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27 夏の顔をサワーに入れて

気がつけばもう7月。夏だ。

夏が来たらやらなければいけないことが、ぼくにはある。

ガリガリ君サワーである。

夏の顔ともいうべきガリガリ君を買ってきて、ジョッキに注いだプレーンの酎ハイに突っ込む。たったそれだけのことだが、これが滅法うまい。

酎ハイに氷を入れて飲むと、途中で氷が溶けてきて味が薄まってしまう。でも、氷の代役をガリガリ君にお願いすると、味が薄まるどころか、じわじわと甘みが溶け出してきて、味の変化を楽しむことができる。

これを思いついた当初は、ガリガリ君から木の棒を引き抜き、包丁でザクザクとサイコロ状に切ってグラスに浮かべようかと考えた。が、店で出すわけじゃあるまいし、そんな面倒なことをすることもない。棒がついたまま逆さにして突っ込めば、それがマドラーの役目を果たしてくれる。

くるくる回してガリガリ君の溶け方を早めて甘みを強めにしてみたり、甘くなりすぎたと感じたら酎ハイを足してみたり、あれこれ試すのがまた楽しい。

ガリガリ君には何種類ものフレーバーがあるので、何味を選ぶかで味わいは変わる。基本はレギュラーとして定着している「ソーダ味」だろう。甘さ控えめなところもいいし、何より淡いブルーが真夏に清涼感を与えてくれる。

2017年に登場した「梨味」もよかったが、最近は見かけない。地域によっては買えるのだろうか。

今年、初登場した「すもも味」はそのままかじっても最高にうまいが、酎ハイにもよく合う。ほのかな酸味が実にいい。酎ハイに入れるのだから、柑橘系のフレーバーはだいたいどれも合う。ミルク系、チョコ系は濁ってしまうので要注意。

ガリガリ君には、ときおり珍フレーバーを繰り出してくる側面もあって、ペヤングといい勝負をしている。何年か前に出た「コーンポタージュ味」などはその最たるもので、味に保守的なぼくは恐ろしくて手が出せなかった。あれを酎ハイに入れていたらどうなっていただろうか。ぼくの飲酒の重要テーマでもある「汁で飲む」を同時に楽しむことができたのだろうか。

ガリガリ君が夏の顔だとすると、ガリガリ君の顔はパッケージにも描かれているイガグリ頭の少年だ。ちなみに、製造元である赤城乳業のサイトを見ると、ガリガリ君は小学生で、住所が埼玉県深谷市(赤城乳業の本社の所在地)となっている。「変身するとシャリシャリ君になる」とあるが、それは溶けかけている、ということだろうか。

妹はガリ子ちゃん。ジャイアンとジャイ子みたいなものかもしれない。

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