後に現れる3つの波で、トレンドに逆行して価格が一時的に調整される動きを表します。修正波には3つの形があります。

(1)ジグザグ
ジグザグは、3つの波(A-B-C)で構成され、トレンド方向に対して急激に修正される形です。A波とC波がトレンドに逆らい、B波は一時的にトレンドに沿った動きです。ジグザグは通常、調整の幅が大きくなる場面で発生します。

(2)フラット
フラットもA-B-Cの3波構成ですが、ジグザグよりも緩やかな調整です。B波がA波の始点を超えることが特徴で、C波は短くなることが多いです。フラットは、トレンドが続いているが、一時的に小さな修正が入る場面で見られます。

(3)トライアングル(三角保ち合い)
トライアングルは5つの波(A-B-C-D-E)から成り、価格が狭い範囲で推移する形です。トライアングルは相場の「持ち合い」や「調整」を表し、トレンドが一時的に停滞するが、いずれ再開することを示唆します。トライアングルは、フラットの一形態とも考えられます。

(4)コンビネーション
コンビネーションは、複数の修正波の形が組み合わさった複雑な形です。
たとえば、ジグザグの後にフラットが続く場合などがあり、通常より複雑な調整をしているときに現れやすく、長期のレンジ相場でよく見られます。
初心者の方は、このような時にエントリーするのは避けることをお勧めします。

エリオット波動の見方と使い方

エリオット波動を活用するには、上記で紹介した波の形状を確認し、それがどの段階にあるかを理解する必要があります。
この後解説するポイントに注意しながらトレンド分析しましょう。

1. 推進波の確認

相場が明確な上昇トレンドにある場合、まず5つの推進波を確認します。
特に、インパルスの第3波が最も力強い上昇であることを意識すると、市場が見やすくなり、市場がトレンドの途中にあるのかを判断できます。

2. 調整波の見極め

トレンドが終わりかけると、必ず調整波が始まります。
このとき、A波やB波の反発があっても、全体のトレンドは終わっている可能性があるため、次の動きを慎重に予測し、上位足の重要ライン等と組み合わせて判断を行います。

3. フィボナッチ比率との組み合わせ

エリオット波動と相性の良い指標として「フィボナッチ比率」がよく使用されます。
エリオット波動の各波の大きさは、基本的にフィボナッチ数列に基づいて変動します。例えば、第2波や第4波の調整幅は、フィボナッチリトレースメント(0.618や0.382など)を用いて予測することができますのでぜひ活用してみてください。

エリオット波動理論を使った具体例

最後にエリオット波動理論を使った具体例を見ていきましょう。

例1:上昇トレンド中の第3波を狙った順張りトレード

  1. 状況
    通貨ペアが上昇トレンドに入っており、第1波と第2波が形成されたのを確認。この時の第2波がフィボナッチリトレースメントの0.618ラインで反発していると尚良い。

  2. エリオット波動のカウント
    第2波の調整が終わり、価格が再び上昇し始めたため、第3波が発生している可能性が高いと判断し直近のネックラインブレイクを待つ。

  3. エントリー判断
    第3波が最も強力な上昇波になることを予測し、ネックライン付近まで戻ってきたら買いエントリーを行う。

  4. 結果
    価格が急上昇し、第3波のトレンドに乗ることができます。

例2:調整波を利用した逆張りトレード

  1. 状況
    推進波が終わり、価格がA波で下落し始めたのを確認。

  2. エリオット波動のカウント
    推進波が5波まで完了しており、今は調整局面にあると判断。A波で下落しているが、B波の一時的な反発が予想されるのでそれまで待機。

  3. エントリー判断
    A波の下落が終わった後、ネックラインをブレイクしたタイミングで買いエントリーを行い、B波の反発を狙う。

  4. 結果
    B波の反発が予想通り発生し、利益を得ることができます。



まとめ

エリオット波動理論は、価格の動きを「」として捉えることで、トレンドの始まりや終わりなど市場を予測する強力なツールとなります。特に、推進波と調整波の関係性や、フィボナッチ比率との組み合わせを活用することで、精度の高い相場分析が可能になります。

初心者の方は、まずはエリオット波動の基本構造を理解し、実際のチャートでどの波に当てはまるかを見ながらカウントの練習してみましょう!

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