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手首の脱力の鍵は、小指にあり!?

マンドリンの代名詞ともいえる奏法のトレモロには、手首の柔軟性、脱力が大事だと言われます。

手首が固まってしまうのは、もちろん腕や手に力が入ってしまっているからなのですが、具体的にどこに力が入ると手首が固まるのかについては、よくわかっていません。

そこで自分の体を使って色々と実験をしたところ、ある気付きを得たので、それをこの記事で書いてみようと思います。

まず結論から

結論を最初に書きます。

小指に強い力が入っていると、他の指をどんなに脱力させていても、手首は固定されてしまう。
これです。

誤解を生みやすいことについて先回りして否定しておくと、
・小指から力を抜けば手首は柔らかくなる
これは誤りです。

手首を直接的に固定する筋肉は別にあって、小指の筋肉はそれを働かせてしまうトリガーのひとつではないか、ということが私の主張です。


本文

手を使った実験でわかったこと

実験の方法は簡単です。
右手の各指に個別に力を入れて、手の内側に根元から限界まで折り曲げます。
そして、そのそれぞれの状態で手首は脱力できるのか、腕を振って確かめます。
そうしたところ、小指を根元から強く折り曲げている限り、そして小指を外側に広げている限り手首は柔軟に扱えないこと、そして、小指以外の指に強い折り曲げる力が入っていても手首の柔らかさにはあまり影響がないという結果が得られました。

例えば、ピックを持つ親指と人差し指にかなりの力を入れても、手首の柔らかさは維持できます。
中指と薬指を折り曲げても、やはり手首はやわらかいままにできます。

小指にもいくつか筋肉がありますから、具体的にどの筋肉が原因になっているかわかりませんが、小指を外に広げる動き(外転)でも手首が固定されることから、特に小指外転筋と関係があるのではないか、と私は考えています。


小指がすべてを解決するわけではない

要するに、他の指をどんなに脱力させていても、小指に強い力が入っていると台無しというわけです。

しかし、小指に力を入れなければ必ず手首はやわらかく使える、というわけではありません。
小指に力を入れすぎないことは、あくまでも手首の脱力の第一関門なのです。

つまり、小指の脱力なしに手首の脱力はありえないのですが、小指の脱力だけで手首の脱力ができるのかはわからない、ということです。
例えば私の場合、右手と左手で手首の脱力具合にかなりの差があるので、訓練によってクリアされる他の関門があるのだろうと思います。

なぜ小指が手首の固定に影響するのかはわかりませんが、どうも「小指の筋肉を強く使うということは、腕と手を特定の角度で固定しないといけない」という連鎖が起きているように見えます。
つまり、実際に手首の固定に関与しているのは別の筋肉だけども、小指がそれらを働かせてしまうトリガーになっているのではないか、ということです。

物を強く握るとき、手が腕に対して大きく角度を付けていたら力はしっかり入りませんね。
力を入れやすいように腕と手の角度を調整するために、手首を固定する必要があるのではないでしょうか。


小指をどうすればよいのか

手首を固定させないためには小指をどうすれば良いのでしょうか?

一つの方法は、小指の第三関節(根元)を強く曲げないようにする、ということです。
第一・第二関節だけなら曲げても影響はありませんし、第三関節も少し曲げるくらいなら問題ありません。
もともと、脱力した状態で第三関節はやや曲がっていますから、むしろ少し曲がっているくらいが自然なのでしょう。

もう一つは、小指を外に広げない、つまり外転させないということです。

もし以上のことを守っているのに手首が柔らかく使えないとなれば、やはり他の条件も必要、ということでしょう。
ちなみに、親指を外転させても手首は固まるようですが、ピックを持つ都合上、親指が外転することは考えにくいので、気にしなくてもいいでしょう。

私の場合は小指のみ力を抜けば手首が柔らかくなるので、他の条件があるのかどうかわかりません。
訓練によって、デフォルトで脱力設定になっているということだと思います。

終わりに

ということで、何かわかったのかわからないのか微妙なところですが、こういう動作をしている限り、他でどう工夫しても手首は固まってしまう、というパターンをいくつか発見することができました。
それらは、これまでは「手に必要以上に力を入れないように」といった漠然とした表現で済まされていたかもしれませんが、少しは具体性が増したのではないでしょうか。

