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【組織論】”誇り”こそ野球部を強くする
“全員がやる気に満ち溢れた組織を作る”
組織の誰もがわかっていながら、達成できない永遠の課題だと思います。
僕も150名を越える野球部を束ねる身として、この方法を探し続けてきました。
大学野球ではリーグ戦に出場できる選手は9人(DH制の場合10人)、ベンチに入れる選手は30人弱です。
多少の選手の入れ替えはあれど、毎年チームの半分以上は確実にリーグ戦に出場できないということになります。
しかし野球はチームスポーツです。
試合に出られないからと言って半分以上の選手の士気が下がるようなチームでは、勝てるチームになりません。
ではどうすれば全員が自律してモチベーションを高め続けられる組織になるのでしょうか。
そこで今回は、僕が大学野球を通して見つけることのできた大きな3つのポイントをかければと思います。
① オンリーワンの明確な“肩書き”を作る
まずはシステム的な面での方法です。
大きな組織で一つ主要な問題となるのが、個人がその組織での立場を見失うことです。
大きな組織であればあるほど個人に対する注目は薄くなり、自分のことを小さな歯車だと感じるようになってしまうことがあります。
いわゆる「自分の代わりはいくらでもいる」といった状態でしょうか。
これを解消するために必要なのが
“当事者意識”
です。
自分の存在が小さいと感じている人の多くは、組織の問題を自分の問題と捉えなくなっていきます。
自分以外にも代わりがいるのならば、その人でもできると考えてしまうのです。
そこで当事者意識を持たせるために“肩書き”を作ることが有効です。
「この仕事は自分のものだ!」と思えるものが一つでもあれば、その人は組織に必要な存在だと実感することができます。
よく海外のビジネスマンは自分の仕事の範囲を明確に持っていると言われますが、これは組織をマネジメントする上で非常に理にかなっていると思います。
専門分野を用意することで、少なくともその分野に関してはベストパフォーマンスを発揮してもらうことができます。
ただしこの場合、それぞれの担当から少し外れたグレーゾーンを誰もやらないという問題もあるそうです。
しかし、日本はそれぞれの役割が明確に決まっていない文化にあります。
それもあって肩書を作って効率化しようとするベンチャー企業とかでは、“COO””CFO”といった海外の役職をそのまま使うような現象が起きているのだと思います。
(実際にこの肩書きが機能しているかどうかは知りませんが、、、)
このような文化圏で生活している日本人だからこそ、役割を明確にすることは海外以上に大きな可能性を秘めています。
これは僕の経験上の話でしかないですが、役割を持った日本人は自分の役割を全うするだけでなく、他の人の仕事の中でも自分が担当した方が良いものには手を貸す傾向にあります。
つまり、“肩書き”を持つと、その肩書きに関わることの多くに興味を持つようになり、より組織に貢献するということです。
僕のチームであれば、相手チームのデータ収集を担当する選手が、そのデータ用いて練習メニューを組み立てに協力していました。
本来であれば彼の仕事に練習メニューの組み立てはありませんが、自分が知っている知識を加えた方がより良い練習ができると考えての行動でした。
なので、どんな小さなことでもいいので何か“肩書き”を作り、“当事者意識”を生み出すことが大切になります。
② チームに誇りを持つ
①はシステム的な話だったので、次はメンタル的な話です。
僕は「体が心を動かす」より「心が体を動かす」ことの方が多いと思っています。
そのためにも心に軸を持たせ、やる気を維持する要素が必要になります。
その要素として“誇り”を持つことが最も有効だと思います。
何かに誇りを持つと、その対象に対して妥協したり、軽く扱ったりすることがなくなります。
誰かが見ている・見ていないの違いで行動を変える人は多いですが、誇りを持っている人はそんなことを気にしません。
誇りを持てるか否かだけで自分の行動を判断します。
つまり、誇りを持つと“自分に嘘がつけなくなる”ということです。
こうなれば、勝手に人は自律して行動するようになります。
しかしながら、“誇りを持つ”ことは究極に難しいです。
あなたは今何かに誇りを持っているでしょうか?
おそらく持っていない人の方が多いと思います。
しっかりとしたステップを踏まなければ、誇りを持つ状態にたどり着くことができないからです。
そのステップの中で必要不可欠な要素が
その組織や役割を“好き”になる
ということです。
人は好きなものに対して自分の力を注ぎ、こだわりを持ち始め、最後に誇りを持つようになります。
そのためにはまず「好きになる」ことから始めなければなりません。
誰に何を言われようが、「俺はこれが好きなんだ」と思えるようなものになって初めて誇りを持つスタートラインに立ちます。
ちなみに僕は今の大学・野球部が大好きです。
だからこそ、その名に恥じないように、いやさらに素晴らしいものにしていくために誇りを持って日々行動しています。
③ チームのトップが結果を残す
よく野球をしていて監督から言われたことが
「優勝すれば全てが報われる」
ということです。
この言葉が本質であり全てだと思います。
野球部員のゴールは自分が活躍することでも、チームに誇りを持つことでもありません。
“チームが勝つこと”
この一つのみです。
組織が常に前進するためには、その組織の最も大きなゴールが達成される必要があります。
どんなに頑張って個人が自律した組織を作っても、組織の目標が達成されなければ、その組織の士気は右肩下がりになっていきます。
逆に、個人のモチベーションが低くても、組織の結果が好調であれば勝手にモチベーションというものは湧いてきます。
それほどまでに組織の結果というものは重要なのです。
単純に考えれば簡単なことです。
毎年一回戦負けのような弱小チームで役割をもってモチベーションを高く維持できますか?そのチームに誇りを持てますか?
僕には無理です。
個人が全力で行動するためにも、組織は必ず結果を出さなければならないということです。
まとめ
さて、このように3つ要素をあげました。
抽象的な表現が多かったかもしれませんが、書いてみて改めて“全員がやる気に満ち溢れた組織を作る”ことは難しいと感じました。
ただ一つ思うのは、組織に関係なく常に自分がやる気をもっていれば必ず物事はいい方向に進むということです。
これだけ組織がやるべきことを書いてきて今更ですが、”誇り”と”当事者意識”を持って全力で行動している人はそれだけでものすごくかっこいいものです。
組織づくりを考える前に、自分がその組織に対して考えるにふさわしい人間になっているかどうかを見直すことも重要だと思います。
というか、そのふさわしい人こそ組織のトップに立つ人でしょう。
今日書いた組織を作るためにも、まずは自分を変えていけるように僕も頑張ります。
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