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24 酒温度について考える その1

もうすぐ夏がやってくる! ビヤガーデンの季節だ! ……とはいえぼくは痛風なので、そんなにビールを飲んじゃいけないんだけど、まあ、夏ぐらいはビール飲ませて。

外でビールを飲むときは、望み通りの温度でないことが多いく、なかなかに難しい。飲食物に関して極端なものを好む自分は、熱い料理はぐらぐらに熱くないと嫌だし、冷たい飲み物はパッキリと冷えていないと嫌だ。だから、酒場で出されるビールは、たとえ冷蔵庫から取り出されたものでも、ぬるいと感じてしまうことが多い。

そんなことを言うと、「ビールというものは本来あまり冷やさずに香りやコクを味わうものですよ……」とかなんとかアドバイスをくださる人がいる。そりゃあわかっている。わかったうえで、あえて凍る寸前のビールが好きだと言っているのだ。

酒に限らず、飲み物や食べ物の話をすると、必ずといっていいほど素材や調理法のウンチクを語り始める奴がいる。食べ頃のルールを語る奴がいる。

あのなあ、間違っちゃいけねえよ。こちとらおいしさの真実なんか求めちゃいねえんだ。いかに自分が気持ちよくなれるか、それを追求しているだけなんだ。そして、何を気持ちいいと感じるかは人それぞれだ。あんたがおいしいと思っても、それをぼくが気持ちいいと感じるとは限らない。だから、飲食物に関してのアドバイスは意味がない。少なくとも、ぼくは一切求めていない。

さて、話を戻す。ぼくが最高に気持ちよくなれる、夏のビールの飲み方だ。

1, まず風呂を沸かす。熱いものが大好きなくせして、熱い風呂には入れないので、すでに沸かしてある風呂には入れない。昼間に冷め切ってぬるくなった風呂を再加熱するところから始めるのだ。
2, 台所の蛇口をひねって瓶ビールに水をジャブジャブかける。なんならキッチンペーパーを瓶に巻いて、その状態で水に浸してもいい。
3, 同じく、生ビール用のジョッキにも水をかける。こちらはペーパーで巻く必要はない。
4, 濡らしたビールとジョッキを冷凍庫の中に突っ込んで凍らせる。風呂が湧ききってしまわないよう、これらの作業は手早く行う。
5, まだぬるい風呂に浸かる。風呂ではいつも本を読む。長風呂しているうちにお湯が沸いてきて、やがて汗がダラダラ出始める。どんだけ我慢できるか勝負だ。誰と?
6, 程よく水分が抜けきったところで風呂から上がり、ほぼ凍りかけのビールを、カチンコチンに凍ったジョッキに注ぐ。
7, おもむろに口に運ぶと、極楽行き超特急の発射である。ゴー!

凍りかけのビールって、あまりにも冷たすぎてあんまりビールの味がしないんだよね。だが、それがいい! みんなもやってみればいいと思うんだー。問題があるとすれば、飲んでるうちにビール瓶やグラスの表面の氷が溶けてきて、食卓がびしゃびしゃになることだけど、そんなものは布巾で拭けばよろしいのだ。

ここで酒──日本酒の温度についてもこの際、言っておきたい。

居酒屋で酒を注文するときに「冷(ひ)やで」と言うと、かなりの高確率で「冷酒(れいしゅ)ですか?」と問い返される。いやいやいや、酒を「冷や」と呼ぶのは室温そのままの状態のことだから。冷やと冷酒は別物なんだよ。

そこで「いや、そのままで」と告げると、今度は「常温ですね」と言ってくる。まあそうなんだけど、化学実験してるんじゃないんだから、酒場でそんな言葉を使ってほしくない。せめて室温と言ってほしい。

その反対に、冬場は「燗で」と言うと、「熱燗ですか?」と返されることが多い。だから、燗と熱燗もまた別の飲み方なんだってばよ。

日本酒の飲み方(温度)は、厳密に言うと10段階くらいあるらしいが、そこまで面倒なこだわりはない。極端な温度設定が好きだと言っておいてナンだが、日本酒に限っては冷やしすぎず、熱しすぎず、ただ普通に飲みたいだけなのだ。

次回は、まったく違う意味での「酒温度」の話を書く。

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