しかし、私は筋肉や関節の専門家ではないので、本記事の内容も詳しい方から見るとツッコミどころが多々あるのではないかと思います。
あわよくば、この記事を叩き台にした、より正確な新情報が発信されることを期待しています。


おまけ

手首が固まるパターン

マンドリンの演奏中にそういった動きをするとは考えにくいものの、しかし手首は固定されるという動きがあるので、とりあえず現時点でわかっている、手首が固定される動きをいくつかご紹介します。

・小指を根元から強く折り曲げる
・各指を根元からまっすぐ伸ばす
・小指を外に広げる(外転させる)
・親指を外に広げる(外転させる)
・各指を内側に寄せる(内転させる)

こう羅列してみると、根元、つまり第三関節がどういう状態にあるかは重要なようです。
外転に関しても、指のコントロールが難しいので試しにくいのですが、もしかしたら人差し指や薬指の外転も手首の固定に影響があるかもしれません。


豆状骨の飛び出し

手をぎゅっと握ると、連動して手首にある豆状骨(とうじょうこつ)が外側にちょっと飛び出します。
豆状骨は小指の延長線上の手首にある出っ張りで、触るとすぐわかると思います。

豆状骨から腕のほうに伸びるのは尺側手根屈筋で、この筋肉は掌屈(手のひらを内側に折り曲げる動き)と尺屈(手を小指側に傾ける動き)に関わっています。

このうち尺屈の動きは、トレモロで使う手首の動きと全く同じ方向です。
となると、小指外転筋に連動して尺側手根屈筋が働くことで、手首が固定されるのでは…と考えたくなります。

しかし、尺屈・撓屈(尺屈と逆向きの動き)に関わる筋肉は、尺側手根屈筋、尺側手根伸筋、長橈側手根手根屈筋・短橈側手根手根屈筋、橈側手根屈筋、長・短母指伸筋、長母指外筋などなど、たくさんあります。

これらは手首を跨いで手と腕を繋いでいる筋肉ですから、どれかが手首の固定に関わっていそうですが、残念ながら詳細はわかりませんでした。


軽度背屈位

軽度背屈位とは、手を力強く握ったときの腕と手の角度関係を表す言葉です。

試しに、手の甲を上にして、手を強く握ってみてください。
腕を平坦な道だとすると、手首を境に急に坂道になるような角度が、手の側についていると思います。
この、手の甲が上に行こうとする動きを背屈と言うので、軽度背屈位と言うのです。

なぜこのような角度がつくのでしょうか?
それには、手根伸筋(しゅこんしんきん)が関係しています。

物を握る動作は、深指屈筋・浅指屈筋などの手指屈筋群が行います。
そのとき手根伸筋が連動して働いて、手を手の甲側に引っ張り上げて、より効率よく物を握れるような角度にしてくれる、ということなのです。

この仕組みが手首の固定化に関係しているのでは…?と私は考えています。
先述した内容は、その考えを踏まえてのものでした。

なぜ小指が手首の固定に影響するのかはわかりませんが、どうも「小指の筋肉を強く使うということは、腕と手を特定の角度で固定しないといけない」という連鎖が起きているように見えます。
つまり、実際に手首の固定に関与しているのは別の筋肉だけども、小指がそれらを働かせてしまうトリガーになっているのではないか、ということです。

物を強く握るとき、手が腕に対して大きく傾いていたら力はしっかり入りませんね。
力をいれやすいように腕と手の角度を調整するために、手首を固定する必要があるのではないでしょうか。

ただ、軽度背屈位は[手のひら/手の甲]軸の角度にのみ言われる言葉なので、トレモロに関わる[小指側/親指側]軸については関係がないようです。
小指側に手が傾く動きは尺屈、親指側に手が傾く動きは橈屈と言いますから、例えば尺屈位や橈屈位というようなものは存在するのかどうか?

