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FIRE後の温泉で感じたこと:自分を保つために必要な「動き続けること」

昼下がりの温泉。そこは、FIRE(経済的自立と早期リタイア)を達成した私にとって、いわば自由の象徴でした。日々の時間に追われる生活から解放され、湯けむりに包まれながらのんびり過ごせるのは、まさに理想の時間だと思っていました。しかし、そこで目にした光景が、私の心に一石を投じることになるとは思いませんでした。


人生を謳歌する場所のはずが…違和感に気づく

温泉に入ると、目に映るのはほとんどが高齢者。会話の断片から推測するに、彼らの多くはすでに「人生のレールを走り終えた人々」でした。何度も湯を往復しながらお互いの体調を気遣い、テレビのニュースに小さな反応を示す。穏やかで心安らぐ風景であるはずでしたが、私には何かが引っかかりました。

ふと、自分をその中に置き換えてみたのです。40代でFIREを達成した今の自分が、このまま10年、20年と安穏とした生活を続けた先にあるもの。それは、今日目にした光景と何が違うのだろうか。ここで見た人々の中に自分の未来の姿を垣間見た気がして、急に心がざわつきました。


使わなければ失われる「頭」と「心」

心の中に浮かんだのは、「安きに流れる怖さ」でした。もし、何の目的もなく、ただ時間を消費するだけの生活を続けていたらどうなるのか。頭は使わなければ確実に鈍っていきます。物事を考える力、新しい価値観を吸収する力、さらには他者との関係性を築く力も失われていくでしょう。

これが、もし一つの会社に定年まで勤め上げ、与えられる仕事だけをこなしていたとしたら?そこから抜け出した40代の今でさえ、自分の頭や価値観が凝り固まっていると感じる瞬間があるのに、それを70代、80代になってから解放するのは、果たして可能なのでしょうか。

考えれば考えるほど、「温泉で時間をつぶす自分」が怖くなりました。せっかく手にした自由な時間を、ただの消費にしてしまうのは、自分の中の可能性をどんどん削ぎ落としていく行為ではないかと。


40代というタイミングで「動けた幸運」

しかし、ここで私はある種の安堵感を覚えました。それは、自分が40代というまだ「動けるタイミング」で気づき、行動を起こせたという事実です。この年齢は、まだ新しいことを吸収する余地が大きく、体力も知力も残っています。そして、今の自分には自由な時間があります。この時間をどう使うかが、10年後、20年後の自分の姿を大きく変えると確信しました。

FIREを達成したことそのものは素晴らしいことです。しかし、それは目的地ではなく、新たなスタートラインです。この自由な時間を使って、私は自分の頭を刺激し、心を動かし続ける必要があると感じたのです。


「多様な価値観に触れる」ことで保たれる自分

そこで心に決めたのは、「多様な価値観に触れることを生涯続ける」ということ。これは、ただ旅行をしたり本を読んだりするだけではありません。自分とは異なるバックグラウンドや考えを持つ人々と積極的に関わり、学びを得ることです。具体的には次のような行動を計画しました:

  1. 新しいスキルを学ぶ
    今まで仕事に追われて後回しにしてきた分野、たとえば語学やアート、プログラミングなど、何か一つ新しいスキルを身につけてみようと考えています。新しいことを学ぶ過程で、これまでにはなかった考え方や視点が得られるでしょう。

  2. 地域社会との交流を深める
    地方移住をしたことで、新たなコミュニティとのつながりが生まれました。このつながりを大切にし、地域活動やボランティアに積極的に参加することで、自分とは異なる生き方や価値観に触れることができます。

  3. 若い世代との交流
    FIREを実現したことで得た知識や経験を次世代に伝えることも、自分自身を刺激する重要な手段です。若い人々のエネルギーや発想に触れることで、自分の思考も活性化するでしょう。


FIRE後の人生は「消費」ではなく「創造」

温泉で感じた不安のおかげで、私は「自分を保つ」ための目標を再設定することができました。FIRE後の生活は、単なる消費ではなく、新たな価値を生み出す創造的な時間であるべきだと強く思います。それは、単に経済的な価値を生むということではなく、自分自身の成長や他者とのつながりを育むという意味での創造です。


10年後の自分に胸を張れるように

10年後、50代を迎えた自分が、どんな姿であるかを想像してみます。そのとき、ただ毎日をなんとなく過ごしていた結果、頭も心も寂れてしまった姿は見たくありません。むしろ、もっと新しい価値観に触れ、刺激を受け、若々しい感性を持ち続けている自分でありたいと思います。

温泉で出会った光景は、ある意味で私にとっての「警鐘」でした。そして、それを40代の今、受け止めることができたのは幸運です。この気づきを胸に、これからも自分を動かし続け、より豊かな人生を築いていきたいと思います。

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