力強く手を握るときに、手首が小指側もしくは親指側に傾いていると力を入れづらいというのは体感できますし、もしかしたら小指の筋肉に強い力が入ることをトリガーにして、握りやすい角度に手首が固定されるのかもしれません。
しかし、それを裏付けるような情報が未だ探せていない、という状況です。


ChatGPTに聞いてみた①

小指に強く力を入れるときに直接働く筋肉(小指外転筋・小指屈筋)は、小指の根元から手首までしか伸びていません。
そのため、なぜ小指に力を入れることが手首の固定に影響するのかが謎なのですが、試しに、この記事の内容を読み込ませた上でAIに聞いてみたところ、それらしい文章が生成されたので、私には真偽が判断できないのですがとりあえず載せておきます。

-私の質問文
脱力の具体的なメカニズムについて質問です。

実際に、小指の筋肉(小指外転筋・小指屈筋?)に強く力を入れると手首が固定される理由として考えられることはありますか?
小指外転筋と小指屈筋は小指の根本から手首までしか伸びていないので、それらが単独で手首の固定に影響はしていないと思っています。

AIの回答
とても良い観点ですね。確かに、小指外転筋や小指屈筋は小指から手首までしか伸びていません。そのため、これらの筋肉単独で手首の固定を引き起こす可能性は低いと考えられます。しかし、小指に力を入れることで他の筋肉や腱が連鎖的に作用する可能性があります。以下に、そのメカニズムについて考えられることを挙げます。

1. 筋膜連結の影響

筋肉や腱は筋膜(fascia)という結合組織でつながっています。小指外転筋や小指屈筋が収縮すると、それに連動して手首や前腕に繋がる筋膜が張り、周辺の筋肉(例:尺側手根屈筋や尺側手根伸筋)が引き起こされる可能性があります。この結果、手首が固定されるように感じるのかもしれません。

2. 尺側手根屈筋(Flexor Carpi Ulnaris)の関与

小指外転筋や小指屈筋が収縮する際、尺側手根屈筋が補助的に働く場合があります。この筋肉は、手首の尺屈(小指側に傾ける動き)と掌屈(手のひらを曲げる動き)に関与しますが、過剰に働くと手首を特定の角度に固定する原因になる可能性があります。特に、小指側の筋肉が強く収縮することで、手首の柔軟な動きが制限されることが考えられます。

3. 反射的な筋肉の緊張

強く力を入れると、筋紡錘(筋肉の長さや伸びを感知するセンサー)が刺激され、反射的に他の筋肉も緊張することがあります。小指の筋肉が強く使われることで、手首や前腕の他の筋肉も緊張し、結果的に手首が固まる感覚を引き起こす可能性があります。

4. 手首の安定を補助する筋群の動員

小指を強く動かすと、手首を安定させるための他の筋肉(例:長橈側手根伸筋や短橈側手根伸筋)が反射的に働くことがあります。これらの筋肉は、手首を特定の位置で固定するための役割を果たす場合があり、小指の筋肉の動きが間接的に影響を及ぼしている可能性があります。

5. 骨格の動きとの連動

小指の強い動きが豆状骨(とうじょうこつ)や尺骨茎状突起周辺の構造に影響を与え、それが手首の動きを制限する可能性があります。特に、小指を根元から強く折り曲げる動きは、手首を構成する骨と腱の配置に影響し、動きを固定化する要因となるかもしれません。

仮説のまとめ
・小指の筋肉単独ではなく、連動する筋群(尺側手根屈筋、手首を安定させる筋群)や筋膜連結が影響を及ぼしている。
・筋肉や腱の動きが、豆状骨など手首周辺の骨格や腱の配置に干渉し、結果的に固定感を生む。

実践に向けた観察ポイント
・小指に力を入れた際、尺側手根屈筋や他の手首付近の筋肉がどの程度収縮しているかを観察する。
・小指の動きと豆状骨周辺の手首の挙動を確認する(動きの変化や骨の動きを触診する)。
・小指の力の強さを段階的に調整し、どの程度で手首の柔軟性が損なわれるかを確認する。

このように、小指の動きが引き金となって起こる「連鎖的な固定現象」に着目し、他の筋肉や構造との関連をさらに掘り下げると、脱力のメカニズムが解明される可能性があると思います。


ChatGPTに聞いてみた②

次の質問は、この記事の内容を一切読み込ませずに、シンプルに聞いてみました。
これもまた真偽はわからないのですが、とりあえず載せておきます。

-質問
小指のMP関節を90°を越えるように屈曲させると、手首の尺屈・橈屈方向への動きが妨げられます。
それはなぜですか?

回答
小指のMP(中手指節)関節を90°以上に屈曲させると、手首の尺屈・橈屈方向への動きが妨げられる理由は、筋肉と腱の位置関係や手首・手指の腱の連動性に関係しています。

主な理由

1. 深指屈筋と浅指屈筋の緊張
・小指を大きく曲げる際に、指を曲げる筋肉(主に深指屈筋)が強く収縮します。この筋肉は前腕から手首を通り、指に繋がっています。屈曲が強まると腱がピンと張り、手首の可動性が制限されます。

2. 屈筋支帯との関係
・手首には屈筋支帯という構造があり、指や手首を動かす腱がその下を通っています。小指のMP関節を90°以上曲げると、これらの腱が屈筋支帯に引っ張られることで、手首の動きが制限されることがあります。

3. 手指と手首の筋肉の連動
・手指と手首を動かす筋肉は共有される部分が多く、小指を強く屈曲させると、その筋肉の一部が手首の動きに関与できなくなります。そのため、手首の尺屈(小指側への動き)や橈屈(親指側への動き)が制限されるのです。

4. 腱の張力と安定性のバランス
・手指や手首を動かす腱は、動作の間に張力を適切に保つ必要があります。小指を極端に曲げると腱の張力バランスが崩れ、他の動きが制約を受けやすくなります。

結論

小指のMP関節を90°以上に屈曲させる動きは、手首や指を動かす筋肉・腱の張力を変化させ、これが手首の自由な動きを妨げる原因となっています。このような制約は、人体の構造や筋肉の働きが連動しているために起こります。

-続けて質問
小指以外の指を同じように屈曲させても、手首の動きは制限されません。
それはなぜですか?

回答
小指以外の指(親指、人差し指、中指、薬指)を同じように屈曲させても、手首の動きがそれほど制限されない理由には、小指の独特な解剖学的特徴と、手首と指を動かす筋肉や腱の働きの違いが関係しています。

主な理由

1. 小指の屈筋腱と手首の構造的連動
・小指を動かす筋肉(深指屈筋や浅指屈筋)は、他の指の腱よりも手首の動きに密接に関わります。特に、小指は手首の尺骨側(小指側)に位置しており、手首の尺屈に影響を与える腱や筋肉(尺側手根屈筋など)との連動が強いため、小指を強く屈曲させると手首の動きが制限されやすくなります。

2. 小指の回旋と外転機能
・小指のMP関節を深く屈曲させると、指自体がわずかに回旋し、手首に近い部分の腱の動きを妨げます。他の指ではこのような回旋や外転が少なく、腱への影響が軽微なため、手首の動きは制限されにくいです。

3. 小指の役割と支持性
・小指は、物を握る動作で重要な役割を果たしており、小指を強く曲げる動作は、手首を固定する筋肉の働き(特に尺側手根屈筋や長掌筋など)を強調する傾向があります。他の指ではこのような固定が起こりにくいため、手首が自由に動きます。

4. 他の指の筋肉と腱の配置
・他の指を動かす筋肉や腱(例: 浅指屈筋)は、小指の腱に比べて手首への影響が少ない配置になっています。そのため、人差し指、中指、薬指を屈曲させても、手首の自由度は保たれやすいです。

5. 小指の独立性が低い
・小指は、他の指に比べて独立して動かす能力が低く、隣の指(薬指)と動きが連動しやすいです。このため、小指を強く曲げると、隣接する腱や筋肉にも影響を及ぼし、結果的に手首全体の動きが制限されやすくなります。

結論

小指を屈曲させた際に特に手首の動きが制限されるのは、小指特有の腱や筋肉の配置、手首との強い連動性、そして固定性を強める働きが原因です。一方で、他の指は腱や筋肉が手首への影響をあまり与えない構造になっているため、同様の屈曲を行っても手首の動きは比較的自由に保たれます。

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青山涼
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